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2015年の「おすすめ100曲」リスト

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声の持つ魔法/倍賞千恵子「ぼくらが旅に出る理由」

声の持つ魔法/倍賞千恵子「ぼくらが旅に出る理由」

まさか、あの曲がこんな風によみがえるなんて思ってなかった。

映画『GAMBA ガンバと仲間たち』の主題歌として公開された小沢健二「ぼくらが旅に出る理由」。歌うのは倍賞千恵子。アレンジは高木正勝。これがほんとに素晴らしい。

ラジオで流れてきた曲を聴いてあまりに心動かされたので、映画を観に行った。『STAND BY ME ドラえもん』の白組が手がけたフル3DCGの映画は、ファミリー層向けのエンタテ

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愛は"コスパ”じゃない/アナログフィッシュ「No Rain(No Rainbow)」

愛は"コスパ”じゃない/アナログフィッシュ「No Rain(No Rainbow)」

アナログフィッシュのアルバム『Almost A Rainbow』がすばらしい。

特にすごいのが下岡晃が書いた「No Rain(No Rainbow)」という曲の歌詞。「いいなあ」と思って何度か繰り返し聴いてたけど、今日、ふと聴き返してたら、ぐさりと刺さった。そこから20回くらい繰り返して聴きながらこれを書いてる。これYouTubeにないのね。しょうがない、視聴できるリンクを貼っておこう。

■A

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詩作の凄み/サカナクション「新宝島」

詩作の凄み/サカナクション「新宝島」

サカナクションのニューシングル『新宝島』。

まずは映像について。曲もすごいがビデオもすごいよね。クリエイティブに関わる全員がブレない一点を見据えてる感がビシビシ伝わってくる。本当はダサいはずのレトロなフォントや色や演出を、一周回った先端にするセンス。曲が持っている矢印をちゃんと視覚的に表現している。

こうして日本を代表するバンドの一角を占めるようになった前から、彼らが見据えているのはずーっとア

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Meishi Smile「Pastel」/LA発、マルチネ経由、ニホンへ

しばらくnoteは放ったらかしになってたけど、少しずつメモ程度に更新していくよ……。

マルチネレコードのイベント「東京」でも来日していたLA在住のMEISHI SMILE(=ガレット・イム)による2ndアルバム『...belong』のリードトラック。よい。ゼロ年代初頭のMorr Music勢やM83などエレクトロ・シューゲイザーから、チルウェイヴを経由して今に至っているかのような曲。バイオによる
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夏の魔物「恋愛至上主義サマーエブリデイ」/濃くて過剰なウィアード・ニッポン

成田大致率いる「エンタメユニット」夏の魔物のデビュー曲。

一聴した時にも思ったしビデオを観てさらに痛感したけど、味濃いよ! イントロの10秒で「うわ」と思って、その印象がまったく覆されることのない3分52秒。ジャンクフードにお好み焼きソースとマヨネーズとケチャップとタバスコをたっぷりかけたようなアレンジ。ちょっと胃もたれするレベル。スーパーササダンゴマシン、ベッドイン、ニューロティカのあっちゃん
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蟲ふるう夜に「フェスティバル」/逆境の中で奮い立たせる力

「蟲ふるう夜に」というバンドの新曲。「フェスティバル」というタイトル。

これが、なかなかによいのですよ。グッとくる。

話を聞いたんだけど、彼らはどうやらいろいろあったバンドらしくて。去年にはギターの慎乃介が難病のフィッシャー症候群になってしまって、バンドは一時活動休止。今年4月にミニアルバム『スターシーカー』をリリースして、半年の休養を経て6月4日(=蟲の日)に渋谷クラブクアトロで復活のワンマ

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SEKAI NO OWARI「ANTI-HERO」/ダン・ジ・オートメーターのここ最近の仕事まとめ

SEKAI NO OWARI「ANTI-HERO」/ダン・ジ・オートメーターのここ最近の仕事まとめ

7月29日にリリースされるSEKAI NO OWARIのニューシングル。『進撃の巨人』のテーマ曲。ほんと今の彼らはすごいなあ、とつくづく思います。プロデューサーはダン・ジ・オートメーター。リズムと発音が強靭になって、圧倒的に曲の説得力が増した。7月18日、19日で開催された「Twilight City」もすごかったみたい。行った人が軒並み度肝を抜かれていた。行きたかったなー。

