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デール・マハリッジ「コロナ禍のアメリカを行く」を読む

デール・マハリッジ「コロナ禍のアメリカを行く」(原書房、2021年、上京恵-訳)を読んだ。
長年貧困、差別などの社会問題について書き、ピュリッツアー賞も受賞した作家だが、2020年半ば西から東へと旅して、コロナ禍で仕事を、住む場所を失った人々の現実を見つめたルポタージュ。
GDP世界1のアメリカは、実は貧困がはびこり、セーフティネットがなく、生き延びることが厳しい国でもある。読むほどにそれが伝わってきて辛くなる。
作家は終わりの方でこう書いている。
何をなすべきかは、とっくの昔にわかっている....アメリカンドリームを構築し直して参加条件を公平にし......貧困に喘ぐ人々を実際にみて、彼らを健全な経済という概念に組み込むこと。

翻ってGDP世界3位の日本はどうなのか。ワーキングプァ、ヤングケアラーと表現される人々がいること。コロナ禍でアルバイトができず喘いでいる学生たち、生理用品を買えない女学生たち、フードバンクにたよっている人々。こうした貧困問題があることを私たちは知っているが、このような問題をなんとかしようという熱意が、政府や政治家や霞ヶ関官僚に十分あるのか? もし十分にないとしたら、私たちはどうすれば、何をすればいいのだろう。