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なぜ楽曲を必死に投稿するのか。

人生の先達から「歳をとると一年が早い」と聞いてましたが、確かにその理屈になぞらえても、54歳男子として大半を過ごした今年は、一家の主として管理職として社畜として、過去最速の人生を送ったなと思います。

ただ、歳をとるということは、不惑を超えて人生の蓄積から取捨選択していく、つまりは「経験則でラクをするもの」だと思ってました。
しかし今年は初体験とか俺ギネス更新みたいな、「なぜオレはこの歳でこんなに働くんだろう」という一年ではありました。

戦国を戦い抜いて天下統一したかと思ったら、今度は世紀末覇王に向け、異国の荒野でモヒカン革ジャンの連中をあべししていく、傷だらけの第2ステージに突入した感もあります。

それはこれまで趣味に過ぎなかった音楽にも及んでいたのです。

ニコニコで3曲

ニコニコ(ドワンゴ)とは、2008年に職場で公式コラボして以来、数年に一度くらいのご縁が続きました。

ここ2年ほどは担当番組『RADIO MIKU』で、またお付き合いいただけるようになり、メディアパートナーとなった投稿祭に楽曲制作で参加しています。

前にも書いたように、メディアパートナーとしての義務ではありません。
他人に「創作の楽しさ」を伝えるなら、それを実践しないのは嘘だという、頑固者の老害なのかもしれません。

しかも大した看板だとは思いませんが、番組を背負っての投稿は、多少ゲタを履かせてもらえています。
個人名で投稿するより、括約筋にそれなりの負担がかかるものです。

今年は4月と10月に開催されていた『ボカコレ』が開催時期変更によって、3月、8月、そして12月の『1枚絵動画投稿祭』で3曲を制作しました。
他人様に聴かせる前提での作曲ペースとしては、この20年で最多です。

3月「みそみそうみゃあ」

これまで清水藍の作詞・作曲だったのが、イチから製作に関わることになった最初の曲です。

2021年秋と2022年春の「ボカコレ』では、名古屋在住のボカロP・ねじ式さんにアレンジをお願いし、2022秋はアレンジのみを担当しましたが、今年2月から3月は清水が初音ミク国内ツアー全会場に参加するため、ベースは僕が作ることで決まりました。

楽曲自体は、21年夏に『らじみくサミット』という自社イベントで作ったオープニング曲のサウンドセットをベースに、90年代後半のレイヴみたいなものを目指していたら、まったく違うものになりました。

ちなみに言っておきますが、国内ツアーにおける清水の立場は、自費で参加する観客ですので、普通は仕事を優先するものじゃないですか。
おかしなハナシですよ。

でも、リスナーで『ボカコレ』知ってる方は「じゃあ仕方ない」となるわけじゃないですか。
しかもですよ、清水本人が投稿どころじゃないことを堂々と「(周りのミク廃は)みんなわかってる」なんて口に出すんですよ。
おかしなハナシですよ。

8月「楽耳未来神社」

7月の自社イベント(夏まつり)のため、清水から一方的に「わたしはピアノの練習があるから」と、まるで放課後に遊ばないこどものように主張され、泣く泣く飲まされました。

泣く泣く飲んだものの、「じゃあ自分の好きなことしてやれ」というレジスタンスにも似た心持ちで、エイフェックス・ツインばりのIDMを目指したのがこの曲です。

ちょうどRolandのSH-4dというハードシンセを入手したので使い倒す意図もありましたが、プリセットに60年代のサスペンス映画で使われるエレキギターみたいな音があり、4小節のフレーズを鳴らしたループで曲作りを始めました。

清水と会話して「らじみく神社で肝試し」というイメージは共有していて、動画と同時進行で仕上げた結果がこれです。

曲はすぐにできたので、動画制作に時間がかけられ、アニメ的な動きもいくつか試しています。

12月「Peppermint Rainbow」

今のところ最新作。

『1枚絵動画投稿祭』には「初音ミク16周年記念」との冠があり、「誠心誠意音楽に向き合おう」という殊勝な心掛けのもと、ドが付くほどのストレートなポップス楽曲にしました。

詳しくはこちら。

ゲタを履く覚悟

先にも書いたように「ゲタを履かせてもらう」とは、イコール「万人にウケるものを作らなければならない」ということではない、というのが僕の考えです。

立場を利用して「世の中にはこんな音楽もあるんですよ奥さま」とレコメンしていくことも、ゲタ履き業者の大切な役割かなと考えます。

今年であれば「楽耳未来神社」ではテクノでも特にコアなIDM、「Peppermint Rainbow」ではハードロック登場寸前の職人音楽の極みなど、2023年現在世界で数千人しか聴いてないような音楽です。

まあ、これも曲が完成して送り出せたからの後付けかもしれませんが、みんなが知ってるヒット曲しか流れないラジオ番組なんか誰が聴くんだろうという、極めて個人的なラジオ観もあったりします。

さて、2024年はどんな波乱が待っているのでしょうか。
不安と楽しみがカオスな今日この頃です。

ラジオ局勤務の赤味噌原理主義者。シンセ 、テルミン 、特撮フィギュアなど、先入観たっぷりのバカ丸出しレビューを投下してます。