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はじめての同人誌作成記録

はじめに

「この妄想を漫画にしたいよー!」と思いながらも数年過ごし、今年ようやく冊子にすることができた一般人です。その時のプロセスを備忘録も兼ねてまとめてみます。
様々なことが面倒で踏ん切りがつかずにダラダラ過ごしていたので、私と同じように悶々している人のお役に立てれば良いな、と思っております。
注※テクニックの話ではなく、前に進めればいい人向けの話です。

タグから来てくれた方へ。こんな本になりました。(2冊目)

長々とした説明に入る前に……お伝えしたいことをシンプルに……

🔥集大成だと思って作り始めると、一向に進まない🔥

これは「描くからには今ある力は全て発揮したい」「納得いくものを作りたい」と欲張っていたばかりに延々ネタを温め続けていた自分が痛感したことです。
絵柄もコマ割りも諸々の表現も、描きながら上達させれば良いんだな、と割り切ってようやく前に進むことができました。


清書に入るまでの準備

本題です!
さっさと描きたい豪快な人であれば「何だコレめんどくさ……」となること間違いなし。
私も相当な面倒くさがりですが、初めてやるにあたって一旦丁寧にステップを踏もうと思った結果こうなりました。

①テーマや一番描きたいものを決める

漫画にしたい!という衝動が具体的に何から生まれたのか、メモしておきます。
「この表情が描きたい!」「このアクションを描きたい!」のようなピンポイントで十分だと思います。
力をいれて描きたい部分が決まっていると、後の清書でもエンジンがかけられます。

②ストーリーの流れを考える

テーマが決まったら、話の流れにどう当てはめるかを逆算します。
私は後から時系列を整えるやり方で組み立てましたが、物語の構成が既に決まっている人、なんなら脳内でエンドロールまで出来上がっている人にとっては不要なパートですね。

例えば「この会話が描きたい!」から入った場合、会話に至るまでの導入はどうするか、どう締めるか、前後の出来事を想像します。

1冊目につくった本:マンホールのシーン(左上)を描きたかったので、前後の流れを考えました。ページをどのくらい割くかもざっくり書いてみました。
2冊目:ページ数が2倍になって書くことが増えたので、吹き出しも使いつつメモ。いちばん描きたかったのは雲のシーン(四角囲い)です。

登場人物の感情の動きを別軸でプラスしても良いかもしれません。
3冊描き終わってから知ったのですが、世間はこの作業をプロット作りと呼び、起承転結を意識するとのことです。参考までに…(涙)

③ディテールをひたすら書き出す!

ネームに入る前に、現時点で浮かんでいる風景や動作をメモしたり、セリフ・モノローグを書き出します。文章は仮で良いので入れたい要素をとにかく出します。軌道に乗ると楽しい作業です!

メリット
・テンションが高い時の発想の備忘録になる
・芋づる式にアイデアが浮かぶ
・後々の時間短縮
作画に着手してから要素を足し始めると、ページ調整で悩む時間が余計に増えてしまう気がします。とにかく形にしたいイノシシには、後ろを振り返るヒマがありません…!

清書3ページ分くらいのメモ(きたないなぁ)後からオレンジの線でページを分けています
文のみでの書き出しです。移動の電車でぽちぽち打ち込んでました。後から頭にページ番号を振っています。

④整理する(ほぼネーム)

上の画像で既に着手していますが…③で書き出したものをページごとに切り分ける作業です。
すぐに切り分けられない部分は、場面ごとの塊にして一旦次に進みます。後から全体を見返したら手が進むこともあったので大丈夫…!
この作業で総ページ数の目安がつきます。

自分が解読できれば良いので、入りきらないセリフや追加要素もどんどん書きます。

【最大の謎】そもそもページってどうやって分けるの?【なぜできる】
コレ、積み上げた努力とセンスが問われる部分じゃないか?と思うと恐ろしくて手が止まりかけたのですが、あくまで完成が目標だったので、以下の2点を意識して強行突破しました。

❶リズム感:例えば、派手なヤマ場に対して雑談パートが長すぎないか、セリフやモノローグの量が意図に反してムラができていないか。
❷めくり:めくりで場面転換したり、盛り上がるシーンの演出に使ってみたり。続けて読みたいセリフをぶった斬らないように注意したり。

⑤下書き

いきなりデジタルに移るのが不安だったので、絵やコマのサイズと文字の量を確認したくて原寸アナログで下書きしました。
ぱらぱらめくりながら実際の本のように確認できて便利です。
先ほどのページ分けで意識したリズム感になっているか、絵がスカスカになっていないか、等を確認していました。

A4のコピー用紙を折って作りました。差し替えできるように裏面には描かない!

