せぶん

気まぐれに日記をつけることにしました

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最近の記事

郊外の風景が好き

ゴールデンウィークの中日に仙台の郊外を歩く。道端には雑草が可愛い小さな花を咲かせている。真っ直ぐな農道で速度違反の自動車が次々と私を追い越して行く。 田んぼには水が張られ、雲ひとつない青空が切り取られる。隣の畑には去年は枝豆が植えられていたっけ。今年は何を植えるだろうか。心地よい風に、少し土の匂いが混ざる。山の裾野を新幹線が通り過ぎる。 コンビニに寄ってみる。「店内で焼きました!」の文字に、思わずメロンパンを買う。高校生の時の買い食いを思い出した。安心するが、少し甘すぎる

    • 春の終わりに

      中庭に大きな桜の木がある。毎年、窓から満開の桜を眺める。生活のささやかな癒しである。半額の焼き鳥と発泡酒が旨い。 桜が散る。散った桜は中庭に積もる。ところどころピンクになった中庭を見ると、そこにはタンポポが咲いている。 厚手のパーカーやセーターを、防虫剤と共に衣装ケースに押し込む。大きなくしゃみが出る。埃が舞ったのか、はたまた、終わりかけの花粉症か。 スニーカーを履いて外に出る。穏やかな日差しの中を散歩する犬。中庭の桜の花びらはいつしか変色し、土の中に溶け込んでしまった

      • 受験の季節

        大学受験の話題がSNSから聞こえてくる。今年も全国の受験生が1年間の勉強の成果を発揮する季節がやってきた。それと同時に、日本の受験制度や学校での学習内容に対する議論も活発になる。古典など、日本特有の科目に対してはその必要性を含めて、特に議論が白熱しているように感じる。私はSNS上で意見できるほどの人間ではないから、ここで密かに独り言を。 結論から言えば、私は日本の大学受験および、高校の学習カリキュラムが好きな方である。日本の受験は努力が評価されるところが良い。受験にちゃんと

        • CDは“良い趣味”か

          久しぶりに暇ができたので、私の趣味についてのんびり考え事をしてみる。 中学生のときにスピッツというバンドに出会った。その熱はまだ醒めることを知らない。少ない小遣いで中古のCDを買い漁った。ファンになってから初めて体験した“アルバムの発売日”にはお小遣いを全放出して限定版を手に入れた。忘れられない思い出である。スピッツをきっかけにさまざまなバンドを聴くようになった私の部屋の本棚には、今もずらりとCDが並んでいる。 私のCDを見た友人に「良い趣味だね」と声をかけられたことがあ

        郊外の風景が好き

          失われそうな伝統を守りたい

          お盆は実家に帰省をした。コロナ禍もあり、お盆を実家でのんびり過ごすのは数年ぶりとなった。 私の実家は、田舎と形容するのもおこがましいほどの山奥にある。人口も少なく、だからこそ、村の人々は私を温かく迎えてくれる。どこに行っても、誰に会っても、おかえり!と声をかけられる。自慢の故郷である。 今年は、3年ぶりに盆踊りが開催された。久しぶりの開催とあって、私もとても楽しみにしていた。私の村の盆踊りは、同じ市内でも街中の盆踊りとは全く異なる。はるか昔、そこら辺の村々を集めて市に合併

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          ベスビアスな夏を

          “ベスビアス”という言葉をご存知だろうか。もしこの言葉を聞いたことがあれば、同郷の方の可能性が高い。聞いたことが無い?それもそのはず。そもそも、そんな言葉は無いからである。 ベスビアスとは、主に花火を形容するための言葉である。主な使い方としては、『超ベスビアス 大スターマイン』といった具合である。なんだか、とてつもなく豪華な花火が上がるような、そんな気がしてくる。 昨日、新潟県の長岡花火がYouTubeでライブ中継されていた。懐かしいふるさとを思いながら花火を眺める。大き

          ベスビアスな夏を

          生き物を見つける

          私の実家は人里と言うのもおこがましいくらいの山奥にある。仙台に出てきてからは、すっかり街中の暮らしである。そんなわけで、生活の中で見つける生き物たちに親しみを感じる。 今日は通勤中に塀のふちに止まったトンボを見つけた。暑いから一休みしているのだろうか。そんなことを考えると、ふっと心が軽くなる。 私は生き物を見かけたら、すぐにその名前を調べるようにしている。今日見かけたのはアキアカネのようだ。目に入った生き物や草花の名前を知っていると、親しい友人と久しぶりに再会したような感

