見出し画像

喧嘩せずの正体

1年程前のある日。ぼんやりと、よく知る「喧嘩せず」な人たちのことを思い浮かべていた。

どの方も言葉遣いが丁寧で、落ち着きがあって、品があって、穏やかで、いつもニコニコしていて、時に意地悪な冗談を口にして、でも、ハッとするような大事なこともきちんと言葉にして、
自分の自然なスタイルがあって、その人の周りでは時間がゆったり流れていて、
そして何より。
家族に優しい。
総じて、誰もが「ほがらか」だった。

ああ、そうそう、こんな人になりたい。こんな人に憧れる、と一瞬思ったその後に、
果たして、お金があるから喧嘩せずなのか、喧嘩せずだからお金があるのか、
遊び半分、ちょっとした実験をしたくなってきた。
なので、自分の脳を試しに騙してみることに。

今の自分にできることといえば、ひとまず喧嘩せずな自分を目指すこと。
だが、喧嘩せずの人に「なりたい」だと何となく居心地が悪いので、
そうではなく、喧嘩せずの人に「戻る」ということにしよう。

かつての自分が喧嘩せずな人柄だったことにして、
その自分の軸に向かって、行きすぎたバランスを戻すことに。

と、なんの根拠もなく、かつて自分は「ほがらか」であったということにしてしまい、
脳にそう思い込ませることにした。

あとはあまり考えすぎたり、執着しすぎたりすることなく、
そんなことを試みたことも忘れてしまって半年が過ぎた頃、
詳しいことは割愛するが、本当に小さな、でもたしかな、
それまでとは異なる展開が少しずつ見え隠れし始めた。
この実験が何となく、上手くいく気がした。


生物の進化の歴史を見るに、腸よりずっとずっと遅れて生まれた脳。
今や人を人たらしめる器官として存在感を大いに発揮しているけれど、
どうやら脳が騙されやすいということは、
さまざまな研究で実証されている。

もしそうならば、結果、騙されてよかったと脳が思うような愉快な騙し方をしてみたい。
人生が所詮脳の思い込みでできているのならば、できる限りくだらなくて面白い思い込ませ方をしてみたい。


まだ実験の途中ながら、「かつて自分は喧嘩せずの人だったかも実験」が笑っちゃうような出来事を呼ぶことになると、
今は脳に何度となく思い込ませているところ。
不安にさせたり、疑わしく感じさせたりしないよう、
引き続き、ほがらかな自分「っぽく」振る舞っていようと思う。


さて、この実験の中間報告ができるとしたら、
喧嘩せずな人を実践していると、なんだかリッチな時間が増えるということ。
お金持ちの実感はまだピンとこないけれど、
ゆたかな時間持ちにはなった気がする。

喧嘩せずの正体は、ひょっとすると時間持ちか。

という、仮説を一つポケットにしまって、
引き続きこの実験を面白がってみようと思います。喧嘩せずなあなたは決して答えを言わずに、この様子を温かく見守ってください。


#今日の一冊
#100の思考実験
#ジュリアンバジーニ
#252 /365

#喧嘩せず
#時間持ち
#実験中

サポート、励みになります!