水たまりをこえて
仙台は梅雨である。低気圧とじめじめとした空気が私の心に重くのしかかる。制限時間いっぱいまでぐうたらを満喫した後、意を決して自宅を出発した。
昨晩から続く雨で、歩道には大きな水たまりができている。道の向こうから、中学生の集団がこちらに向かってくる。まだ時刻は12時過ぎ。テスト期間の早上がりだろうか。そんなことを考えているうちに水たまりを挟んで彼らと対峙してしまった。さあ、どうする?私は、ひとまず彼らの出方をうかがうことにした。
皆、一度水たまりの前でつんのめるように立ち止まる。誰が最初に行く?などと相談を始めた。私なら点字ブロックの上をそっと歩くかな。そんなことを考えた矢先、1人の少女が水たまりの一番深いところをまっすぐ突っ切った!スニーカーで!
後に続くように、中学生たちは一気に水たまりを渡り切ってしまった。なんと爽やかなことか…梅雨の湿気をもろともしない青春の一幕を目の当たりにした。実に良い風景だ。
私は、もう戻れない“あの頃”に思いを馳せつつ、つま先立ちで慎重に水たまりを渡るのであった。ところで、仙台市には早めに歩道の改修をお願いしたいところである。
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