不快指数レベルMAX!“ノー”と言えない人間の末路「胸騒ぎ」現在上映中【ホラー映画を毎日観るナレーター】(525日目)
「胸騒ぎ」現在上映中(2024)
クリスチャン•タフドルップ監督
◆あらすじ
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イタリアでの休暇中、デンマーク人夫婦のビャアンとルイーセ、娘のアウネスは、オランダ人夫婦のパトリックとカリン、その息子のアーベルと出会い意気投合する。後日、パトリック夫婦からの招待状を受け取ったビャアンは、家族を連れて人里離れた彼らの家を訪ねる。再会を喜んだのも束の間、会話のなかで些細な誤解や違和感が生まれていき、それは段々と広がっていく。彼らの「おもてなし」に居心地の悪さと恐怖を覚えるビャアンとルイーセは、週末が終わるまでの辛抱だと自分たちに言い聞かせるが——。(Filmarksより引用)
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公式サイト↓
これは凄いですね。
もうずっとイライラさせられっぱなしというか、
鑑賞中ずっと「帰れよ!」、「セックスしてる場合か!」、「おい!娘!」、「そうはならんだろ!」とかめちゃくちゃヤジりたくなるんですよ(笑)
もう胸糞とか不快を通り越して、笑ってしまいました。
見た人間の感情をこんなにも掻き立てるってある種、究極のエンタメなのかもしれません。
人によっては気分を害するでしょうし、思わず目を背けたくなるような直接的な暴力描写もありますので口が裂けてもオススメとは言えないです。むしろこれを薦めてくる人は人格を疑われるかもしれません。
でも面白いです!
デンマーク人夫婦のビャアンとルイーセ、そして娘のアウネスは休暇で訪れたイタリアでオランダ人夫婦のパトリックとカリン、そしてその息子のアーベルと意気投合。食事を共にするなど休暇を満喫する。
そして後日、パトリックたちから週末自宅に泊まりに来ないかと誘いを持ちかけられ、さっそくビャアンたちは3人で人里離れた森の中にあるパトリック宅を訪れる。
という導入からなんか怪しいなというか不安を掻き立てられますよね。
そこからはもう予想通り、楽しい時間も束の間、このオランダ人夫妻のパトリックとカリンの異常性やサイコパス性が露わになっていきます。
この二人の狂気が、序盤は「ルイーセがベジタリアンであることを失念」、「アウネスにあてがわれた寝具がショボい」、「必要以上にアーベルを叱りつける」など、些細な誤解や勘違い程度のもので、誰でもスルーできます。
しかしこの“違和感”という名のジャブの力が徐々に強くなっていき、気づけばビャアンたちはコーナーポストに追い込まれてタコ殴りにされているんです。
“違和感”を少しずつ大きくしていき、最終的には身の危険すら感じる不快な思いをさせる。にも関わらず、その頃にはすでに“ノー”とは言えない状況や空気感になっているんです。
更には自分たちの目的遂行のためにパワーバランスを優位な方向へと持って行くパトリックたちの狡猾さが非常に恐ろしいです。そして、感覚が麻痺していくビャアンたちからしたら一種の洗脳に近いような状況になっていたのかもしれません。
逃げるチャンスはいくらでもあったんです。
現にビャアンたちは二度も無断で出ていこうとしました。一度目はアウネスがお気に入りの人形を忘れたせいで戻るハメになりましたが…(ここもストレス溜まります!)
その後、パトリックたちから誠意のある謝罪を受け、帰宅を見送り、“もう一日一緒に過ごす”だなんて見ている我々からするとあり得ないですよね。
「いやいや!帰れよ!」と思ってしまうところではありますが、実際自分が同じ状況になったら「自分にも非があるような気もするし…」と思いとどまり、ビャアンと同じく「じゃあもう一日だけよろしくね」となってしまうかもしれません。
そして結局は破滅を迎えてしまうわけです。
パトリックたちの手慣れた様子から見ても分かるとおり、おそらくは相手のどんな行動も想定済みなんだと思います。
途中で逃げようとした場合、逃走経路を山道に変更した場合、自宅で揉み合いになった場合、車内で暴れた場合等など、どんな状況であろうとパトリックとカリンはなんなく対応するのでしょう。
彼らの自宅に足を踏み入れたが最後、生殺与奪は彼らに握られているんです。
パトリックたちの目的自体が何なのかが最後までわからないのが絶妙に気持ち悪くて、個人的には最後まで目的を語らないサイコパス夫妻のまま終わるので良かったです。
希望の欠片もない、本当に疲弊する映画でした。
あまりにも後味が悪すぎて、私は帰宅後にティム・バートン監督の「ビッグ・フィッシュ」を見ました。
☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。
渋谷裕輝 公式HP↓
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