AdobeStock_84127888_Preview動物たちと地球

地球のために動物たちが立ち上がる。現代人はこれを予言の書としか思えなくなる…★劇評★【舞台=どうぶつ会議(2019)】

 かつて井上ひさしが劇団四季に書き下ろした「どうぶつ会議」をこまつ座が上演している。戦争ばかりしている大人の人間たちを憂い、このままでは子どもたちがかわいそうだと地球上の動物たちが立ち上がるエーリッヒ・ケストナーの傑作小説がもとになっているが、50年以上前に発表されたとは思えない警句があちこちに散りばめられ、現代人はこれを予言の書としか思えなくなる。つくりは子どもたちに理解しやすいようになっていて、会場に駆け付けた子どもたちの目には動物たちは、悪い大人たちに痛烈なメッセージを突き付けてくれるヒーローのように映っているが、大人たちには、子どもたちの世代から「もういい加減にしないと、許さないぞ」と最後通牒を突き付けられているような気分になる作品。地球を守るために立ち上がるのなら、ほんとうに最後の最後のチャンスであるこの時期にこの一作が上演された意義は大きい。(写真は舞台「どうぶつ会議」とは関係ありません)
 舞台「どうぶつ会議」は1月24日~2月3日に東京・初台の新国立劇場小劇場で上演される。

★舞台「どうぶつ会議」公演情報

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