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          小学生は後ろ向きに歩く

          私の自宅の近くには小学校がある。今日は通勤時間が下校時間と重なったため、私の腰より少し上を、黄色い帽子がいくつもすれ違う。友達と話しながら。木の枝を振り回しながら。大きな水筒をぶら下げながら。下校のスタイルはそれぞれだ。 そんな通勤ルートの中腹には、歩道橋がある。信号待ちの時間を惜しんで、今日は歩道橋の階段をのぼった。すると、向こうから小学生男子の塊がいくつも押し寄せてきた! みんな楽しそうに話していてとても微笑ましい。しかし、どの塊にも1人は後ろ向きのまま歩いている男の

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          親知らずを抜く

          親知らずを抜いた。人生で初めての体験だった。 私は虫歯というものになったことがなかった。すっかり油断していた。ある日ポテトチップスを噛み締めた瞬間にバキッという音と共に親知らずが砕けた。 歯医者を予約し、診察してもらったのが4月である。立派な虫歯ですね〜と歯医者さんはニコニコしている。親知らずだったので、その場では簡単な治療にとどめて、後日抜いてしまおうということになった。 なんだかんだと月日は流れ、今日ついに抜歯の日を迎えた。朝からソワソワと緊張していた。軽食をとって

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          今日も早歩き

          寝坊ギリギリに起きてしまった。何重にもかけたアラームの最後の1回まで寝ていた。危なかった。バタバタと支度をして家を出る。 普段より5分ほど遅い出発である。間に合うのか?いや、大丈夫。私には鍛え抜かれた脚がある。 私の母は、子供と大人の脚の長さが違うことをまるで考慮しない早歩き人間だ。そんな母との幼少期を送ったからか、高校時代には、陸上競技部で競歩に熱中していた。今でもGoogleマップが教えてくれる到着時間より遅れて目的地に着いたことは一度もない。 早歩きのコツは、骨盤

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          パン屋さんに通い始めた

          自宅と最寄駅の間に、小さなパン屋さんがある。この春から駅をよく使うようになったこともあり、パン屋さんでパンを買うようになった。 店の前にはバターの匂いが広がり、入り口のドアの小窓からは、こんがり焼けたパン達が並んでいるのが見える。それだけで嬉しくなる光景だ。 私がよく購入するのは、餡子とクリームチーズを挟んだパン。多分、バターも挟んでるんじゃなかろうか。食べると餡子の甘さと共にジュワッとジューシーな油分を感じる。ポップには「人気です」の文字。そうだよね。美味しいもの。

          パン屋さんに通い始めた

          在来線に揺られて

          普段は地下鉄通勤の私だが、今日は久しぶりに、在来線を使ってみた。在来線の方が若干運賃が安いらしい。乗り換えも楽だし、こちらに切り替えるか。 いそいそと座席に座る。ボックス席があるのは田舎の特権だろう。今日の相席は白髪のお婆さんだった。指に光る真珠をあしらった指輪と、白のパンツスタイルがとてもお似合いだ。 それにしても、空と街並みを眺めながら電車に揺られるのは良いものだ。エアコンの効いた車内から眺める外の世界は、ただただ気持ちのよいものである。 車両後方を見れば、この車両

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          推しカツのススメ

          私の愛したお店が閉店してしまった。 高校3年生の私は、受験に向けてよく勉強したものだった。そんな勉強漬けの日々の心のよりどころだったのが、隣町の商店街にあった精肉店である。 商店街には図書館があり、クーラーの効いた自習室に入り浸った。自習室の窓からは黄色い看板の精肉店が見える。閉館時間ギリギリまで勉強をした帰り、信号を渡ってその精肉店に入ると、ご夫婦がにこやかに迎えてくれるのだ。 店内には油のいい匂いが充満し、高校生の食欲を存分に刺激する。うまいよ!といった手書きの宣伝

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          水たまりをこえて

          仙台は梅雨である。低気圧とじめじめとした空気が私の心に重くのしかかる。制限時間いっぱいまでぐうたらを満喫した後、意を決して自宅を出発した。 昨晩から続く雨で、歩道には大きな水たまりができている。道の向こうから、中学生の集団がこちらに向かってくる。まだ時刻は12時過ぎ。テスト期間の早上がりだろうか。そんなことを考えているうちに水たまりを挟んで彼らと対峙してしまった。さあ、どうする?私は、ひとまず彼らの出方をうかがうことにした。 皆、一度水たまりの前でつんのめるように立ち止ま

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