見出し画像

ドロ活! ~コソドロがブラック怪盗会社で活躍できずにポンコツ扱いされて退職代行を使いたくなる話~

使えないな? またミスをしたんだな?
そりゃそうだろ、と思う。
今は、自分の能力を卑下したくなる気持ちの方が強いがそんなことばかりしていると鬱屈になる。
だから無理矢理誰が悪いか考えるようにするのは癖だ。

そう、未経験なのに採用した会社が悪い!
俺はしがないコソドロだっただけど、世紀の怪盗劇をできるはずがない。ミスマッチは採用側の責任だ。

しかし、数分後自分のダメさにため息が出る。厄介な男だなとつくづく思う。

おじいちゃんやおばあちゃんが住む家に忍び込んでは10万前後のへそくりを盗むことを生業にしていた俺。
しかし、国の政策も進んで独居世帯も少なくなったり、防犯カメラを付ける年金成金も増えてきたせいで、仕事は激減。
俺は働き手がなくなった。

しかたなく求人サイトを見て応募はしてみるものの「経験者採用」「資格者優遇」の文字が躍っている。

コソドロしかしてこなかった俺に、仕事なんてない。
そう思った矢先、「ブリリアント怪盗社」の求人を見つけた。
そこには「新聞記事レベルの盗難」「小説になりそうな怪盗劇」のほかに、「盗みの経験」と書かれていた。

「これだ」
直感で応募してみるとあれよあれよのうちに合格。晴れて契約社員になった。しかし、会社はブラックだった。

国立美術館や博物館、豪邸、大使館の絵画や骨董品を盗み出せと毎日怒鳴られるのだ。
「俺、経験者ではあるんですけど、ほぼ未経験というか」
「つべこべ言わずに働け」

コソドロとして生きてきた俺が怪盗として職務を全うするまでの奮闘が始まろうとしていた……。

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?