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マイクロコントラストの考察|Leica


デジタルM型Leicaを使っているユーザーの方からは「Leicaで撮った写真は独特な浮き出るような立体感が有る」や、「暗部に生を宿ったような写り」のような話を以前から耳にしていた。

自分も約4ヶ月間Leica M10-Pを使用してみてなるほど確かにそうだなと感じるシーンが多いのだが、
何故そのように感じるのか、何がそうさせているのかが気になり言語化出来ないかと考えていた。

色々とその要因を考えたり調べたりしてみたところ、搭載するレンズ側の特性が支配的なのかもしれないという考えに至った。もちろんボディ側の画像処理エンジンの特性も有るとは思うしLeicaレンズとの組み合わせを考慮してチューニングされているという事は理解している。


色々と関連情報や文献に目を通しているうちに、Leicaレンズは"マイクロコントラスト"に富んでいる傾向に有り、これが作用しているのではと。

マイクロコントラストをざっくり要約すると、画素データの微妙な陰影の差を表現するパラメータだ。コントラストの一種ではあるがいわゆるコントラストの強弱とはまた異なる解釈が必要だ。
(例えば高コントラストを謳うレンズは数多く存在するのだが、微妙なグレーの濃淡の差を捉えきれないレンズはマイクロコントラストが高いとは言えない)

このマイクロコントラストが優れているレンズだと、被写体と背景がはっきりと分離するのではなく、溶け込むようになだらかにピント面からボケへ遷移していく傾向に有るとされる。
また、ピント面からずれたところでもエッジがなだらかで立体感を感じやすくなるようだ。

Tele-Elmarit 90mm
Tele-Elmarit 90mm


※マイクロコントラストの定義はZeiss等が説明してくれている。MTFチャートの数値等の話はここでは割愛する。

ZeissのHPより抜粋



自分が使用経験のあるLeicaレンズ、例えば、SummiluxやSummicron、Elmarit等は他社製レンズ(例:Sigma ARTレンズやRFレンズ等)と比較した際も画像のシャープネス感は控えめなように思うのだが、なぜか浮き出るような立体感と中間層から暗部にかかっての階調がなだらかだなと感じる。

Summilux 50mm ASPH.
Summilux 50mm ASPH.


マイクロコントラストを高める条件として、ある一定のMTFチャートの条件を満たす事が必要なのだが、レンズの構成枚数が少なく、ある程度収差を残した方が達成しやすいといった記載が有った。

また、以前読んだ別の文献には、基本的にはコントラストとシャープネスの関係性はトレードオフと記載が有った。
微妙なグレー部の濃淡を表現せずに白黒/明暗をはっきりさせたほうがシャープネスが高く見えるという意味と解釈している。
(もちろんレンズ設計や技術進歩によりどちらも共存傾向を達成出来ているレンズも有るかもしれないが。)

これらの理論から考えると5〜8枚等のレンズ構成の多いLeicaはシャープネスが他社製レンズと比較し控えめな分ウェットな立体感を感じるのに対し、レンズ構成の多く、収差カットに専念しているレンズはシャープネスが高くドライな描写になる傾向になりやすいという事で少し腹落ちしてきた。
(もちろんレンズ構成以外の要因も存在する)

自分の持っているLeica Summilux 50mm f1.4 ASPH.は5群8枚、Tele-Elmarit 90mm f2.8 2ndに関しては4群4枚しかない。
以前持っていたSigma 50mm f1.4 ART(EF)は8群13枚だし、RF35mm f1.8なども9群11枚と比較すると枚数は多い。

このコンパクトさで90mm撮れる事は感心する

Summilux ASPHはいわゆる他社製の現行レンズのような現代的な写りに近づけながら、シャープネスと柔らかさ(ウェット感)の塩梅が素晴らしいのだが、Tele-Elmarit 90mmはとにかく柔らかく、なのに立体感が有るという独特な描写だ。
描写だけでいうと後者のレンズの方が好みなので発売年数が比較的古くレンズ枚数が少ない収差の残ったレンズの方が自分は向いているのかもしれない。  

Summilux 50mm ASPH.
Summilux 50mm ASPH.
Tele-Elmarit 90mm
Tele-Elmarit 90mm


上記の考察がある程度的を得ているものであればLeicaのボディでなくともマウントアダプター等を経由して色々なボディにLeicaレンズやマイクロコントラストを強みとしているCarl Zeissのレンズ等を組み合わせることで、あの独特な立体感や描写を楽しめるのではないかと思う。

Mマウントのレンズであれば比較的軽量コンパクトなものが多く持ち歩きには持ってこいのため一度試してみるのはいかがだろうか。

EOS R5 + Summilux 50mm ASPH.
EOS RP + Summicron 50mm 3rd



追記:URTHのマウントアダプター、幅も薄くシンプルでノイズレスなデザインが良い。

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