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【足立ミミ全一】GRフェス(2024/03)環境解説 【遊戯王デュエルリンクス】


1.はじめに

 元世界3位、今回銀アイコン、シャックです。第2回GRフェスお疲れさまでした。納得の銀です。

 本記事では、遊戯王デュエルリンクス内のイベントGRフェス(2024/03)における環境の考察及び使用デッキの解説を記録として残します。9月のシアトルでの世界大会を控えているデュエルリンクスにおけるラッシュデュエルのさらなる活性化や、よりレベルの高い競技の実現を期待しております。構築や環境読み、プレイングの思考などをご参考に頂けたら幸いです。
(以下、ルール、スキル、カードテキスト説明の省略や専門用語を多用します)

2.解説

①環境考察

 GR1回目以降、ストラクが3個とminiBOXが1個追加され、悪魔、オバロ、ハーピィ、雷と、環境に強力なデッキがいくつか増えました。
 なかでも、環境トップは「ヘルチューン・インヴェイジョン」を用いた悪魔族デッキだと考えていました。その主な理由を何点か上げます。

  • スキルと「コバルト・コボルト」による手札の墓地送りにより、最上級モンスター複数枚所持等の手札の偏りがなくなり、手札が安定しやすい。

  • スキルによるレベル上昇で、ロイヤルデモンズの効果起動条件簡単成立からのお手軽モンスター除去により、有利な展開をつくりやすい。

  • 半悪魔専用罠「キングス・ディグニティ」の攻撃無効がモヤに次いで強力(タキオンのミグレイションくらい強力)

紙やってれば初見でヤバ過ぎるスキルだと気が付く

 デュエルリンクスはレゾナンス、タキオン然り、スキルの調整がとても難しいようです。スキルによる安定したイージーウィンがあまりにも多い、と再認識させられました。

 しかし、そんな「ヘルチューン・インヴェイジョン」にも弱点があります。

  • 弱点1:スキルによる手札消費により、モンスターを多面展開することが困難となる。とくに、最上級1体のみでターンエンドすることが多い

  • 弱点2:最上級含め、守備力0のモンスターが多く、下級は全体的にステータスが低い

  • 弱点3:相手のライフを取るスピードが遅く、1ターンは必ず返ってくる。高くても「ロイヤルデモンズ・インヴェイジョン」とレベルを上げた「シャドウ・バイヤー」の合計3500ダメージで、「ロイヤルデモンズ・ヘヴィメタル」のケアさえ出来ていれば、早々に6000ダメージを超えてくることはほとんどない。

とくに3点目に着目し、本番に挑んだデッキが以下の構築になります。

試さないと気がすまないんだ

②構築解説

 「ヘルチューン・インヴェイジョン」対策を以下に示します。

  • 対策1:相手より多くのダメージを稼げる動きをする。

  • 対策2:ステータスの低い部分を突く動きをする。

  • 対策3:回復することで返ってくるターンを増やす

以上を踏まえて組んだデッキがこちらになります。

後に養分になりかける

対策別に採用カードの解説に入ります。

  • 対策1:相手より多くのダメージを稼げる動きをする。

 まず採用したカードは「連撃竜ドラギアス」です。このモンスターは攻撃力2500の2回攻撃、つまり、1体で5000ダメージの働きをします。ライフの取り合いが胆となるラッシュデュエルにおいて当然弱い訳がなく、初弾からリミット3指定で、紙のラッシュデュエルにおいても現役の初期カードです。採用できるデッキなら確実に候補になります。後述する構築の都合上、同リミットで墓地のドラギアスを手札1枚と交換ができる「フェニックス・ドラゴン」を本デッキでは採用しておりますが、可能なら3枚積みたいカードです。

タイトル「陰陽ドラギが強過ぎる件」で良かった

 次に、同対策で採用したカードの「陰陽封陣」を解説します。こちらもドラギアスと相性が良く、相手の攻撃力を下げる魔法カードのため、より多くのダメージを叩き出すことが出来ます。特に、ドラギアスと同じ攻撃力2500である「ロイヤルデモンズ・ヘヴィメタル」を上から取れるようになる点が対策としても一役買いました。

アッシーの回収もできます

 「陰陽封陣」を引けなかった場合に「ロイヤルデモンズ・ヘヴィメタル」の攻撃力2500を上から取れるカードとしては、「リボルバー・ドラゴン」、または「ハイヒー・プリーステス」による「逆玉の神 ディアン・ケト」の攻撃力上昇で対策しています。

