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介護保育ユニオンの厚生労働省申し入れ、そして介護保育ユニオン宣言(仮)について

 私たち介護保育ユニオンは4月19日に厚生労働省への申し入れを行いました。これは2月21日に記者クラブで開いた記者会見https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/8c1d366f381d52b6c1ebd27fdaee07157302396c
と厚生労働大臣宛の要求を受けて、同省老健局と労働基準局が対応したものです。

〈私たちが先に回答を求めた3つの要請事項について〉
 
介護従事者が構成する労働組合が国へ申し入れを行うことはこれまでもありました。特に他業種との賃金格差を改善してほしい、という要望は様々な組合が重ねて行ってきています。
しかし、私たち介護保育ユニオンの面々はそれらの内容に少なからぬ違和感がありました。
介護職員は国がお金をくださるのを受動的に待つだけでいいのか。更なる公金の予算計上に必要なのは、政治家や官僚の決定以前に私たち自身の行動に対する社会の共感ではないのか。その共感を私たちは得られているだろうか?
そのような視点から求めた3つの要請事項について、私たちは厚労省に説明し、要求しました。
(申し入れ書のリンク)

(1)全産業水準との差額である月額7万円の給与上乗せを介護報酬とは別に支給する措置

 国や自治体による上乗せ・または横出しでの支給を求めているのは、各種加算のような煩雑で二転三転する制度では根本的な解決にまるで至らないからです。
 それには一兆円規模の支出が必要となることも当然私たちは理解しています。これを実現させるには社会からの共感を通した世論の形成が必要です。法令の制定はその結果でしかありません。
 その最初の一歩は、介護職員と介護事業者が自らを律し職業倫理を全うすることである、と私たちは確信しています。

(2)国と自治体による介護事業者の法令違反への厳正な対処

 虐待・身体拘束・不正請求・賃金未払いなどの法令違反が横行している状況を、私たちユニオンの組合員は実際に職場で見てきました。
 これらの違法行為を黙認したり、あろうことか指示する事業者や、嬉々としてそれに加担する介護職員さえ存在します。公金が不正に給付され人権侵害が常態化した介護の現場からは、心ある職員たちが失望して次々と去っていきました。
 不正の摘発は時折メディアで報じられることもありますが、それらは全体からすれば氷山の一角にすら達しません。
 不正が横行する大きな原因は、監督自治体の調査がまるで機能していないことです。私たち組合員が意を決して自治体に通報した事案に適切な調査と処分が下されていない。それどころか幾つかの通報は調査すらされていないことを今回の申し入れで強調しました。
 また、介護事業者の賃金未払いについても集中取締りを行うことを要望しています。ある組合員は2400万円(!)に達する未払いについて現在も会社側と交渉を続けています。この組合員が勤務するサ高住というサービス形態、並びに類似するサービスである有料老人ホームや特定施設などが不正の温床となっていることの背景を説明し、徹底した調査を要請しました。

(3)行政機関による指導の情報を一元化し速やかに公表

 自治体による定期的な指導や通報に対応した調査で指導や処分が行われているにもかかわらず、その公表基準は各自治体で足並みが揃っていません。受け入れ停止などの重い処分に至らなければ公表さえされず、そもそも掲載されている情報自体に辿り着くまでに手間を要しています。
これらは利用者である要介護者がサービスを選択する際の極めて重要な情報であるはずです。また、相談支援職であるケアマネジャーにとっても、事業者が重ねて指導を受け続けている事態を把握できなければ適切な支援ができません。そんな不適切な事業者をクライアントに紹介できるわけがないからです。
 口頭指摘や文書指導による改善命令を含めた全ての情報を、散逸させずに情報公表システムに速やかに掲載し公表することを求めました。

〈介護職員はなにもしなくていいのか?〉

席上、私たちは何度も繰り返して訴えました。
 
「自分たち介護職員がちゃんとやります、だから国もちゃんとやってください、と言ってるんです」
「こんな状態で自分たちはなにもしないで、税金使って給料上げてくれ、なんて言ってないんですよ」

 この半年ほどの間、介護保育ユニオンは組合員同士で山ほど意見を出し合いました。

「受け身で待ってても何も変わらない、介護職員たちが主体的に動いて自分たちから変わらないとダメだ」
「制度を動かすために必用なのは社会からの同情ではなくて共感だ」
「自分たちの争議も大事だが私たちは福祉職だ、その先のソーシャルアクションに繋げたい」

ここから、私たちは次の行動を提起します。

〈介護保育ユニオン宣言(仮)へ向けて〉

 そのような議論を経て、私たちは介護保育ユニオンとしての理念と行動を宣言文として近日中に掲げることにしました。

 ケア労働者として自らを律し行動すること、その職業倫理が事業者や自治体に侵されないように要求すること、内外の様々な属性の人々と連帯して社会の共通善を獲得すること。
 盛り込みたいことを完全にまとめるまで今少しの時間が必要ですが、独自性を持った宣言にしたいと思っています。

 私たち介護保育ユニオンの理念と行動に共感を示してくださる全ての属性の方々へ。私たちも共感と連帯で応えていきます。介護業界の内外を問わず、あなたの声を聴かせてください。

 
〈介護保育ユニオンとは?〉
 
 労働者が一名から誰でも加入できる個人加盟制労働組合である総合サポートユニオンでは、これまでにも様々な産業のブラック企業と対峙して交渉し、労働者の権利を勝ち取ってきました。
 私たち介護保育ユニオンは、その総合サポートユニオンの介護・保育支部として活動しており、様々な企業で働く介護職員や保育士がケア労働者として相互に支援を行っています。
 ハラスメントや賃金未払いなどの被害にあっている、事業所の不正が改善されない、などの問題を抱えているケア労働者の皆さん、一人で悩まずに下記の手段で私たちにご相談ください。

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