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教室で話す「性」: 東ティモールの学校で起きた教員の変化

皆さん初めまして。東ティモールの活動について皆さんにお話しできることを嬉しく思います!私の名前はヘリアです。シェアで働いて1年3か月が経ち、現在、思春期保健プロジェクトを担当しています。

シェアが思春期保健プロジェクトを開始したのは2023年です。事業を行うパイロット校として4つの中学校、高校を選びました。東ティモールの学校では、思春期の保健に関する情報を学校で得られる機会はほとんどありません。思春期の保健に関することは、市民教育、体育、生物などの教科で教えることになっており、そのカリキュラムも東ティモール教育省によって整備されてはいます。

教員との振り返り ファシリテーターを務めるヘリア

教員研修に至るまで

2022年9月22日付の『Timor Post(※東ティモールの主要新聞)』で、新生児遺棄の記事が掲載されました。「国民権利同盟(Organiasaun AliansaNasional Luta Kontra Direitu Fantasidu)が2017年に実施した調査結果では、49件の新生児遺棄が報告されており、中でもディリ県での遺棄が大半で、特に進学していた高校生、知識のない母親が遺棄を行うケースが多く、今後も住民に対するリプロダクティブ・ヘルスに関する教育を地域と共に社会化する必要がある」と提唱しています。

東ティモールの学校カリキュラムでは、思春期の性の保健に関して、いくつかの教科で教えるように決められています。でも実際生徒たちは、学校で思春期の健康に関しての情報を得る機会がありません。

私たちは、学校での性教育が実施されるために、まずは教員たちが知識を得ることが重要だと考え、私たちは教員に対する研修を実施することにしました。

教員研修の内容をどうする?

通常、研修の内容を決めるのに、シェアだけで決めることはしません。まずは最近できた保健省の思春期(Adolescent)課を訪問し、国として学校で教えるべきことについて確認しました。また、学校の教員とも会議を行い、学校で性教育を行うことができなかった原因について振り返ってもらいました。私たちが一方的に実施できない原因を考えるのではなく、彼ら自身が振り返ることが重要です。そうすることで、彼ら自身のモチベーションを高めることにも繋がります。

カリキュラムを見てみると、「性」「思春期」「生理」について記されてはいるのですが、内容が多く、ポイントが整理されていませんでした。そこで、今回の研修では、この3つのトピックを行うことにしました。このように、学校のカリキュラムに沿う内容で研修を行うのもシェアの特徴だと思います。

教員が研修内で実践しているところ

教員も生徒も楽しみながら学べるように

研修では、まずはシェアスタッフが教員になりきり、研修に参加している教員には生徒になりきってもらいます。教師から一方的に教えるのではなく、生徒たちが考えられるような構成にしています。例えば、「性」のトピックでは、典型的な「性」についてを、教科書通りに教員が教える(一方的に話す)のではなく、“漁師”になりたい女の子の話をし、女の子として漁師になることについてどう思うか?など自分の意見を発表してもらうことにしました。

研修が始まる前、東ティモールはカトリック国なので、性について学校で教えることに対し反対意見があるのではないか?など不安がありました(カトリックでは避妊をタブー視しています)。しかし、研修実施中、拒否反応などは特になく、教員たちが好意的に学ぶ姿勢が見られたのが、私はとても嬉しかったです。

教員研修の最終日

教員たちは、このような性に関する研修(研修自体もですが)に触れる機会がそもそも少ないので、積極的に研修に参加していたのだと想像します。彼らは「教える」ということが本業ですので、皆さん基本的には人前で話すことを嫌がる人ではありません(話過ぎる先生もいますが(笑))。それがヘルスボランティア研修と比べて感じた違いの一つです。

研修は3日間ありましたが、研修に参加した先生から「昨日初めて生理について自分の子どもと話したよ」と報告されたこともありました。研修が進むにつれて、授業を彼らのものにしているなぁと感じました。

研修に参加した教員の声

最後に、研修に参加された先生からの感想を紹介します。

Rainha da Paz中学校David先生
「シェアからの研修に参加することができ、とても楽しかったです!知識が上がるだけではなく、研修の中で、“デザインやゲームによってどのように生徒の興味を引くか”について学べたことも自分にとって学びとなりました。私がこれまで行っていた授業は、教師が一方的に話すだけのものでした。それが授業だと私は思っていました。新しい授業の形を学び、研修の中で実践練習できたことがとてもよかったです。これまで授業を実施したことによって、生徒たちの行動も変化してきています。保健の授業が楽しいのか、自由時間があると、研修を受けた教員を呼び、授業をするようにお願いしてくる生徒もいます。

David先生が感想を教えてくれました

シェアには、今後も是非、研修を行ってほしいです。また、これからも教育省と関係を保ち、東ティモールの質の良い教育の学校での実践をともに目指していきたいです。」

グループディスカッションで一人ひとりの意見が出るように

私のブログはここまでです!

読んでくださりありがとうございます。現在シェアは思春期保健プロジェクト実施のためクラウドファンディングを実施しています。

目標金額は450万円です!応援をよろしくお願いいたします。

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