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2021.12.1 THE KEBABS「椅子」@日本特殊陶業市民会館ビレッジホールはやばかった

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ベース田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)、ギターボーカル佐々木亮介(a flood of circle)、ギター新井弘毅(ex.serial TV drama)、ドラム鈴木浩之 (ex.ART-SCHOOL)からなるTHE KEBABS、初のホールツアー初日。開演時間になるとイベンターであるVINTAGE ROCKの若林さんが呼び込みを行うというなかなか珍しい光景。これザ・クロマニヨンズのライブでしか観たことないぞ。高まる期待を胸にしながら、4人がステージに揃った姿を見るとそのサマになり方に痺れる。そして一音目が鳴るとカっと頭に血がのぼってきた。

遭遇、と呼ぶに相応しい衝撃が次々やってくる。「枕を変えたら眠れない」が鳴って思い出したのだが元々ケバブスはthe pillowsの30周年記念映画のために結成された言うなれば架空のバンドだ。結果として実際に活動が始まったという冗談みたいな経緯のバンドゆえ、できるノリや衝動性が痛快なのだ。意味があるのかないのか、言いたいことがあるのかないのか、そのギリギリの際を爆音で押し切るような気持ちよさ!これぞまさに爆裂ロックンロール。語感が良い、歌いたくなる、頭空っぽにできる、音楽ってそれだけでいいのでは?とすら思わせてくれる。快楽なまっしぐらな演奏、最高。

田淵智也が作ったシンプルな曲を佐々木亮介が叫び歌う、くらいに捉えてたけど実際観てみると固有のロックンロールバンドとして4人があまりにもキマってる。ユニゾンの時よりもさらにのびのび動きながらしっかりと歌う田淵、afocの時よりも身軽で気負ってない感じの佐々木に加え、痛快なエイトビートを連ねる鈴木、そして暴れ狂う新井と見てて楽しい要素が多い。特に新井はパフィーのサポートでしか観たことなかったのだが、あんなに激情型のギタリストだったとは。後ろ歩きしながらタッピングするあの動きと顔、笑っちゃうくらい格好良かった。あまりにも華やかなギターヒーロー感。

爆裂ロックンロール、と一口に言ってもその定義が内包している楽曲は幅広かったりする。ダンサンブルな「ジャンケンはグー」、ラップ的なリズムにも接近する「チェーンソーだ!」、あたたかなフィーリングに満ちる「うれしいきもち」に、ただひたすらに美しいミドル曲「ラビュラ」。どれも小難しくなく、一切の打算を排した気持ちよさのみで作られているからこそ、まっすぐに楽しく受け取れるのだと思う。70分、ほぼノンストップ。この曲調だとオールスタンディング&モッシュも楽しいそうだが、ホールだからこその自分のスペースで好き勝手踊れてしまう良さも存分に感じ1部が終了。

そうこの日は2部構成。第2部ではまず4人は椅子に座りサッポロ黒ラベルを飲みながらどの曲をやるかの会議に。ステージ上に第1部でやらなかった曲を書き連ねた大きな紙が掲げられ、その中から観客に選ばせたり、メンバーに選ばせたりしながら次々決めていく。セトリ職人田淵の裏側を見れる貴重な機会だがそんなことより、新井がほとんどの曲を忘れていることを明かされた。「まばゆいPART.2」では実際に音源を流してもらいながらその場で曲を思い出す作業も。ある意味ケバブスでしかできないパフォーマンス。こうやってミュージシャンは自分の曲を練習するのか!というドキュメントだ

始まる前こそあやふやだったけど第2部の突風のような25分間は最高潮の気分だった。ライブ盤で聴いた時からこりゃすげえぜ、と思っていた「メリージェーン知らない」の超速ビートはどうしたって盛り上がってしまうだろ。佐々木はケバブスのことは当日まで考えないと言っていたし、かなり気楽なスタンスで行っているバンドであることは間違いないと思う。しかし、だからといって本気じゃないワケではない、それはこの躍動の止まらない音を浴びればはっきりと分かる。とんでもないロックンロールバンドが、いた。

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