起爆剤

「ハイヒー・プリーステス」には、1ドローの効果が付いており、そのドローによっては2体目の最上級を出せたり、陰陽封陣等の魔法罠を構えられたりと、有利な展開を生み出しやすい点も、相手より多くのダメージを稼ぐプランと嚙み合い、勝率を上げる要因となりました。

次もフィーバータイム入ります
重ねがけして手札が溢れかえる
  • 対策2:ステータスの低い部分を突く動きをする。

 こちらはレジェンド魔法「右手に盾を左手に剣を」が対策札に該当します。ロイヤルデモンズと「シャドウ・バイヤー」、また、本デッキの苦手対面である、ドラギアス不在時の攻撃力1500の通常モンスター群はいずれも守備力0です。ほかのデッキでも「ハーピィ三姉妹」など、守備力0を主軸としたデッキは多く、環境全体を見ても刺さる1枚となります。
レジェンド枠のため、1枚のみ採用となり、引きに左右される点が懸念点ですが、発動出来れば文字通り攻守逆転の1手となります。加えて、そこにドラギアスが降臨すれば5000ダメージがそのまま通ってしまいます。ここぞと言うときに何としても引き込みたいカード。それを引くための手段は次項になります。

  • 対策3:回復することで返ってくるターンを増やす

 本デッキの核となる部分です。まず、本デッキのスキル情報です。

紙やってれば初見で弱過ぎるスキルだと気が付く

「オールナイトフィーバー」をデッキからサーチして、セットします。以上です。

以上です

ほかの類似スキルとしては「ハンマークラッシュ・ディール」になります。共通点は専用カード1枚以外はデッキ枠に制限がない点で、デッキ圧縮ができるか、1ドローができるかの違いです。また、初手に来た場合でも墓地から再利用が可能となる点も違いの一つです。
「オールナイトフィーバー」単体としては400~1200回復と、バラつきがあり、魔法枠1枚を取るほどの性能はありません。しかし、「メッシーホース」「水分補給」などほかの水族サポートカードと組み合わせることにより、爆発的な回復をもたらします

こいつがおれを何度でも蘇らせる

「メッシーホース」は1体で500回復、2体出せれば1000回復、「オールナイトフィーバー」と合わせれば1ターンで2200回復となり、「ロイヤルデモンズ・インヴェイジョン」の攻撃力2300によるダイレクトアタックを1回許容出来ます。
 また、全デッキに必ず採用されているレジェンド罠カード「万能地雷グレイモヤ」に対しても、あらかじめ回復しておくことで、踏んでも損害をある程度許容できる保険となります。

本当は回復してモヤも割りたい

 そして、「逆玉の神 ディアン・ケト」「メッシーホース」「水分補給」によって毎ターン回復を繰り返すことにより、相手とのライフ差を引き離し、その間に引き込んだ「連撃竜ドラギアス」「陰陽封陣」「右手に盾を左手に剣を」で捲り返していきます。特に悪魔に関しては、前述の通り1ターンのダメージ量が低いため、この戦法が非常に刺さり、何度も有利な展開を生み出すことが出来ました。

バブル体験デッキ

3.実戦結果

①戦績

前回より数はこなせました

 上記が最終結果となります。上位者で唯一の足立ミミ使用者になれました。
しかし、データとしては前回3位の勝率64%から大きく下がり、序盤から手ごたえのなさを感じていました。そのため、早々に金アイコンは諦め、後半は銀ボーダー維持に勤しむだけとなりました。
個別にデータ集計は行っておらず、詳細は覚えていないため体感となりますが、悪魔には勝ち越せていました。しかし、本デッキ同様に悪魔に対して強い「ハンマークラッシュ・ディール」デッキや、悪魔と同期でスキルパワーが異常であるオバロ、雷、ハーピィの対策が甘く、五分以下の対戦を強いられていました。特に、事前から気付いてはおりましたが、スキル「マキシマム・オーバーロード」を用いたオバロデッキに対しては、回復すること自体が「超魔機神マグナム・オーバーロード」の養分となってしまい、得意の持久戦が通用せず、裏目となることもありました。

揃ったら大体負け

 環境は悪魔一色と読んでいましたが、開幕時、特に下位層のデッキはバラバラで、後半は上位層でも陰陽ドラギアスの強さが浸透し始め、悪魔は数えるほどでした。デッキがバラけることにより、対策が上手くハマらず、今回の結果になったと考察します。

最初の10戦だけ記録して飽きた

次に今回の結果になった要因を以下より詳しく分析します。

②要因分析

主な要因を3点上げます。

  • 要因1:スキルが相対的に弱い

 このスキルを採用した時点で分かり切ってはいましたが、デュエル中に1回、回復魔法をサーチするだけのスキルは、現環境ではほかのスキルと比べてとても弱いです。現環境の最新スキルは、条件を満たせば「手札入れ替え」「コスト踏み倒し」「攻守ダウン」「表示形式変更」など、有利な展開を毎ターン生み出すことが可能なものばかりです。それに対して、ただのデッキ1枚圧縮と回復だけで対抗しようとしていたのは無謀でした

