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メモ|NOSTALGIBLUE|思い出は青色くくり。

63 さすらいのダッフルバッグ。

ワイルド・アット・ハート。
さすらうやつはダッフルバッグ。しかも、超信用できるやつ。例えば、MYSTERY RANCHのFLIGHT MONSTER とかいいんじゃないだろうか。この元ネタというか、このダッフルバッグが完全に見ている方向は、林野火災に対処する森林消防のスペシャリストたち(ホットショット)。飛行機をスクランブルさせて突発的な火災に立ち向かっていく男たち。そのためにデザインされた多機能型のスグレモノ。3WAYタイプのバッグはいろいろなアウトドア・ブランドからもリリースされているが、このモデルのように、バックパックストラップが格納できて、まさにダッフルバッグの権化の円筒形になってしまえるのはなかなかお目にかかれない。旅先に降り立ち、ベルクロパッチを自分流にカスタムしたダッフルバッグが、他を威嚇するようにターンテブルから出てくる。寝ぼけてても見間違うはずもない。まさにディス・イズ・イット。ということで、今回は、ジェームズ・ボンドのアタッシュケースとは対極になる、ワイルドシング・サイドで考えたダッフルバッグについて少々。

丸っとザックリでいきましょう。
ダッフルバッグといって、まっさきに頭に浮かぶのはマンガ『あしたのジョー』の主人公、矢吹丈だ。ボクシングのサンドバッグに代替えできるような、雑のうというかズタ袋みたいなやつだ。それは開閉口がザックリしていて、ぬおーっと面倒なパッキングを完全にシカトしてとにかく何でもぶっこんでしまってよし、という、なんとも男臭いバッグだった。矢吹丈は、そんな男臭をプンプンとさせて、読者たちを虜にしていった。矢吹丈は、サンドバッグなみに大きいダッフルバッグひとつで、流浪の望み、人生を旅していた。このときのダッフルバッグは、拳ひとつで成り上がるボクシングのサクセスストーリーと、身ひとつで生きていくという彼のスタイルを代弁していたと思うし、このマンガの象徴のようでもあった気がする。もしかしたら、『あしたのジョー』という名作マンガが古過ぎて、いまいちピンときていない方が多いかもしれない。書いていて、気づいた。しかし、オッサンのノートは、対象年齢オヤジということで、ここはいつも通り、あえて路線変更しないでおく。で、ダッフルバッグというのは、本来は水兵や船員が乗船時に私物を持ち運び、そのまま船員室に転がしておくのに使っていたものだというから、ザックリとか、ぶっこみという形容は間違ってはいない。

ファンクションも求めたい。
ちなみに、こちらはザックリとかぶっこむのに憧れながらも、そうはできないタイプである。行きはよいよい、帰りはなんとやらで、とくに汚れ物とそうでない物をセパレートしないで収納するということにガッツリと抵抗がある。つわものの友人なんかは、スケートやバスケなどで汗でグショグショになったTシャツやタオルをそのままぶっこんでいる。信じられない! しかもコロナな時代に! というわけで、本格的というか本来の原型に近い『あしたのジョー』のようなダッフルバッグは、いろんな意味でレベルが高過ぎて、ちゃちなオッサンには手が出ないのだけれど、現在では、当時の面影である円筒形をキープしながら、取手がついているキャンパスなどの丈夫な生地でつくられたスポーツバッグのことを総称して、ダッフルバッグと見なしているようだ。ポケットも付いてて、内側は、収納する物によってセパレートできる仕組みになっていたり、内ポケットも充実している。これぞ、麗しのダッフルバッグである。円筒形で、丈夫で、大容量で、ぬおーっとつめこめる本懐をキープしつつ、デリケートなオッサンにも親切な収納ギミックが充実しているのが、たまらない感じ。人生の流浪の旅人・矢吹丈とは言わないまでも、大なり小なり世界を旅する男たるもの、間違いのないマイ・オウン・ダッフルバッグのひとつやふたつ、持っていたい。それも多少値が張ってもディス・イズ・イットなやつを持っていたい。63

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