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【News=びわ湖ホールの無観客「神々の黄昏」ライブ中継に大反響(2020)】

 滋賀県大津市のオペラ劇場「びわ湖ホール」は3月7日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため観客を入れた上演を断念したリヒャルト・ワーグナーの代表作である舞台祝祭劇「ニーベルングの指環」四部作の4作目にあたる楽劇「神々の黄昏」を午後1時から無観客で上演し、動画配信サイトYouTubeで無料ストリーミングとしてライブ中継された。常時、1万1千人前後がライブ視聴していた。1848席のチケットは完売で観られなかった人たちにとってはとんでもない災難となったが、パソコンやスマートフォンの画面越しとは言え当初の6倍ほどの人たちが普段なかなか気軽には観に行けない名作と呼ばれるワーグナーの祝祭劇を目にすることができたことになり、オペラの新たなファン獲得のためには絶好の機会となることは間違いのないところ。演出にあたったオペラ界の巨匠、ミヒャエル・ハンペ(Michael Hampe)はその演出作品が数多く映像化され、テレビ放映や映像ソフト発売が相次いでいることでも知られている映像と親和性の高い演出家で、その映像美が高く評価されていることから、今回のライブ中継も会場で観る迫力に見劣りしないものになっている。ハンペの演出のもと国内外から歌手が集結し、芸術監督の沼尻竜典の指揮で京都市交響楽団が管弦楽を演奏している。7日の上演は午後6時45分ごろ終了し、ライブ中継も終わったが、8日も出演者を代えて上演、7日と同様にライブ中継される。(写真は楽劇「神々の黄昏」やびわ湖ホールとは関係ありません。イメージです。「琵琶湖の黄昏」ではありますが…)

★続きは阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも読めます(劇評など一部のコンテンツは有料ですが、ニュース記事はいまのところ無料です)

★びわ湖ホール プロデュースオペラ 『神々の黄昏』3月7日=YouTube=既にライブ中継は終了していますので視聴はできませんが、ご参考のためURLを掲載しておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=pbhzqWLfus0

★びわ湖ホール プロデュースオペラ 『神々の黄昏』3月8日=YouTube=クリックするといきなり大音響の楽曲が聴こえて来るタイミングもありますので、まずスピーカーの音量を確認してからリンクをクリックしてください
https://www.youtube.com/watch?v=yv5tfl7t_nI

 楽劇「神々の黄昏」はびわ湖ホールが主催するプロデュース公演。
 「ニーベルングの指環」は四部作で、「ラインの黄金(Das Rheingold)」(2時間40分)、「ワルキューレ(Die Walküre)」(3時間50分)、「ジークフリート(Siegfried)」(4時間)、「神々の黄昏」(4時間30分)から成る。連続して上演されることはほとんどないが、ドイツのバイロイト音楽祭では比較的上演機会が多く、開幕前日から4日連続で上演されることもある。
 国内有数の4面舞台を持つ大ホールを擁し、これまでもさまざまな意欲的な企画を続けてきたびわ湖ホールは、2017年からこの「ニーベルングの指環」四部作を毎年1作ずつ手掛け、その最後を飾る完結編が今回の楽劇「神々の黄昏」。
 製作費は「神々の黄昏」だけで1億6千万円。約1年間かけて製作してきた。

 昨年2019年11月に開始したチケット販売も好調で、前席を完売。準備も順調に進み、最終段階に入っていたが、日本政府が新型コロナウイルス対策として全国の小中学校、高校などに休校要請し、ホールでのイベントの開催も難しくなってきたことから、28日になってびわ湖ホールが主催事業の中止・延期を決定した。ただオペラ公演は出演者が多く、全員のスケジュールを再調整することが事実上不可能なため、「神々の黄昏」に関しては延期ではなく中止を選択した。
 ところが、中止決定に対して撤回を求める声が多く届いたことに加え、ただ単に中止してしまうとこれまでの準備が活かされないまま、何も残らないことから、無観客でも上演して、録画映像を残すことを急遽決断した。
 映像は日本語字幕付きのDVDとして後日販売する予定だという。

 毎日新聞の報道によると、関係者数十人だけが客席に入り、それぞれが十分な距離を取りながら3、4階席に腰掛けた。開演前に山中隆館長が「ここまでこぎつけたアーティスト、スタッフを誇りに思う」とあいさつしたという。

 びわ湖ホールの大英断にインターネットも沸騰。ドイツ語での上演で日本語字幕はないため「よく分からない」という声もあったが、TwitterなどのSNSでは専門知識のある人が解説を挟んだりしており、ファン同士が一体感に包まれている雰囲気。舞台袖に居て歌詞やせりふを歌手に伝えるプロンプターと呼ばれる人の声が聴こえるほどの臨場感を楽しんだり、ライブ中継でこれほどの高いレベルの音質を維持している音響担当の苦労や努力に思いをはせたりする人もいて、皆それぞれにオペラに魅了されているようだ。
 びわ湖ホールもSNSで細かく反応し、さまざまな情報も掲載しているが、中継の画面をスクリーンショットで撮ってSNSに載せることについては固く禁じている。著作権や肖像権など各種の権利を侵害することになるためとみられる。

 8日のストリーミングは7日とはURLが変わりますのでご注意ください。
【8日】
https://www.youtube.com/watch?v=yv5tfl7t_nI


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