やっと清書だ……


ここまでの準備でおよそ1週間ほどですが、ここからが長い、長すぎる。
いよいよ清書!となったのに立ちはだかる壁の数々…それらの突破方法を箇条書きにします。
(※あくまで前に進むための方法であって、正しいわけではありません)

①ソフトはどうするか(iPad)

普段はプロクリエイトを使っていましたが、セリフ入れやコマ割り、ページ管理などがしやすいとのことでクリップスタジオEXを導入しました。
いつか漫画でプロクリが使いたくなったときに戻れば良いか〜と。
便利なものは使うしかない!

画面上で製本してめくることができるので、モチベーションも保てます。
ノドに大事な部分がかぶっていないかチェックできます。

②原稿設定はどうするか

一度基本をかっちりやってみたかったので、YouTubeで発信している漫画描きさんの設定をそのまま流用させてもらい、テンプレート化しました。
テンプレートにして全ページに貼りつけることで作業が大幅に楽になります!
🔥自己流のバランスに変えたければ、次回以降やれば良い🔥

以下の動画にはとてもお世話になりました。

クリスタはよく使うツールを上部セットできるのが便利です。

サイズはA5にしました。小さい方が好みだったのと、そもそもB5原寸に耐えられる絵が描ける自信がなかったからです。

③グレースケールor二階調どちらで入稿するか

どうやらモノクロの表現方法にはざっくりと2種類あるらしい・・・
これも全くわからなかったので、1冊目はグレースケール、2冊目は二階調にして肌に合うやり方を検討しようと割り切りました。
持っている同人誌を参考にするのも良いかもしれません。

グレースケール:網点なしのグレーで塗りつぶしています
二階調:トーンを貼っています。クリスタにいっぱい入ってるので準備も要らずにすぐ貼れます。


④ペン設定やそもそもの絵柄をどうするか

普段イラストでの活動がメインだと、漫画の絵柄をどうまとめて良いのか悩みます……コレも沼にハマると一生進まないので、同一キャラを何枚か描いて、しっくりきたものでとにかく描き進めました。
アニメでいうところのキャラデザを、自分で作って自分で描く状態です。はっきり言って100%自分の絵柄ではないけれど、いつか収束すればいいかと気楽に考えました。

🔥集大成だと思って作ると、一向に進まない🔥
とにかくこの精神です!

⑤スケジュール管理

1冊目の原稿で描きたい部分から手をつけてしまったせいで、線画が終わったあとにもトーン貼りや背景などで夜更かしする羽目になりました。そんなわけで、2冊目ではスケジュール管理のために進行リストを作りました。

作りまし……

え?

2023年の社会人が作ったとは思えない手書きの表です。もっと便利なツールが世の中にはある筈なのに……
しかし表のおかげで進捗を確認したり、その日のノルマを設定しやすくなったので、皆さまも是非デジタルでスマートな表を作ってみてください……

⑥印刷所を選ぶ

いい加減にしてくれよ…まだハードルがあるのかよ…
装丁なんか考えてる余裕ないよ!!もう本になればいいよ!!という状態だったので、初心者に優しい・対応が丁寧という触れ込みのSTAR BOOKSさんを選びました。
紙サンプルも豊富!https://www.starbooks.jp/doujin/paperspecimen.php
入校日の予約をするシステムの印刷所だったので、スケジュールも逆算しやすくて助かりました。

【余談】こちらは原稿のお供に楽しく聴かせていただいた同人漫画描きさんのチャンネルです。13:00あたりからの文豪ストレイドックスの流れに爆笑しました。

費用のお話も…
通常締切で2度作成したのですが、オンデマンド/A5/50冊刷りで単価が一冊500円前後になりました。早めに入稿するほど費用も節約できる印刷所が多いので、お財布やプライベートと相談して無理のない範囲でやりたいところです。


おわりに

以上が、妄想を漫画という形にするまでにシバいていったプロセスでした。
「紙を折ったらもう本だよ」という言葉もごもっともですが、必死に描いたものが綺麗に製本されて手に取れる喜びは、他に変え難い体験だなぁと思いました。

トライ&エラーを繰り返しながらも突き進む世の漫画描きさんは狂っている!(褒め言葉)と実感したので、自分も適度に狂いながら楽しく同人活動を続けたいと思います。


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