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DAYS 「OBロコになったつもりでDAYS1」

去年、ある旅をキャンセルした時に戻ってきたe-ticket。元々は自分で払ったわけだからラッキーでもなんでもないんだけど、早く使わないと期限切れになってしまう。去年の暮れ、日本に行く前の夜明けに一大決心して3つの旅を取った。その第1弾がシアトル、そして第2弾が今回のサンディエゴへの旅である。

「大陸横断の旅の時 ここ行かなかった?」byぴ 「行ってない」byパパ

LAやシアトルやサンフランシスコやポートランドへ旅するのになぜかいつもサンディエゴ飛ばし?(笑)  車で大陸横断した時もパームスプリングスからそのままサンタフェへ。以後も何度かチャンスがあったのにそのままいけずじまいになっていた場所サンディエゴ。

「そうなのか」byぴ
行きに鑑賞し始める「オッペンハイマー」。

「ジョインしていいんですか? 楽しみだー。実は『Class of '88』のラジオオンエアってずっとサンディエゴの局がヘヴィーローテーションでかけてくれてたんですよ。」

マネージャーKayもテンションが上がってくる。元トラベルエージェンシーにいた彼女が参加となれば心強い。ぴとの移動も手伝ってもらえるし、なんてタカを括ってたら彼女自宅に近いニューアーク空港からの直行便を選んだ。

片道の空の旅で全尺観れるかな?3時間あるけど

「じゃ、現地で待ち合わせっちゅうことで。僕らは先にチェックインしてますので、空港に到着したら携帯にテキスト頂けますか?」

*******

ミネアポリス経由のLayover(乗り継ぎ時間)が30分、つまり飛行機を降りると次の飛行機の搭乗が始まっている。雪が残ったミネアポリスの田園風景を飛行機から眺めつつ「急ぐぞ」と気合を入れる。まずぴを座席に上げ荷物2つを頭上のbinから素早く降ろす。普段みたいにのんびりしてたらガンガン後ろからの人に抜かれ乗り継げなくなってしまう。ここは「Connecting Flight!(乗り継ぎ便!)」って叫びながら前のめりに行こう。

そわそわそわ

案の定、ミネアからディエゴへの搭乗ゲートに行くとすでに最後の客を呼び込み中だった。

「すみません。犬がいるんで5分、時間をくれますか? トイレだけさせちゃいますんで?」

「あら、いいわよ。ほらほら、見て見て、あの犬。グランパ(おじいちゃん)だわ。可愛い!Snow Face(真っ白な顔)ね?」

僕らは走ってそこから一番近いトイレに駆け込んだ。

してくれよ byパパ

さあ、いざ大きな障害者用のトイレにシートを2枚敷いたのだけれど、その上をぐるぐる回るばかりでしてくれない。どうやらシアトルから始まった後ろ足を引き摺る感じがひどくなったみたいで、しゃがんで踏ん張れないのだ。かわいそうに。

「全くあの係員、あたしのことグランパ(おじいちゃん)だなんて。それにSnow Face(真っ白な顔)って、ま、そうだけどさ。にしてもこのシート、ツルツル滑ってもう、チッ!」

そんな舌打ちと独白が聞こえてきそうなぴを見守りつつ、なんとか無事に儀式を終えてお尻を拭きゲートに戻る。そして最後の乗客である僕とぴは飛行機に飛び乗った。

テイクオフして20分、ごはんタイムが始まる。パパは食事のプレートからスライスきゅうりとプチトマトを右ポケットにキープ、ぴがゴソゴソしたときに気晴らしであげる。なになに? と怪訝そうな顔して手を突っ込むパパの気遣いに「わお」って忽ちパクつくぴ。

あうんの呼吸

フライトは快適でミネア〜デイエゴ3時間ちょっとはあっという間だった。

「直行便だと思ってたらこちらヒューストン経由だということが当日判明しちゃったんで、夕方頃の到着になりますね。」

デイエゴ着陸後、Kayからのテキストで僕の携帯が震えた。了解!こちらはスーツケースをカルーセル(荷物引き渡し所)でピック、タクシーに乗り込んだ。

*******

真っ青な抜けるような空。輪郭がはっきり。波の音。ビーチバレーの声。

そしてあたちは途方に暮れる  byぴ

Air B and Bで予約したコテージはビーチに面してたはず。多分ここだろうという場所でタクシーをおろしてもらい敷地の外の植え込みに腰掛けてメールを打つ。1時過ぎなのでチェックインタイムの4時までけっこう時間がある。なんとか早めに家の中に入れないものかを相談しないといけないのだ。