  • 要因2:下級枠の自由度がなく、強力なカードが入れづらい

 前述で「オールナイトフィーバー」以外はデッキ枠に制限はないと申し上げましたが、「オールナイトフィーバー」の発動条件の都合上、水族モンスターの採用が欠かせなくなります。また、水族モンスターの中にも「メッシーホース」「アッシーホース」など通常水族モンスターを要求してくるカードを採用しており、実質下級モンスターには制限がありました。唯一1枚投入されている「フェニックス・ドラゴン」でさえ、「水分補給」等の効果発動が満たされなくなるなど、強力な下級モンスターであるはずがかえって足枷となる場面が多々ありました。今回の対策プラン、構築、スキルでなければ、「昂光天使エッセル」など、ほかの汎用下級モンスターを多く取り入れてデッキをより強化出来たのですが、やむなく断念、水族で押し通す運びとしました。その結果、下級モンスターの最大攻守1400/1400平均攻守800/200とステータス面から見ても非常に心許なく、攻撃力1500の通常モンスターにめっぽう弱く、最上級を引かず回復もあまりできなかった場合がとても貧弱でした。

  • 要因3:手札最上級詰まり事故の挽回策が回復以外ない

 ラッシュデュエルは、そのゲーム性の都合上、最上級等が手札に詰まる、俗に言う事故負けが多々発生します。そこを挽回する手段としては、「手札を捨てる、または入れ替える手段の採用」「最上級の召喚コストを踏み倒す手段の採用」などが挙げられますが、本デッキには「アッシーホース」2枚を除いたら何もありません。構築の都合上手札事故は諦めていました。

彼には荷が重かった

 この手札事故に関して、「ヘルチューン・インヴェイジョン」は、スキルで毎ターン手札を捨てられる点がとても強力です。最上級モンスターが2枚手札に来たとしても不要な1枚を墓地に送りバランスを整えることが出来ます。それに対して、「セット―オールナイトフィーバー」、何も出来ません。手札を捨てる手段は最上級モンスターを墓地から回収してくる「フェニックス・ドラゴン」と、自身が最上級モンスターである「逆玉の神 ディアン・ケト」のみです。何も出来ません。本来ならば「連撃竜ドラギアス」を3枚投入したかったのですが、悲劇を可能な限り減らすためにやむなく2枚、代わりに「フェニックス・ドラゴン」で補う形で最上級モンスター5枚構築となりました。

先行わけわかめな初手の一例です

 30枚デッキに最上級モンスターを5枚採用した場合、初手で最上級モンスターを2枚以上ドローする確率は18パーセントです。つまり、およそ5戦に1回は初手が最上級2枚の計算となります。(補足:最上級6枚構築の場合はおよそ4戦に1回)「セット―オールナイトフィーバー」の場合、手札を捨てる手段がないため、引き過ぎた最上級モンスターが手札に残り、それにより次ターンのドロー枚数が減り、そこからさらに最上級モンスターを引き込んでしまった場合はほぼ負けです。つまり、5戦に1回ほぼ負けます。それに対し、悪魔族は最上級モンスターを捨てる手段がそのスキルに加えて、下級モンスターの「コバルト・コボルト」にもあるため、挽回策が豊富です。つまり、「ヘルチューン・インヴェイジョン」は初手に最上級が2枚きたらほぼ負けという事にはなりません。これが環境トップデッキとの大きな違いだったと考察します。

③(おまけ)リプレイ

 上振れ含め、良い展開が出来た対戦のリプレイを残しました。構築を練った分、スキルの弱さを補って環境デッキと戦えていた事が伝わればと思います。(デュエルリンクス のアプリをお持ちの方のみ視聴頂けます)

  • 対悪魔

有利継続して、ゴーサイケアしながらモヤを踏ませた試合

  • 対ハーピィ

有利継続して、最後に剣盾を押し付けられた試合

  • 対オバロ

ライフ差を気にしてドラギアスの特攻を我慢出来た試合

  • 対悪魔

相手の後手上振れを上振れで上書きした試合

4.総評

 対策むなしく金を逃しましたが、銀ボーダーのポイント争いの過酷さを経験し、スキルの選択こそリンクスの胆だという事を、改めて痛感しました。シアトル目指して、これからも精進します。

最後まで目を通して頂き、ありがとうございます。

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