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    短い物語です。

  • きっかけは突然に

  • 坂道のマネージャーは人気者

  • アイドルアソート

  • 幼馴染の和さん

記事一覧

3 きっかけは突然に

まさかの秋元康と今野義雄に演奏を聴いてもらえるというスペイベをなんとかやりきった〇〇は、再び平穏な日々を過ごしていた。 その日は唯一とっていた大学の授業が休講に…

AXIRA
4時間前
6

隣は推しメン 中編

フランクフルトに降り立った〇〇は海外でより一層の緊張感のある入国審査をパスして、なんとか無事に入国を果たした。 空港からホテルのある駅までは電車で向かう。 Uber…

AXIRA
7時間前
14

2 坂道のマネージャーは人気者

七瀬「〇〇、疲れた~」 収録終わり。 楽屋に戻ってきた西野七瀬はキョロキョロとあたりを見回すと、ちょうど楽屋のソファーの前でしゃがみこんで何やら作業をしていた〇…

AXIRA
7日前
41

4 アイドルアソート

時刻は夜の7時になろうとしていた。 日も沈み、あたりには街路灯の明かりやお店や家々の照明が漏れて照らされている。 〇〇は一人目的地へと急ぐ。 お酒好きにとっては魅…

AXIRA
7日前
21

隣は推しメン 前編

東京、羽田空港第2ターミナル。 コロナが開けて国際線ターミナルとしての役割を開始した真新しい施設を喜多川〇〇は一人で大きなキャリーケースを引きながら歩みを進める。…

AXIRA
2週間前
48

3 幼馴染の和さんは寂しがり

和「ごちそうさま…」 夕ご飯を半分以上残した和はあからさまに元気がない声色で、食事の終わりを告げるとトボトボとリビングをあとにして自室へと戻っていく。 和父「……

AXIRA
3週間前
74

1 坂道のマネージャーは人気者

美月「暇だなぁ~」 ある日の楽屋。 出番までまだ時間がある。 すでに準備を終えた山下美月が大きな独り言を発したことからはじまる。 美波「ブログでも書いたら?」 楽…

AXIRA
3週間前
38

2 きっかけは突然に

まさか、こんな状況で演奏するなんて思っても見なかった。 〇〇は眼の前で鋭い視線を向けている秋元康と今野義雄を見ながら、構えたエレキギターのネックをギュッと握った…

AXIRA
3週間前
19

3 アイドルアソート

※本作には性的表現が含まれます。 握手会の日から数日経ったある日。 〇〇は都内の閑静な住宅街にやってきていた。 あたりには高級な住宅が立ち並ぶ。 しかし、住宅ば…

AXIRA
3週間前
27

いとこはアイドル

はじめまして、喜多川〇〇といいます。 大学進学を機に上京して一人暮らしをはしめて2年が経ちまして、早3年目となりました。 いやー、時が経つのは早いものです。 東京…

AXIRA
4週間前
41

2 アイドルアソート

※本作は性的表現を含みます。 今野「単刀直入にいいます。アイドルの恋人になってもらえないかな」 〇〇「ええーーーー!?」 あまりに突拍子もない話に思わず声が出て…

AXIRA
4週間前
25

1 アイドルアソート

大学の講義で経済学の授業を取ったときに、世の中にお金がまわる仕組みとかを聞いて、そーなんだなー、程度に聞き流していた。 結果的にはお金が集まるところにあつまり、…

AXIRA
4週間前
28

1 きっかけは突然に

人生何が起こるかわからないとはよく言ったもので、喜多川〇〇もまさにそれを痛感していた。 目の前には黒縁メガネの奥に鋭さを感じさせる独特のオーラを放つ、誰もが知る…

AXIRA
4週間前
19

登場人物(きっかけは突然に)

喜多川〇〇 1997年12月31日生まれ。2016年デビュー。 星月坂46のメンバー。 ギターボーカル。 斎藤櫂 1997年10月17日生まれ。2016年デビュー。 星月坂46のメンバー。 ドラ…

AXIRA
4週間前
3

4 動き出す時間はキミとの時間

白石麻衣と夕御飯を共にした橋本奈々未は、家に帰るために、酔い冷ましも兼ねて一人街を歩いていた。 あまりお酒を飲めない白石が珍しく飲もうと言い出した理由はわかって…

AXIRA
4週間前
11

2 幼馴染の和さんの忘れ物

〇母「〇〇〜、和ちゃんのお母さんよ〜」 自室でのんびり漫画を読んでいると、階下から自分を呼ぶ母親の声が聞こえた。 和のお母さん? なんだろうと思い、降りていく。…