でなきゃ彷徨っちゃうよね

ぴを抱っこし二つの荷物とスーツケースをそばにずっと指でメールを送ろうとトライするけれど、B and Bのリニューアル版をダウンロードし忘れたか、ネット環境がつながらずと表示され、スムーズに管理会社のレジーナという女性とのメールのやり取りができない。

ううむ、ならば道はこれしかない。最短距離のカフェまで移動する。そこでしっかりとしたWi-Fiを使わせてもらおう。早速太陽の下、テクテク歩き始める。ぴはバッグから出してやり小脇に抱える。耳が潮風に揺れて気持ちよさそうに薄目になるぴ。流石の量の荷物なので1ブロックごとに路面におろしおろし休憩しまた歩き始める。

そして、、、

やっと目的地の薄暗いカフェに到着した。中を覗き込むと数人のんびりパソコンをやったり本を読んだりしている客がいるだけで、空いてる。恐る恐るドアを開け店番の女の子にオーダー。

「クロックムッシュとダイエットコーク、あ、デニッシュも、チーズの。で、Wi-Fiって使えたりする? もしあったらpw教えてくれたら嬉しいんだけど。」

彼女はにっこり笑って直ぐに僕の携帯をいじって設定してくれた。ありがたい、これでWi-Fiが通じる。ビーチが見える窓際の席を陣取って「ふ〜」とため息をつく。程なく頼んだプレートがやってきた。

静かだ
卵を潰して上手に食べれるか?

のんびり信号待ちしているサンダルばきの女の子たち、ボードを抱えまさに今波に乗りに行く男たち、老いも若きも、大きな荷物を路上に置きドラムスネアを叩くホームレスの人、カフェにも飲み物をてんこもりに載せたテコを転がして配達員が納品に入って来た。

やっとレジーナと繋がったと思ったら今度はまた問題が起こった。家でメモってきた住所がどうやら違ったようでここじゃなく、この先の湾を跨いで別の地区のビーチまで移動しなければいけないことが判明した。10分かかる。

*******

「どこから来たの? え、ニューヨーク? 僕が大好きな街だよ。いいなあ。まずはいい天気のサンディエゴへようこそ。」

人懐っこいウーバードライバーは長いまつ毛を指で整えながらバックミラー越しにニコッと笑った。白を基調にした建物が軒を連ねる地域に入る。どうやら少し高級なエリアのようだ。雲ひとつない空から照りつける光が建物に反射して眩しい眩しい。

ロングストーリーだね noteに書ける(笑)

「さあ、着いたよ。どうか楽しい時間をお過ごしください。」

乗る時と同じようにトランクから荷物を取り出して路上に置いてくれて、ドライバーは手を振った。ええと、レジーナがくれた情報だと、建物をぐるっと回り込み、ゲートを抜けて、あるある、これだな、2階へ階段を使い上がる、ああ、気持ちが逸る、でも焦るな焦るな、部屋は2B、さあドアの横にある解錠のスクリーンに4桁の数字を入る、、、、

わ、開く開く、ドアは難なく開いた。よし、無事にチェックイン完了だ。

心でブラボーと声を上げながら荷物とぴを部屋の中に入れて、リビングで大きく伸びをすると、波頭が窓の遥か向こうに広がるのが見えた。良い。目の前の建物が少し視界を邪魔しているが、まあいい。大概こういうのって掲載してる写真と実際は少し違うものだ。問題ない。しかしだんだん目が慣れてきてキッチンカウンターを見ると、

「え?」

スムージーの飲みかけボトルとテイッシュがある。掃除が途中だったのか? それにしても改めて思い出すと掲載されてた部屋はもっとこじんまりしてて遠い海ではなくて目の前が砂浜だったはずなんだけれど、、、。

「Is anybody up there? (誰か上にいますか?)」

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