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剪画作品紹介

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剪画作品をご紹介します。
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温泉

温泉

梅崎 ゆう 作 242×272mm
“Onsen” by Yuu Umezaki

 前回ご紹介した作品と同じように同心円を描いて温泉を表現しているのが、この作品です。宮本さんが青い線を残して円を描いたのと反対に、梅崎さんは生成りの和紙をくり抜き、下に来い茶色の和紙を敷くことによって、円形を描き出しています。さらに青いパステルでぼかしを入れ、水面らしさを演出。写真ではわかりにくいのですが、左上に

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別府温泉坊主地獄

別府温泉坊主地獄

宮本 真理 作 210×297mm
“Beppu Onsen's Bozu Jigoku (Monk's Hell)” bt Mari Miyamoto

 別府には様々な地獄と呼ばれる奇景があります。血の池地獄、海地獄、かまど地獄…そしてこの坊主地獄。灰色の重そうな泥水がボコボコと持ち上がる様子が、坊主頭のように見えるのでしょう。私が行ったのは鬼石坊主地獄の方ですが、現地には天然坊主地獄とい

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いい湯だな

いい湯だな

神田 いずみ 作 180×230mm
“What a Nice Bath!” by Izumi Kanda

 この作品展は兵庫県の新温泉町を始めとして鳥取の公民館で巡回展を開催する予定です。そのため、日野さんは歯科の温泉と新温泉町の足湯の作品を制作してくれましたが、神田さんか描いてくれたのは、鳥取砂丘で温泉に入っている動物たちの作品です。
 明るいオレンジ色の砂丘、その上空を滑走するパラグライ

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湯けむり

湯けむり

高橋 隆 作 200×260mm
“Yukemuri - Hot Spring Steam” by Takashi Takahashi

 高橋さんはここ数年、和紙の作品の他に葉っぱを切り抜いた作品も作っています。この作品もその1枚。いつもは小さな人物や動物たちを配して絵柄を作っていますが、今回は入浴する女性の後ろ姿を描きました。水面の揺れや天井から落ちる雫が、温泉の雰囲気を演出。表現がシンプ

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温泉に入るニホンザル 2

温泉に入るニホンザル 2

六郷 もと 作 275×420mm
“Snow Monkeys Enjoying Hot Spring II’ by Moto Rokugo

 温泉に入る動物…と言えば、もちろん長野の地獄谷野猿公苑のお猿さんたち。私は行ったことがないのですが、日本を訪れる外国人にも人気が高い観光地になっているとのこと。実際に猿たちが温泉に入るのは寒い時期だけなのだそうですが、温泉に気持ちよさそうに入る姿を見て

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旅先にて

旅先にて

外山 豊子 作 210×297mm
“At the Holiday Destination” by Toyoko Toyama

 「ひとり旅しています」と絵の右上に文字が入っています。ひとりでゆったりと足を温泉に浸している女性は、浴衣を着てくつろいでいる様子。日々忙しく過ごしている女性にとって憧れるシーンではないでしょうか?
 茶系の輪郭線を使い、ムラ染めの和紙をうまく組み合わせてシックな色

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大地からの癒しの届け物(鳥取・鹿野温泉)

大地からの癒しの届け物(鳥取・鹿野温泉)

日野 晴美 作 210×297mm
“The Gift of Healing from Mother Earth (Shikano Hot Spring, Tottori)” by Harumi Hino

 今回のテーマ「温泉」は作家さんたちにとってなかなか難しかったらしく、DMを作るべき時期にまだ作品が1つも搬入されていませんでした。日野さんに相談したところ、急ぎで鳥取の温泉を小さいサイズで

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桜回想

桜回想

小野寺 マヤノ 作 305×432mm
“Sakura Reminiscence” by Mayano Onodera

 先週で終わった「桜 –我が心のふるさと–」展に出展していた作品で、今日あたり鳥取の若桜に到着した頃だと思います。
 桜には「春の訪れ」という明るい印象と「散りゆく花」という寂しげな印象があります。今回の作品展でも、桜の作品はそれぞれどちらかの印象で描かれていました。私が描い

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桜のトンネル

桜のトンネル

梅崎 ゆう 作 242×272mm
“Cherry Blossom Tunnel” by Yuu Umezaki

 今回の作品展では、様々な桜の風景が描かれていますが、少し抽象的に風景を表現しているのがこの作品です。この作品にも作者のコメントが寄せられているのでご紹介します。
 「学生の頃住んでいた団地の近所の桜の木。桜のトンネルが続く、少し肌寒い道でした。久しぶりにその道を通ると、今では切

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メジロの夢

メジロの夢

トドロワ プロレチナ作 282×205mm
“Dream of a White-Eyed Warbler” by Proletina Todorova

 この作品もブルガリアから送られてきた作品です。桜とメジロは昔から多く描かれている画題です。桜のピンクとメジロの黄緑色が美しいということもあるのですが、密を好むメジロが、春になって咲き始める桜に集まる…ということが多いこともあるのでしょう。
 

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私の思い出“桜”島

私の思い出“桜”島

吉川 結夢 作 285×198mm
“Sakura-jima Island in My Memory” by Yuu Yoahikawa

 吉川さんはカルチャー教室に通ってくださっている一番若い生徒さんです。今まで描いた下絵をスキャンしてコンピューターの中で編集した作家さんたちはいらしたのですが、タブレットの中で下絵を描いたのは、ギャラリーの出展作家さんの中では初めてだと思います。時代を感じま

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桜の風景

桜の風景

ヴラホワ イヴァイラ 作 295×205mm
“A Sakura view” by Ivayla Vlahova

 今回の作品展では様々な桜の絵が並び、それぞれ個性的に描かれていますが、中でも一風変わった絵柄なのが、ブルガリアの作家によるこの作品です。
 真ん中にあるのは目でしょうか?周囲にはまつげや視神経のようなものも見られます。その目を囲むようにして咲き誇っているのが美しい桜です。絵の中に

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春の河

春の河

神田 いずみ 作 320×225mm
“Spring River” by Izumi Kanda

 剪画というよりは貼り絵のようにも見える作品です。ピンク色の薄い和紙は下の色を透かします。そのため、神田さんはこの紙の下に、光が射しているような白い和紙を置いたり、水の動きが見えるように青い和紙に切れ目を入れて配置したり、魚を泳がしたり…と様々なしかけをほどこしました。重ねた紙の効果を何度も試しな

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100年桜の思いを乗せて 1

100年桜の思いを乗せて 1

六郷 もと 作 405×275mm
“Riding with the Memories of 100 Years Old Sakura Trees 1” by Moto Rokugo

 六郷さんは3年前に開催された「線路は続くよ」展でも若桜鉄道のピンクのSLを描いています。今回の桜展で、もう一度この桜色の機関車を描いてくれました。六郷さんがこの作品のために書いてくださったコメントがありますの

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