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ドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』は、人生を幸せに生き抜くための教訓がたくさん詰まったバイブルになりました

いよいよドラマは最終回ラッシュの、ひとたび寂しくなる時期がやってきました。まずはドラマ『おっパン』最終回。

このドラマ、タイトルのイメージを見事に裏切ってくれた感動作でした。家族、友だち、職場の人たち…それぞれの人間関係を円滑にするために大切なことを、たくさん学ばせてもらった貴重なドラマでもありました。

『ふてほど』とはまた違う視点で「多様性の時代」である令和を生き抜くために、昭和のおっさん沖田誠が自らを”アップデート”していくというストーリー。

自分の常識や固定観念を変えていくというのは並大抵の努力では難しいと思われるところ、誠は果敢にそれに挑み、周囲の人たちとの関係性をも着実に”アップデート”していきました。

ただ、第10話、最終話で突然現れた大地の父親・堀内さんの考え方を否定することもできず、”価値観の相違”から生まれる溝を埋めていくことの限界を見せつけられた思いがしました。

かわいいモノ好きの誠の息子・翔が堀内さんから「ご両親は君のことで悩みが耐えないだろうね…同情するよ」という言葉を投げかけられ傷つけられた…誠がそれに怒り対峙するところからスタートした最終回。

「息子には息子の望む道を歩かせたい。だからそこに、口を出さないでいただきたい」
「あなたの息子さんがこの先、社会に出るのに通るのはいばらの道でしょう。でもあなたがそれを守り抜くと言うのなら、私が口を出すのは間違っている。でも大地の人生に、あなたが責任を取るわけじゃない。だとしたら、大地を苦悩の道に押しやらんでもらいたい」
「私は、大地くんが彼らしく生きようとしていることに賛成しているだけで…」
「自分らしく…そう唱えて生きようとした人間が世間で辛い目にあってるの…あなただってたくさん見たでしょう。賛成する、応援する…口で言うのは簡単です。でも、その後の責任を取れないのならやめてもらいたい。何より、あなたの息子に口出しするなと言うなら、私の息子の人生にも口を出すべきじゃない」

ドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』最終回より

これ以上ない正論に、ぐうの音も出ない誠。

学校の友だち-静の”清楚系メイク”にしっくりきていない翔は、メイクを仕事にしたら自分がどう考えているのかを出したらダメなのかと悩み…。

就職に悩む娘・萌は友だちに「大学生活マンガに捧げました」とは言えないと言われ、マンガを描くことを仕事にしたらと想像すると不安になり…。

”推し活”のために頑張ろうとする妻はパート先のお弁当屋さんが閉店するかもしれないと言われ、”推し”のRANDOMと離れてもやっていけるかどうかと悩み…。

誠のナレーションがちょっぴり切なかったです。

”好き”を貫くのは難しい…。厳しい現実、世間体、他人との衝突、経済的な理由…。他にはなんだ…?いや、歳を取ればとるほど”好き”には敵が増えて数えられなくなっていくんだ。俺だって見てきた…学生時代は自分らしく生きたいと言いながら、社会に染まった友人たちを…。俺も、このまま流されて人生をおくっていくんだろうか?

ドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』最終回より

会社の先輩・古池さんの言葉も心に響きました。自分を雑に扱ってしまっているかもしれない自分を反省しました。

「生きていると、思いがけないことが起こる。いいことも、悪いことも。それをいくつも乗り越えるうちに、鈍感になる。鈍感ってことは、生きやすさでもある。でも、感動も失くす。だから、人生の醍醐味を味わいたいなら、自分に慣れないことだ。慣れて自分も周りの人間も、雑に扱わないことだ。向き合って、感謝して、必要なら…謝る。今なら間に合うぞ、若いんだからな、みんな」

ドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』最終回より

翔は勇気を出して、自分の思うように静のメイクをさせてもらいました。「人に好きになってもらうのに自分の″根っこ″まで変えなければいけないの?」と。

萌はいつも”引き際”を探しているのに、やっぱりやめられないと好きなマンガの道を邁進することを決めました。

パート先のお弁当屋さんの「お弁当コンテスト」に参加して、いい成績を残せたら正社員に応募しようと決めた妻。

みんな自分の”好き”を貫くために、前向きに突き進むことを決めた沖田家。おせっかいながら大地と円のために、沖田家全員ひと肌脱ぎました。

堀内さんの前で女の子の服を着ていることを明かす翔、マンガ好きを明かす萌、”推し”の存在を明かす妻。

「お店のドレスコードを乱すつもりはないので一応ジャケットは着てきましたが、人に迷惑をかけないところなら、何を大切にする、どんな人間であるかは自由だというのが我が家の考え方です」
「あなただけが”まとも”というわけですか…」
「”まとも”…うーん。世間には仕事さえやって、特に目立つことがない人を”まとも”と呼ぶ人もいるでしょう。でも正直、うちの家族の中では私が一番危ない存在だったのかもしれない。毎日流されて、どんどん鈍感になって、自分の周りに壁を立てて、その中にこもっていました。そんな私を新しい世界に連れ出してくれたのが大地くんでした。大地くんは私の思い込みを責めずに、笑い飛ばした。なんてハツラツとした、思いきりのいい子なのかと思いましたよ。でもね。あのとき笑うまでの時間に、大地くんがどんなに泣いたんだろうって…。だんだん気がつきましてね。堀内さん。あなたがおっしゃることは正しい。世間は厳しいです。うちの家族が大地くんと円くんの結婚を賛成したり応援したところで、風よけにもならない。でもあなたの心配が二人を救いますか?」
「救うでしょう。大地が世間からあれこれ言われないよう、私は自分の経験から助言することができる」
「立派な肩書きをたくさんお持ちのあなただ。生き抜く知恵はたくさんお持ちでしょう。確かにあなたの言う通りにすれば、あれこれは言われなくなるかもしれない。でもそれで大地くんは幸せになれますか?」
「幸せ?」
「はい。幸せです。一番大切なことじゃないですか?」
「あ…、ちょっと待ってください。そもそも大地はもう別れを決めている。そちらの砂川さんが、そもそもそういう態度だったんじゃないんですか?つまり、その程度の関係だったということです」
「先日、円くんとも話しました。彼は実家の説得に行くとき、話し合いが決裂したら親と縁を切ることも考えていたそうです。でもそれを言って、大地くんをそこまで追いつめたくなかった。それに、あなたを憎まないように大地くんを育てた美穂子さんの意思も尊重したかったそうです。何より円くんは、大地くんを変えたくないんですよ。自分のことを否定する人間の前で、大笑いする人間のままでいてほしい。あなたを説得できなくて、あの笑顔を失ってほしくない。だって、あなたの説得は相当大変でしょう?私は”わからず屋”でしたが、あなたは”頭がいいわからず屋”だ。私よりたちが悪い。大地くん。一度だけ聞かせてくれ。このまま円くんと別れて、君はそれでいいのか?」
「久しぶりに、先輩の顔をちゃんと見た。なんか…幸せだ。お父さん…俺、お父さんにどんなに反対されても円先輩と別れたくない。別れられない。これは、変えられない。これを変えたら、俺じゃなくなる」

ドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』最終回より

沖田家のおせっかいで、自分の本当の気持ちに改めて気づいた大地。

ラストの大地と円の結婚式。もちろん今の日本では正式に認められてはいない同性婚。それでも、二人を応援する沖田家、大地の母・美穂子と写真に収まる大地と円の満面の笑顔が、自分らしく”好き”を貫いた喜びに満ち溢れていてジーンときました。

こだわりや固執を捨ててみれば、きっと違う世界が見えてくる…。そして自分の”好き”を貫くことは、自分らしく生きるために大切なこと…。

もちろんこれは理想論であって、万人がこうして生きていけるわけではないと分かっています。それでも”好き”をあきらめないことは素晴らしい!と、改めて感じさせてもらえたドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』は、私にとって人生を幸せに生き抜くための教訓がたくさん詰まったバイブルになりました。

「誠のアップデートはまだまだ続く」

必要なら自分自身を”アップデート”して、より幸せに生きるための道を模索して生きていきたいと、今はそんな風に感じています。

長い文章最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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