プチDAYS 「戦いの火蓋は切られた!」
JCCI( Japanese Chamber of Commerce and Industry of NYC )、いわゆる在米商工会議所の "39th Dinner Gala"での演奏が無事に終わった。
Info:
12/11 8pm performance starts, 700 guests, the Ballroom of the Hilton Midtown NYC
在米商工会議所のレベッカさんから夏前にメールをもらった。2023年という激動の年の終わりにアメリカで「日本とアメリカのビジネスを繋ぐ」仕事をしている方達のホリディパーテイだ。
この手のパーティはドレスコードが厳しい。前日マネージャーKayから「黒のタキシード黒のネクタイで」というメールが入る。慌てて家中を探し、なんとか昔Keita Maruyama氏が僕のために作ってくれたタキシードを見つけ出す。黒の革靴、黒の靴下、黒のボウタイ、黒のカーマベルト、白シャツをなんとか用意する。100万年も着たことがない衣装なので、我が家のリビングでファッションショーをやってみた。ぴが「パパ、どうしたの?」とびっくりまなこで見つめている。パパはお仕事なんだよ。お腹周りはカーマベルトでカバーだね。
どうかな? byぴ。
当日のゲストの内訳は半分日本人、半分アメリカ人ということだった。カクテルパーティのあと入場、そして夕食、それ相応の位置にいられる方々のスピーチ、2023年在米商工会議所アワードの授賞式を経て、僕の演奏になるわけだけれど、その頃にはほとんどの人が美味しいワインやシャンペンでいい気持ちになっているからあまり演奏は聴いてないだろうなと覚悟していた。Kayからもmcは「こんにちは、大江千里です。」「在米商工会議所最高!」「それじゃ最後の曲です。アイラブユー!」以外はmcは厳禁、バラード厳禁、ノリよくノンストップ20分時間通りに駆け抜けて!のお達しがあった。
めちゃくちゃ楽しみなようでめちゃくちゃプレッシャーのある仕事だった。でも悩んでもしょうがないので前日は「あれこれ考えずに普段通りにやろう」と居直りぐっすり眠った。そして快眠ののちすこぶる調子良く当日。
「何が欲しいのかちゃんと言ってくれる? 俺は日本語は喋れないんだからさ!」
舞台監督のTonyさんが音リハの最中に僕に詰め寄ってきた。会場に聞こえる外音もステージ中のモニターも全てがモワンモワンし過ぎて音がうまく聞き取れない、だから僕が彼にクレームを入れた時の返事だ。
「Tony, Senriは英語をちゃんと喋ってるじゃない? どうしてそんな言い方をするんだい? 彼は理解できてるよ君の言ってることを。英語で大丈夫。」
気遣い Matt Clohesyがそう僕とTonyさんの会話に割って入る。
興奮すると英語が無茶苦茶になるのはわかってる。でも自分が求めるサウンドに関しては言わずにはいれない。だってなあなあでリハを終えて本番で変な音のまま演奏して、それを聴かされて嫌な思いするのはゲストの皆さんなんだもん。
Tonyさんはなおも食ってかかる。
「何が問題なんだ? それを正確に教えてくれ。中音(ステージ上の音)のこと? それとも会場からの跳ね返りの音? なんでも君のいいようにしてあげるから私がわかるように説明してごらん。」
カチンとくる言い回しだがここはこんなことは慣れっこで軽くスルー、
「モニターの返りの音がまず大きすぎる。そして低音成分をカットすること。モワンモワンしすぎてステージ上は何が何やらわからない状態だよ。」
同時にオーロラビジョンのスタッフのリハもしているので、怒り狂った Senri Oの般若顔が大きなスクリーンに映し出される。
ここから先は
¥ 200
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?