特別寄稿プチDAYS 「赤い風船」
ぴの持ち物をかなり処分したのだけれど、意外な大物、おしっこシートの未開封とLast Daysで使ってた開封したものが残ってた。いつまでもウチに置いといてもしょうがないので、
「ね、これ使う?」
と友人のジャズシンガーまみちゃんにテキストした。すると、
「使う使う」
ということだったので、ホッと胸を撫で下ろし、
「じゃ、近いうちに鍋をやるね。」
「じゃ、その時に!」
の流れになった。
当日には彼女の愛犬「ネネ」にも来てもらうように伝えたら、「ほんとう?」とまみちゃんは嬉しそうだった。良かった。バズが鳴ったので「到着だな」と急いで階段を降りて行く途中、すでに外からネネは僕を見つめてて、
「ね、ね、(ネネだけに?笑。)早く開けて。前にも来たことがあるお部屋でしょ?」
と目をキラキラさせていた。一方リーシュを持ちながら必死で俯いて到着のテキストを僕へ打つまみちゃん。
思い切り手を振って近づくと目の前のガラス越しにやっと僕の存在に気がついた。
ほとんど晩年は寝てたとはいえ、ぴがいたのといなくなったのとでは、部屋の様子がまるで違う。ネネは俊敏な若い動きであちこち飛び回りながらそれをチェックをしているようだった。不思議なのが、すでにぴが遠くへ行ったのを感覚的に察知してる様子で、僕に対して明るく振る舞ってるような気配があった。
赤ちゃんの頃から何度も会ってて僕への免疫はできてるネネだが、なんせ根っこがシャイ。いつだって触ろうとすると固まってじろっと見るのが定番で、最後に会った時さえそれがあった。なのに今日久しぶりに会うネネは尻尾をフリフリ満面の笑みで、僕が手を伸ばすとそれに応えて嬉しそうに擦り寄ってくれる。
あ、一ヶ月ぶりに触れる犬の毛並みだ、心に春が訪れたように嬉しくなる。靴を脱ぐまみちゃんの荷物の横に、
「これ、真っ先に置いとくね。今日の戦利品(千里品)、オシッコシートだよ。絶対に、忘れないように。」
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