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【洋画】her/世界でひとつの彼女(2013)

監督:スパイク・ジョーンズ
出演:ホアキン・フェニックス、スカーレット・ヨハンソン、エイミー・アダムス、ルーニー・マーラ、オリヴィア・ワイルドなど
上映時間:2時間

主人公が人工知能OSと恋をする物語「her/世界でひとつの彼女」鑑賞しました。OpenAIの最新AIモデル「GPT-4o」の声が、この映画のスカーレット・ヨハンソンそっくりだというニュースを見て興味を持ちました。

近未来のロサンゼルス。手紙の代筆ライターのセオドア(ホアキン・フェニックス)は最近妻のキャサリン(ルーニー・マーラ)と別れたばかりで、悲嘆に暮れていた。ある日彼は人工知能OSを買う。彼のアシスタントはサマンサという女声。彼女は最先端の知能を持ちながらも、どこか人間らしさもあり魅力的。セオドアもサマンサと会話をすることで元気を取り戻していく。

セオドアとサマンサの中はより親密なものになり、二人はヴァーチャル・セックスをするようになる。セオドアはサマンサを彼女として認めるようになる。友人のエイミー(エイミー・アダムス)は自身もOSの友達がいることもあり理解を示すが、彼女がOSという事実は世間ではなかなか受け入れられない。彼は二人の関係に疑問を持ち始める。一方のサマンサは本物のセックスを体験したくなり、二人の事情を理解する女性を家に呼び、彼女を通しての疑似セックスを試みる。

めっちゃおもろい!これまで観てきた近未来を描いた映画の中で、最も現実化が近い内容。映画も人工知能もここまできたかと。物語も哲学的ですごく考えさせられます。

一般常識で考えると、人工知能と恋愛するなんて非常識だとも思われそうですが、実は人間心理的には何も間違っていません。恋愛においてはよく「見た目より中身が大事だ」なんて言います。僕も同感です。中身が合わなければ関係性は長くは続きません。そういう観点で言うと、サマンサは知性があり、気も遣えて、人間的でかわいい一面もある。中身だけで言うと素晴らしい女性です。実際にあんな風になったら、僕もサマンサと付き合っちゃうなーと思いながら見ていました。

この作品は2013年製作ですが、このような未来はそう遠くはない気がします。AIが知能的に人間より優れていることは間違いないですし、研究者たちが人工知能に優秀な性格をインプットすることも、将来的には不可能ではなさそうです。そうなると未来でも同じようなことが起こるかもしれません。

しかし人工知能との恋愛に違和感も感じます。なにか間違っている気がする・・・生物学的に間違っているのです。

このまま人間的で魅力的な人工知能が増え続け、彼らを恋愛対象とする種が増えると、子供の数が減っていきます。人類として子孫を残すのはある種の義務です。その義務を捨てると人類は滅亡してしまいます。だからこのような未来が訪れても、人工知能との恋愛が起こるのは防ぐべきなのです。

ホアキン・フェニックスは絶妙な気持ち悪さがある素晴らしい演技。そしてスカーレット・ヨハンソン。声だけであれだけ感情の機微を表現ができるかと。改めて俳優としての声の重要性を実感しました。ヴァーチャル・セックスとか普通にめっちゃエロイし。演出もすごくオシャレです。音楽の使い方や、周りの会話を無音化する演出などが冴え渡っています。

シーンで言うとサマンサが、セオドアとのツーショットが撮れないからとピアノを作曲し、それを一緒に聴くことで思い出を形として残したいということろがたまらん。素敵すぎる。

あと「ブレード・ランナー」もそうでしたが、近未来のアメリカって必然的にアジア系が増えるんですね(笑)。この作品にもたくさんのアジア人がいるのが印象的でした。

「her/世界でひとつの彼女」は人工知能と恋に落ちた男の物語。GPT-4oのデモンストレーションを見てほしいのですが、性能も声質も人間らしさも、マジでサマンサそのものです。このような未来は近いかも。そういう意味でも必見だし、物語もおもしろく、哲学的にも興味深い。素晴らしい映画です!


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