AXIRA
4週間前
65
3 きっかけは突然に

3 きっかけは突然に

まさかの秋元康と今野義雄に演奏を聴いてもらえるというスペイベをなんとかやりきった〇〇は、再び平穏な日々を過ごしていた。

その日は唯一とっていた大学の授業が休講になり、おまけにバイトも入れていなかったから朝から悠々自適にのんびりできると思い家でゴロゴロしていたのだが、そんな平穏な1日をぶち壊す一件の電話が鳴った。

スマホの液晶にうつる名前を見て、〇〇は深々とため息をついた。
そこには実の姉の名前

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隣は推しメン 中編

隣は推しメン 中編

フランクフルトに降り立った〇〇は海外でより一層の緊張感のある入国審査をパスして、なんとか無事に入国を果たした。

空港からホテルのある駅までは電車で向かう。

Uberとかのほうがラクだという人もいるかもしれないが、異国の地で公共交通に乗るとなんとなくその国や地域の文化に触れられる気がして好きだった。

空港直結の地下鉄駅で切符を買う。

改札のない駅を進み、ホームへと向かう。
スーツケースをガラ

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2 坂道のマネージャーは人気者

2 坂道のマネージャーは人気者

七瀬「〇〇、疲れた~」

収録終わり。
楽屋に戻ってきた西野七瀬はキョロキョロとあたりを見回すと、ちょうど楽屋のソファーの前でしゃがみこんで何やら作業をしていた〇〇の姿を見つけると衣装のままテクテク近寄っていった。

そして、躊躇なんて微塵もない感じで体重を預けるように〇〇の背中に落ちるように抱きつく。

「うおっ…ぐぅっ…こ、こらっ…しゃがんでる人間に全力でのしかかったら危ないって何度言えば…」

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4 アイドルアソート

4 アイドルアソート

時刻は夜の7時になろうとしていた。
日も沈み、あたりには街路灯の明かりやお店や家々の照明が漏れて照らされている。

〇〇は一人目的地へと急ぐ。

お酒好きにとっては魅惑的な三軒茶屋の三角地帯。
リーズナブルなお店からディープな雰囲気のお店まで幅広いお店が軒を連ねる。

平日ど真ん中だからか、思っていたより人は少ない。それでも、酒好きの人々がすでにそこらかしこで盛り上がりを見せていた。

そんな三角

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隣は推しメン 前編

隣は推しメン 前編

東京、羽田空港第2ターミナル。
コロナが開けて国際線ターミナルとしての役割を開始した真新しい施設を喜多川〇〇は一人で大きなキャリーケースを引きながら歩みを進める。

