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立体型の公園〜MIYASHITA PARK〜

前回の北谷公園に続いて公園シリーズです。
北谷公園では「Park-PFI」制度を用いた公園づくりに触れていきましたが、今回は「立体都市公園制度」を用いたMIYASHITA PARK(旧宮下公園)に着目していきます。
北谷公園や宮下公園と、渋谷区は公園整備に積極的ですよね。

まずは簡単に宮下公園の概要に触れていきます。
宮下公園はJR⼭⼿線・明治通り・渋⾕川暗渠に挟まれた⻑さ約330mの細長い土地の公園です。1966年に人工地盤を整備したことにより、1階に駐車場、2階に公園を持つ東京初の空中公園でもあります。

整備前の宮下公園(ジェクト株式会社HPより引用)

そんな宮下公園ですが、施設の老朽化による耐震性やバリアフリー動線の確保が不十分であることから、渋谷区は区内で初めて「立体都市公園制度」を活用した整備に踏み切りました。
「立体都市公園制度」とは、都市公園の区域を地上に限らず立体的に定め、他の施設と一体的に整備することで、効率的な空間活用を目指す制度です。

渋谷区はこの制度を活用し、官⺠連携のPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)により三井不動産をパートナーとして整備を進めていきました。これにより公園・駐車場という従来の都市機能に商業施設・ホテルを融合させた新たな施設「MIYASHITA PARK」へと生まれ変わりました。

立体マップ(日建設計HPより引用)

また、本事業では渋谷区が「事業用定期借地権」を設定しています。これにより設定された30年間、事業者の三井不動産は所定の金額を払って土地を借り、そこで建設と事業を行います。加えて、整備された公園と駐車場を区の所有とすることと引き換えに、相当する施設建設費用が前払い賃料とみなされています。
このスキームにより、渋谷区は財政負担をかけずに公園と駐車場を整備することができました。

「MIYASHITA PARK」は街区全体を立体型の公園に見立て、地下1階に区の駐車場、1〜3階に商業施設「RAYARD MIYASHITA PARK」、屋上に区の公園を整備しています。
商業施設では渋谷駅側の1階に渋谷横丁、原宿側にはファッショナブルな商業施設を配置し、既存のまちとのつながりを意識した配置となっています。また、原宿側端部にはホテル「sequence MIYASHITA PARK」が併設されています。
公園施設ではかつて道路で南北に分かれていた空間をデッキでつなげ、芝生ひろば、スターバックス、ボルダリングウォール、スケート場、サンドコート、インフォメーションなどを整備し、グレードアップした公園へと生まれ変わりました。

概念パース(三井不動産プレスリリースより引用)

公園施設の運営管理は指定管理者制度を活用し、三井不動産株式会社・西武造園株式会社で構成される「宮下公園パートナーズ」が指定管理者となっています。
「宮下公園パートナーズ」により緑地や各設備の維持管理といった基本的な管理業務に加え、イベントの企画・誘致といったトータルマネジメントを実施しています。

「MIYASHITA PARK」は渋谷駅、原宿、青山、表参道、代々木公園をつなぐ結節点に位置しています。この立地特性を活かし、新たな歩行者ネットワークの形成と多様な人々の交流を促進する文化発信拠点となることが期待されますね。

位置図(三井不動産プレスリリースより引用)

立体型の公園「MIYASHITA PARK」はいかがでしたか。既存の公園にはない商業施設との連携が印象的ですよね。
今後、「MIYASHITA PARK」がどのように展開していくか楽しみですね。
皆様もぜひ、渋谷に寄った際は新たなPARK空間を味わってみてください!


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