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ホテル清掃員は心がキレイ

今日で7年目。ホテルで清掃バイトをして、だいぶ時間が経った。

残り物には福がある。
ホテルのごみから昨日の夜を推測するのが唯一の趣味だ。

この部屋はどうやら、
冴えないサラリーマンが吞んだくれて寝てしまって
慌てて、チェックアウトをしたようだ。
空っぽのミネラルウォーターが転がっている。
汚れたタオルが風呂場に置きっぱなしだ。
ゴミ箱には捨てられたキャバ嬢の名刺。
「ユウカ、かわいそ」
名刺を広げてあげて、しばらくキスマークを見つめてあげてから
破り捨てた。
名刺は折り曲げるな、破け。これ、常識!

次の部屋に入る。甘い匂いが充満している。
海外用の旅行パンフが捨てられている。
これは何か怪しい。

ゴミ箱には名刺。
まただ、また折り曲げている。
広げてあげた。
「〇〇商事 平島田 肇」
アタシの元彼だ。なんで?

8年目にして最大の謎にぶつかった。


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