新年早々の煩悩～温泉という名のSOGIEインヒビター～

新年あけましておめでとうございます。

1月1日朝から事件現場に居合わせてしまいまして、

煩悩というか、とてももやもやしているお正月であります。

前々から課題に感じていたところだけに甚だもやもや。

まずは、事件の概要を書こう。

Aさんは温泉にいき、受付でスタッフから女子浴のカギを受け取っていた。

Aさんは酔っぱらっていたと思われる。

男湯、女湯ののれんの前あたりでスタッフに何やら話しかける。

スタッフは意図がくみ取れず、持っていたカギを見てひとまず女子浴の入り口を案内する。

すると突然、「女じゃねぇし」と言って、タオルを投げつける。

「もういい、帰る」、と言い、スタッフの制止を振り切って帰る。

そもそも、温泉や銭湯の男湯、女湯の分け方は、

SOGIESC

Sexual Orientation性的指向
Gender Identity性自認
Gender Expression性表現
Sex Characteristics身体的性

のなかで、

Sex Characteristics身体的性

によるところが大部分となると思う。

それは、全裸になる、という環境上、外性器、胸に目が行くから。

一方で受付で性を判断する根拠として大きいのは

Gender Expression性表現

の部分。

そして、性をきかれた場合に本人として意識するのは

Gender Identity性自認

このように、

客自身、スタッフ、その他の客の3者で

捉えるであろう性が異なるのだから、

問題が起きて当然である。

さて、話を戻すが、

異常を考慮したうえで問題となるのが、

「外見でスタッフが性別を判断しないといけないシステムの問題」

である。

客自身のGender Identity性自認、

（あるいは、Gender Identity性自認と異なったとしても温泉に入るにあたってSex Characteristics身体的性）

によって、

客自身が男湯か女湯か自己判断したもの

と、

Gender Expression性表現によってスタッフが男湯か女湯か自己判断したもの

が異なるのは、

適切なシステム、あるいはコミュニケーションによって解決しうる。

例えば、

券売機でチケットを買う時点で、男湯券か女湯券か選んでもらえば

スタッフの判断が介入する余地はない。

（こういうシステムのところはあるだろうが、ここはそうではなかった。）

また、コミュニケーションによって、

たいていは違うカギを渡されればその場で客自身が修正するであろう。

（今回は酔っぱらっていたためそうされなかったと思われる。）

ただ、一度は違うカギを渡されることで少なからずネガティブな感情が生じうると思うので、

親密なコミュニケーションは求められる。

さて、さらに、

客自身のGender Identity性自認と

他の客が判断するSex Characteristics身体的性

が異なる場合を考慮すると、

男湯、女湯というかたちではなく、混浴にするというアイディアが挙がる。

男女に二分されることでどうしても制限が生じてしまうので、

だったら、二分するのをやめようという発想である。

また、現状の温泉において、別の視点で気になるのは、

同性だからと言ってプライベートゾーンが見られる環境はどうなのか

というところ。

プライベートゾーンは、基本的に人に見せない、触らせない

というのが包括的性教育で3歳ころに身につけたいポイント。

現状でも、タオルで隠す人が多いとはいえ、どうやっても見えてしまう。

この点を合わせても、プライベートゾーンを隠したうえでの混浴というかたちは良いのではないかと思われる。

一方で、

自分の性器が変なのではないか、という悩みは少なくなく、

いろいろな性器があって当然、ということを知る機会として

他人のプライベートゾーンを見ることは重要ではある。

他に、温泉、銭湯で問題になりがちなこととしては、

タトゥーや入れ墨

がある。

反社会的勢力につながるイメージがあったりなどで、

禁止している施設は少なくない。

緩和の傾向にはあるようだが、

個人の表現が制限されているという点は否めない。

以上、

稚拙な文章ながらに温泉、銭湯がらみで気になっていたことを書いてみた。

現状、困るなら行かない、という選択をするのが無難な回答にはなってしまうが、

温泉、銭湯の魅力はあるので、それがもっと多様な形で満たせる場所が増えたらいいなとは思った。

少なくとも、即座にシステム面で改善が見込める部分は改善していきたい。