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ソビエト時代の映画

■映画シベリア物語
シベリアはエニセイ川の東の広大な土地です.この映画はソ連がコンビナートなどシベリア開発を進めていた時代(1947年)のプロパガンダ映画です.
同僚教師Kさんと一緒に見て感傷的になりました.それは自分にも研究と教育の葛藤があったからです.アンドレイは優れたピアニストでしたが,戦争で手を負傷.ピアニストの道を諦めます.恋人を残してシベリアへ一人旅立つのですが,そこでも音楽の道を諦めきれず模索し続けます.素朴なシベリアの民衆の生活がありすがすがしい映画です.「バイカル湖のほとり」「君知りて」はこの映画に出てくる歌です.
(注)この2つの歌については,改めて別の項目で述べる予定です.

ソ連邦崩壊1991年によって,ロシアや周辺連邦諸国での平和主義のヒューマニズムに満ちた私好みの感動の映画の製作がストップしてしまったのは残念です.例えば,私が1980年代に見たソ連邦時代の映画で,人間の運命,誓いの休暇,オブローモフの生涯,ピロスマニ(グルジア),ジプシーは空に消える(モルダビア,モスフィルム)などが印象に残っています.哲学的な洒落た台詞もあります.
「朝は早く起きろ.夕暮れはいやでもやってくる.」「悠然と生きろ.いつか死ぬ時が来る.」(ジプシーは空に消えるより)これは,寝坊な息子への嫌がらせを兼ね,我が家のトイレに張っておいたことがありました.

■シベリアといえば,以下の本を話題にしましょう.
1.シベリアと流刑制度,ジョージ・ケナン
2.シベリア日記,榎本武揚
3.サハリン島,チェーホフ
ジョージ・ケナン,榎本武揚,チェーホフのそれぞれが,シベリアを横断したのはこの順です.ほとんど同時代,同じ道を通りました.ケナンやチェーホフは記者として流刑制度の実態を知るのが目的.榎本は駐在武官としてシベリアの交通や生活産業に注目していました.
どれも困難な旅で,3人ともよく無事で横断できたと思います.
榎本はケナンやチェーホフのように当局から睨まれることはありませんが,超短期間横断で,走っている馬車中泊も多く別の意味で壮絶です.
■政治犯のシベリア送りは,裁判もなく行政手続きだけで行われ,嘘の告げ口などや,ずいぶん不当な理由で告発がなされました.そして法律家は粛々とこの仕事をします.シベリア送りの仕事のために法律家の資格をとるとチェーホフは書いています.悪法であっても法律通りに仕事をするのが法律家でしょうか?日本も秘密保護法や緊急事態法などと,帝政ロシアのシベリア送りの時代に逆戻りの感があります.司法が危ない.

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