shibakaoruko
フィクションです。
靴を選ぶにあたっては、サイズと素材と色とデザインと値段とトレンドと耐水性と重さだけ考えればいいのなら楽なのよ いらっしゃいませとにこやかに何かしら条件をはずした商品たちにずらりと並んで出迎えられることばかりなのだけれど 我儘な足は骨と新しい靴の板挟みとなった肉がすぐに悲鳴をあげるから傷バン重装備に貼っても慣れる頃には靴ボロボロ お客様こちらはいかがですピッタリですよと本人よりも満足げな店員さんにああそれならすでに何度も買ってもう飽きた 靴たちは震えている岩の足に履かれ
を見てきました。だんだんと薄くなりやがて消える 「The zone of interest 」の文字。レビューを眺めると 「怖かった」4.0 「映画として不親切だと思う」2.0 「これは現代の我々の問題だ」 あまり書くとネタバレになりますので控えますが、例えばこんなシーン、主人公がラジオでサッカーのニュースを聴いているとします。イタリア対スペイン戦4-0。関心のある層はもうここだけで、あの試合だね、今は〇〇年なんだね、となりますが、知らんがな、となる層もいることでしょ
相手を励ましたつもりが。 もう滅亡したんですか? note様のお勧めで下書きに眠っていた過去作を。 休日をとるつもりはないですけど。
アヤとマナブのペット文学サロンです。御作品に美ペットを登場させてみませんか。可愛いワンコを連れていればすれ違う人も警戒心を解くように、テーマが古かろうが焼き直しの何番煎じだろうと、主役の御犬様に免じて苦虫が苦笑に昇進するかもしれません。ただし毛並みが揃っていないと台無しです。(ボサボサヘアではマダニの巣窟と間違われるのがオチですよ)トリミングと各種お手入れ、飼い主様のシャンプートリートメントブローまでオマケしちゃいます。ネイル一本髪百本無料お試しサービスあり。お待たせいたし
あれは新婚旅行先でのことでした。 「こんなところに神社があるよ。ご祈祷してもらおうか」と彼が言います。 案外信心深いのね、と思ったのですそのときは。でもよく考えたら何でも神頼みすればいいってものではありませんよね? 「何をお願いするの?」 すると彼はペンを私に差し出して、 「君が書いてよ」 まあ優しい、譲ってくれるのね、と喜びましたそのときは。 「仲人さんの話だと料理上手で、片づけ上手で、やりくり上手ということで、両親がまず大賛成したんだよ」 もしかして仲人口というやつで
小牧幸助様のお題に参加しています。
金魚鉢の底にサラサラとグラニュー糖を撒いて同量の水をかけます。様子を見ながらじっくりと電子レンジで加熱します。茶色くなり薄く煙が立ちはじめたら素早くまた水を差します。芳ばしい香りがたちこめ黒くトロリとしたカラメルソースができましたか? 午後の日差しでぬるくなった卵と砂糖と温めた牛乳を泡だたないようにすり混ぜて漉します。蒸すより湯煎ですね、だって金属やプラスチックの容器は軽くて倒れがちですけれど金魚鉢ですからね。露天風呂とサウナのどちらが好きですか? なぜやたらと固くしたがる
金魚鉢がずらりと並んでいる。大きさや色合いデザインもさまざまだ。しかもすべての鉢に水がはられ金魚が気持ち良さげに泳いでいる。小石水草水中オーナメントも揃っている。ここはある観光地のペットショップ。こんなことは金魚鉢コーディネーターの仕業だろう。相当なプロの仕事に違いない。住み主鰭形と鉢の描く曲線が寸分の狂いもなく一致している。水底の嫁入り道具を模した小さなドレッサーやクロゼット。金魚を駄目にするクッションや昭和っぽいテレビもある。これらは金魚本人の好みを徹底的にリサーチして