この曲については、

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banvox「Summer」/少女が大人になる季節としての「夏」

banvoxの新しいサマー・アンセム。5月に配信でリリースされて、6月25日に出たEP『At The Moment EP』にも収録されている「Summer」。彼にとっては初のミュージック・ビデオになるんだけれど、このMVが……ほんと素晴らしい。なんど観ても「くぅーっ!」ってなる。これ、映像監督誰だろう? そして主演の子誰だろう?(→調べました。モデルの師井優衣@YuiWishさんでした)。 ほんと もっとみる

SEKAI NO OWARI「Dragon Night」/本気で強い曲を作ればそれは長く愛される

SEKAI NO OWARI「Dragon Night」/本気で強い曲を作ればそれは長く愛される

SEKAI NO OWARIのDragon Night。6月16日にその「英語版」が公開された。これを聴いて、いま僕はちょっと鳥肌が立つくらいの驚きと感動を覚えてるんだけど、これ、うまく伝わるかな。

そもそも。この「Dragon Night」という曲が最初に披露されたのは、2014年8月に公開されたドキュメンタリー映画『TOKYO FANTASY』のエンディングでのこと。曲の構想自体は、2013

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忘れらんねえよ「寝てらんねえよ」/2015年最強の負け犬

忘れらんねえよ「寝てらんねえよ」/2015年最強の負け犬

忘れらんねえよの新曲「寝てらんねえよ」。

正直、このバンドのこと見くびってたかも。すごい。意味がわからない。

まずMVについてだけれど、柴田隆浩(Vo, G)が5月10日に達成した「ドミノ倒し日本記録達成」の時の映像を使用した内容となっている。8日間カンヅメになって、一人で約6万個。睡眠時間も削って、ひたすら並べたドミノを倒していく。

が、ちょっと待ってほしい。期間は5月3日から10日という

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Shiggy Jr.「サマータイムラブ」/「1時間」が「永遠」になる恋

Shiggy Jr.「サマータイムラブ」/「1時間」が「永遠」になる恋

Shiggy Jr.のメジャーデビュー曲「サマータイムラブ」。いい曲!

「ポップでポップなバンド」というキャッチコピーの4人組。今年の始め頃から「2015年の一押しニューカマーは?」みたいに訊かれるたびにいろんなところで彼らの名前を喋ったり書いたりしてきたけど、ほんと期待に100%応える曲をメジャーデビューのタイミングで作ってきた感がある。

そしてこのMV。一時代前のアメリカン・ホームドラマ風

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Avicii「Waiting For Love」/週末早くこないかなーのうた

アヴィーチーの新曲。リリックビデオなんだけど、これがMVでいいじゃん! 犬可愛いよ犬。戦火の下を走って、ちゃんと飼い主の男の子のもとに辿り着いて、ウルウルくる。

ようやく10月に来日決まりましたね。ぜったい行きたい。EDMが今の時代のポップスとして巨大なスケールで広まっているのを体感できると思う。で、ZEDDの時も書いたんだけど、この曲の歌詞がやっぱり気になる。曲名は「愛を待ってる」なんだけど、
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[Alexandros] - ワタリドリ (MV)/カリビアン・ロックンロール

今年3月にリリースされた移籍第一弾シングル。改めて、この曲すごくいいな。インタビューとかレビューとかでどれだけ指摘されてるかわかんないけど、ポイントはソカのリズム。♪ドンタドッタ・ドタドタドッタっていう4分の2拍子のビート。それをコールドプレイやマムフォード&サンズに通じるアコースティックのロックアンセムに仕上げてる。こういう「カリビアン・ロックンロール」なビートスタイルは高速四つ打ちダンスロック もっとみる

HUDSON MOHAWKE「Very First Breath」/ポップ・ミュージックを前に進めようとする意志

HUDSON MOHAWKE「Very First Breath」/ポップ・ミュージックを前に進めようとする意志

6年ぶりのソロ・アルバム『ランタン』をリリースするハドソン・モホーク。一足早く聴かせてもらったんだけど、ほんと素晴らしい。今年を代表する一枚になりそうな予感。そのリードトラック。聴いた瞬間の「これだわ」感、すごい。

というわけで、ちょいと解説。

ハドソン・モホークは、スコットランドはグラスゴー出身のDJ/プロデューサー。WARPレーベルに所属。エイフェックス・ツインからフライング・ロータスまで

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