航空保安検査は何回やっても慣れない。
悪いことはしていないのに、緊張感に苛まれる空気は心臓の鼓動を早める。

とはいえ、引っかかったことなんてないのだけど。
心配性なうえに自身がない性格に自分でも辟易とする。

コロナ明けの久しぶりの

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3 幼馴染の和さんは寂しがり

3 幼馴染の和さんは寂しがり

和「ごちそうさま…」

夕ご飯を半分以上残した和はあからさまに元気がない声色で、食事の終わりを告げるとトボトボとリビングをあとにして自室へと戻っていく。

和父「…和はどうしたんだ?」

娘の元気のない姿に心配になりながら、隣りに座ってご飯を食べている和の母親にに向かって父親が尋ねた。

和母「〇〇くんが大学のゼミの合宿でいないのよ」

和の母がそう答えると、和の父は合点がいったように若干呆れつつ

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1 坂道のマネージャーは人気者

1 坂道のマネージャーは人気者

美月「暇だなぁ~」

ある日の楽屋。
出番までまだ時間がある。
すでに準備を終えた山下美月が大きな独り言を発したことからはじまる。

美波「ブログでも書いたら?」

楽屋で隣に座った美月が椅子をグラグラとゆらしながら呟くのを、梅澤美波はスマホでブログを書いている途中だったのでてきとうに自分と同じ作業を提案してみる。

美月「あー、暇だなぁ~」

美波「えっ? 無視? 聞いてた??」

先ほどの提案

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2 きっかけは突然に

2 きっかけは突然に

まさか、こんな状況で演奏するなんて思っても見なかった。

〇〇は眼の前で鋭い視線を向けている秋元康と今野義雄を見ながら、構えたエレキギターのネックをギュッと握った。

刹那的には視線を櫂と慶太に向けると、二人はいつも通りの微笑みをたずさえながら、それぞれの楽器を構えた。

〇〇がそれを見て頷くと、ドラムスの櫂がスティックを三拍子叩いて曲がスタートした。

6時ちょうどにアラームを押し込んで
めざま

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3 アイドルアソート

3 アイドルアソート

※本作には性的表現が含まれます。

握手会の日から数日経ったある日。

〇〇は都内の閑静な住宅街にやってきていた。
あたりには高級な住宅が立ち並ぶ。

しかし、住宅ばかりかと言うとそんなわけでもなく、時折カフェや雑貨屋なども点在し、そのどれもがオシャレでこの街の雰囲気をより一層上げていた。

〇〇「(普通なら絶対来ないな)」

あまりの場違い感に、萎縮しながら待ち合わせ場所に向かう。

道なりに歩

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いとこはアイドル

いとこはアイドル

はじめまして、喜多川〇〇といいます。
大学進学を機に上京して一人暮らしをはしめて2年が経ちまして、早3年目となりました。

いやー、時が経つのは早いものです。

東京で一人暮らし。
さぞ楽しい悠々自適な大学生活を謳歌しているだろうとお思いの皆様も多いと思いますが、残念ながら僕の東京での生活は狂ってしまったのです、二人のいとこのおかげで。

ピンポーン

一人暮らしの部屋のインターホンが鳴る。
誰か

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2 アイドルアソート

2 アイドルアソート

※本作は性的表現を含みます。

今野「単刀直入にいいます。アイドルの恋人になってもらえないかな」

〇〇「ええーーーー!?」

あまりに突拍子もない話に思わず声が出てしまった。

奈々未「今野さん、それでは説明不足過ぎです。すいません喜多川さん、私の方から詳しくご説明します」

そういうと今野の隣りに控えていた奈々未が代わって説明を始めた。

奈々未「喜多川さんにお願いしたいのはメンバーのケアサポ

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1 アイドルアソート

1 アイドルアソート

大学の講義で経済学の授業を取ったときに、世の中にお金がまわる仕組みとかを聞いて、そーなんだなー、程度に聞き流していた。

結果的にはお金が集まるところにあつまり、そうでないところにはよほどのことがない限り永遠にお金は集まってこない。

そうできている。
そして、大学2年生となった喜多川〇〇は後者だった。

喜多川〇〇は絶賛金欠中である。

比較的大学は真面目に行っている。
別にギャンブルをするわけ

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1 きっかけは突然に

1 きっかけは突然に

人生何が起こるかわからないとはよく言ったもので、喜多川〇〇もまさにそれを痛感していた。

目の前には黒縁メガネの奥に鋭さを感じさせる独特のオーラを放つ、誰もが知る大物プロデューサー秋元康と、同じく秋元の数多くの偉業を支えてきた歴戦の猛者である今野義雄が、眼の前の若者を見極めようと睨みをきかせていた。

櫂「おい〇〇、聞いてねーぞ」
慶太「そうだぜ、なんだこの状況」

〇〇につれられて同席していた斎

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登場人物(きっかけは突然に)

登場人物(きっかけは突然に)

喜多川〇〇
1997年12月31日生まれ。2016年デビュー。
星月坂46のメンバー。
ギターボーカル。

斎藤櫂
1997年10月17日生まれ。2016年デビュー。
星月坂46のメンバー。
ドラムス、サイドボーカル。

小笠原慶太
1998年3月21日生まれ。2016年デビュー。
ベース、サイドボーカル。

4 動き出す時間はキミとの時間

4 動き出す時間はキミとの時間

白石麻衣と夕御飯を共にした橋本奈々未は、家に帰るために、酔い冷ましも兼ねて一人街を歩いていた。

あまりお酒を飲めない白石が珍しく飲もうと言い出した理由はわかってる。
元気がなかった自分を元気づけるため。

乃木坂46創設時からの仲間で、同い年と言うこともあり親友と言える間柄。

白石が元気ないときは奈々未が。奈々未が元気ないときは白石が。

御三家と言われ、乃木坂の中心を担う二人だからこその関係

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2 幼馴染の和さんの忘れ物

2 幼馴染の和さんの忘れ物

〇母「〇〇〜、和ちゃんのお母さんよ〜」

自室でのんびり漫画を読んでいると、階下から自分を呼ぶ母親の声が聞こえた。

和のお母さん?

なんだろうと思い、降りていく。

和母「あ、〇〇くん、ごめんね急に、ちょっと頼まれ事があって!」

〇〇「なんですかおばさん?」

和母「和がお弁当忘れちゃって届けてくれないかしら?」

〇〇「え、俺が!?」

和母「これからお客さんが来るから外出できなくて、お願

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