寝る時はベッドですかお布団ですか。とか、どちらがお好きですか? と聞かれても自由に選べるのは宿の予約のときくらいで、好きこのんで布団に寝ているわけでもないけれど。畳の部屋や押入れの有無や気軽に干せるか否かが布団派成否にかかわってくる。ベッド派になるには粗大ゴミ予備軍を手に入れる手間があるし、場所塞ぎ感が否めない。いざとなればリフォームだってするさ、どこでだって寝てやる、と真剣に考えずにいたら、いつの間にか少数派に追い込まれていた。周りの家という家は建て替えられそれらは畳のな
山道で迷ってしまった。あたしとお兄ちゃんは親とはぐれてしまったの。というより捨てられたのかも知れないわね。まあ、いつまでも親元にいたって仕方ないし。これは負け惜しみなんかじゃないのよ。おお、あんな所に美味そうな食べ放題のお家があるじゃないの。 よっしゃー! でも、アッという間に見つかってしまう。ぼんやり者のお兄ちゃんはすぐに檻に入れられた。あたしは上手く立ち回って魔女になついた振りをした。だから魔女の家を自由に歩きまわった。 この『山カル』って何だろう、略称にするメリッ
山岳カルマ文学賞作品募集中? そんな所行ったこともない。とりあえず本屋で「るるぶ山岳カルマ」と「山岳カルマ県の歴史」を買い求め山岳カルマ出身の有名人をネット検索する。そこを舞台とした小説はすでにいくつも発表されていた。鉄道ミステリ系だ。名産品がトリックに使われて取り寄せてみようか旅してみたいかも、なんて気をおこさずにいられなくなる。その手に乗るものか。愛と哀しみの山岳カルマ線もすでに廃線になっているじゃないか。過疎化が進んでいる。うちの実家みたいだ。るるぶをパラパラ。あ、こ
混んでいる。これじゃ行列するために来たようなもんだ。周りはすべて言葉の通じそうにない奴らだ。やれやれ。一人テーマパークは疲れるなあ。おや、あれは何だろう。 『マウンテン・ライト・ホース」? 誰も並んでいないぞ? こんなときに連れがいると、人気のないアトラクションなんてヤダとか言い出すんだよね。一人が幸いしたのかも。ふむふむ、漢字民のためのサブタイトルもあるぞ、『山岳軽馬』か。酷い当て字だなあ。なんだ、もしかしてただのメリーゴーランドかよ。つまらん、でも入場しちまった。連れ
文学部に入学したのはほんの偶然だった。願書をとりま違えて。卒業してから気がついた。法学部に行って法律家になるつもりだったのに。就職先は法律事務所。 「ブンガク?とりま雑用頼むよ」 折しも例の禍いやら短歌ブームやらでSNSには五七五だのポエムだのが踊っていた。よせば良いのにうっかり下手な詩を作って投稿してしまった。翌日事務所に現れた依頼人はなぜかその詩をプリントアウトしたものを手に 「これを書いた人を訴えたい」 「なぜですか? 盗作なんかじゃないですよね」 よくみると都合よく
白い靴跡が点々と続く。雪女は何を履くのだろう。山小屋にあったのは下駄箱から消えた上履きだ。ゴミ箱に捨てたのに 白い靴下が真っ赤を通り越しどす黒くなるまで練習したけど上達せず行くのが嫌になり隠したのです、間違えて別人のを 白い靴をなくしたその子はてっきり自分が誰かにやられたと思い込んで来なくなりました。周りの人達の反応は誰それ? 白い靴擦れ処置の包帯を一人巻き直す夜コツコツと足音を響かせ扉を叩くのは風に飛ばされた小枝?隙間から白い爪先が 白い靴には気をつけるんだよ、こん
斎藤学園というその名から創立者は斎藤さんに違いないとよく間違えられるのですが、これは当て字です。旧武蔵国ニ都県に跨る新設学園拠点をサイトウに置くインターナショナルハイスクールの略称なのでした。サイが先に来る経緯についてはこんなエピソードが「学園の沿革」に記されています。サイトウにするかトウサイにするか、ベースボールで決めよう。言い出したのがどちらの派閥だったのかは諸説あります。トウサイ派は選手に元ナントカ大カントカ高部員をかき集めましたが彼らは他県民だったりすでにベースボー