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日常に侵食する違和感が怖い!何かと粗は目立つけど私は好きです。「スペースインベーダー」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(513日目)

「スペースインベーダー」(1986)
トビー・フーパー監督

◆あらすじ
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ある夜、裏山に着陸するUFOを目撃した少年デヴィッドは、そこへ立ち入った両親や教師が人が変わったようになったのを見て、地下に潜むエイリアンによって人々を支配されている事を知る。デヴィッドと唯一の理解者である校医のリンダのふたりは宇宙からの侵略を必死に訴えるのだが……。(allcinema SELECTIONより引用)
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1953年に上映された「惑星アドベンチャー スペース•モンスター襲来」という低予算SF映画のリメイク作品で、『田舎町に突如出現したエイリアンが住民たちを一人、また一人と支配していく』という恐怖を描いています。

「惑星アドベンチャー スペース•モンスター襲来」
(Amazonより引用)

監督は「悪魔のいけにえ」のトビー•フーパー氏

脚本には「バタリアン」のダン・オバノン氏

さらに「スリー•フロム•ヘル」のフォクシーおじさん役などでおなじみの俳優リチャード・ブレイク氏が原案として携わっています。

トビー•フーパー監督は幼少期に見た「惑星アドベンチャー スペース•モンスター襲来」が大のお気に入りだったらしく、いつかこの作品をリメイクしたいと考えていたそうです。

そのため、オリジナル版で主人公の少年を演じたジミー・ハント氏が序盤に登場する警察署長役で出演しており、「ここに来るのは子供の頃以来だ」という小粋なセリフも用意されていました。

御都合主義と言ってしまえばそれまでですが、何かとストーリーに粗が目立ちます(笑)
しかし、主人公•デヴィッド少年のジュブナイルものとしての要素もあり、エイリアンのデザインが秀逸で個人的にはかなり楽しめました。

そして!

今作は音楽が非常に素晴らしいです。

特に後半でウィルソン将軍率いる海兵隊が宇宙船に攻め込む際のBGM(YouTubeの予告動画で流れている曲です)がべらぼうにかっこいいです。しかも映像とシンクロし過ぎているため、私は音楽が流れていることに途中まで気が付きませんでした。それくらいカッコよかったです。これ、サントラとか売ってないんですかね?

現在、配信などはしていないようです。私は五反田のTSUTAYAにてレンタルさせていただきました。

Filmarksより引用

◇裏山にUFOが着陸するところを目撃するデヴィッド。しかし、もちろんそんなこと誰も信じてくれない。翌朝、裏山を調べに行った父親の様子がどこかおかしく、首筋には謎の傷があった。それからというもの、裏山に立ち入った警察や教師、母親などが同じように様子がおかしくなる。そして執拗にデヴィッドを裏山に連れて行こうとする…

という

序盤から中盤にかけての日常に徐々に侵食していく違和感が非常に恐ろしく、また“中盤までデヴィッドの理解者が一人もいないという状況”もすごく良かったです。

この『様子がおかしい』が“スリッパを片方しか履いていない”、“会話が微妙に噛み合わない”、“表情に乏しい”などギリギリ気のせいかとも思える、許容できなくもない絶妙なラインの違和感ですごく面白いです。

主人公•デヴィッド
(「スペースインベーダー Blu-ray2枚組 超•特別版トレイラー」より引用)

そして中盤からはデヴィッドがエイリアンの宇宙船に潜入したり、唯一の理解者である保健医のリンダ先生もエイリアンの存在を知ったりとテンポ良く展開していき、エイリアンの侵略を食い止めるためにデヴィッドはウィルソン将軍率いる海兵隊に助けを求め、軍隊vsエイリアンの壮絶な戦いが繰り広げられるという終盤に繋がっていきます。

リンダ先生役のカレン・ブラック
デヴィッド役のハンター・カーソンの実母です。
(「スペースインベーダー Blu-ray2枚組 超•特別版トレイラー」より引用)
ウィルソン将軍役のジェームズ•カレン
「バタリアン」のフランク役が印象的でした。
(「スペースインベーダー Blu-ray2枚組 超•特別版トレイラー」より引用)

冒頭でも少し述べましたが、今作はストーリーに少々粗が目立ちます。

まずエイリアンの侵略理由が謎なんです。

『田舎町に宇宙船を隠し、裏山に足を踏み入れた市民を一人ずつ支配していく』

というやり方も非常にまどろっこしいですし、そもそも支配した人間を操って何がしたいのかが最後までよく分かりません。

自分たちの正体に勘づいているデヴィッドに対しても、無理やり裏山に連行するなどのパワープレイは一切せず、無表情で「明日、裏山にピクニックに行こう」と言うレベルです。絶対に野放しにしない方がいい存在なのになぜ放っておくのでしょうか。

あと、後半でエイリアンたちの目的が“NASAによる火星探査ロケット打ち上げを阻止すること”だったと判明しますが、何の脈絡もなく、めちゃくちゃ唐突です。
爆薬を積んだトラックでロケットを爆破させるシーンがありますが、正直このシーンを撮りたかっただけなのでは?とも思いました。オリジナル版を見ていないのでなんとも言えませんが。

終盤で、ウィルソン将軍率いる海兵隊が宇宙船に潜入して大量の爆薬を仕掛けてエイリアンたちを一掃しようと目論みます。
デヴィッドもそのことを知っており、自分の両親(支配されたまま)がまだ中にいることも分かっているであろうに、なぜか爆破作戦には一切反対しません。

爆発のくだりの前には「パパとママが心配だ」と言って、兵士の静止を振り切り、自ら宇宙船内に入って行ったくせになぜ爆破には反対しなかったのでしょうか。

その他にもわりかし御都合主義展開は多めです。

ですが個人的にはそこまで気にならず、「あとから思い返してみたら確かにそうかもな」というくらいの感じです。

マケルチ先生役のルイーズ・フレッチャー
「カッコーの巣の上で」の看護婦長役も相当インパクトがありました。(「スペースインベーダー Blu-ray2枚組 超•特別版トレイラー」より引用)

エイリアンのクオリティは非常に高く、見た目もそれぞれ個性があってとても良いデザインです。脳みそみたいなボスもすごく好きです。

光ってる目みたいなものは銅がエネルギー源の光線を放つ装置です。(「スペースインベーダー Blu-ray2枚組 超•特別版トレイラー」より引用)
脳みそみたいなエイリアンのボス
ミュータント•タートルズのアイツを思い出します。
(「スペースインベーダー Blu-ray2枚組 超•特別版トレイラー」より引用)

宇宙船の内部も並々ならぬこだわりを感じ、それ自体が巨大なエイリアンなのかと見紛うほどのグロテスクなビジュアルが印象的でした。

ちなみにエイリアンの光線を浴びると消滅します。
(「スペースインベーダー Blu-ray2枚組 超•特別版トレイラー」より引用)

人間の支配方法は“首筋にネジのような部品を埋め込む”というどこか原始的なやり方です。倒されるとネジが高速回転して外れて、支配されていた人間も死んでしまいます。

そして!

ラストはまさかの〇〇オチです!
(これは是非ともご自身の目で確かめて欲しいです。)これもオリジナル版と同様だそうです。

前々から見たかった作品なのでかなりハードルも上がっていましたが、その状態でもしっかり楽しめました。

☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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