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盲目の天才ピアニスト・辻井伸行氏の"One Word"「何があってもあきらめない」

4月からの『ノンストップ!』金曜日の新コーナーが、「One Word~大切にしている言葉~」。

話題の有名人・著名人の"大切にしている言葉"=One Wordをインタビュー。その人の人生や魅力を掘り下げます!

『ノンストップ!』公式ホームページより

というのがこのコーナーのコンセプト。これまでに出演したゲストの"One Word"。トシちゃんこと田原俊彦の「不動心」、福士蒼汰「自分らしさ」、荻野目洋子「自然体」、加山雄三「関心、感動、感謝」などなど。

それぞれの歩んできたこれまでの道のりと、"One Word"への深い想いが聞ける素敵なコーナーが始まったと感じています。

今日のゲストはピアニストの辻井伸行氏。辻井氏といえば、言わずと知れた盲目の天才ピアニスト。

私が彼のピアノの演奏を初めて生で聴いたのは『報道ステーション』でした。「ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール」で日本人として初めて優勝を飾った彼の生演奏をその時聴いて、感動で自然と涙が流れてきたことをハッキリと覚えています。

〈なんてキラキラして1音1音キレイな音色なんだろう…。こんな音色これまで聴いたことがない…〉

彼のピアノの音色は雑念が何もないというか、ピアノへの純粋な想いがただただ溢れ出てくるような研ぎ澄まされた音でした。聴いていると心が洗われて癒されて、優しく包み込まれるような不思議な感覚になりました。

『ノンストップ!』の金曜日レギュラー、カンニング竹山の奥さんが辻井氏のファンでよく演奏を聴いているそうですが、一緒に聴いていると竹山もなぜかふいに涙が出てきそうになると言っていました。彼の演奏は何かが違う…と。

なぜ涙が出てきてしまうのか?〉その理由を明確に説明するのは難しいんですが、私自身4歳から20年ほどクラシックピアノずっと習い続けていたからこそ、彼のピアノの音色が特別なことだけはすぐに分かりました。

指揮者の佐渡裕氏が中学生の辻井氏と初対面で生演奏を聴いた時に、涙が止まらなくなった理由をこう語っていた…これこそが彼の音色に隠された秘密としか言えないような気がします。

「初対面の時にいきなり『弾いてよ』と頼んだときもそうでした。彼のキラキラした音が飛び出してきた。まるで伸行くんにだけスポットライトが当てられているようにすら感じたものです。演奏を聴きながら涙が止まらなかった。彼についている音楽の神様が姿を現したような瞬間でした」

辻井いつ子『のぶカンタービレ』アスコムより

ピアノはもちろん叩けば誰でも音は出せますが、その音色は演奏する人の表現力とタッチによって全然変わります。彼の繊細で柔らかな、まるで歌っているかのようなあの音色が唯一無二の世界観を作り上げていることは間違いありません。

これまでも何度か目にしてきていますが、今日も″おもちゃのピアノ″を楽しそうに奏でる幼い頃の辻井氏の様子が放送されました。目が見えない分″聴覚″が優れていたことは明らかですが、音そのものに対する感覚の鋭さが改めて感じられました。

"奇跡の"とか"天才"とか彼を形容するさまざまな言葉がありますが、実際どれだけ才能があったとしても新たに曲を覚えるまでには今でも相当時間もかかると思います。こちらの想像以上に困難なことも、時には逃げ出したくなることもあると思います。

だからこその"One Word"「何があってもあきらめない」という言葉が余計に心に響きました。噛み締めるようにこう言った、辻井氏の姿が印象的でした。

でも辻井氏の素晴らしいところは、今でもおそらく″おもちゃのピアノ″を弾いていた頃と同じように、"楽しむ気持ち"を忘れていないということ…。

ここで私が思い出すのが藤井風。もちろん今では日本屈指の人気アーティストになってしまった藤井風ではありますが、彼はおそらく売れるとか売れないとか、そういうことを考えて曲作りをしているわけではなく、自分の中から自然に出てくる音とたわむれて常に楽しんで曲作りをしていると思うんですよね。

そうでなければ、あんな自由でワクワクするようなメロディーが浮かんでこないと思います。狙ってないから、計算してないから藤井風オリジナルの世界を紡げるのだと。

そこが藤井風と辻井伸行氏との共通点でもあり、音楽はやっぱり楽しむ気持ちがないと長くは続けられないし、聴いているお客様にも楽しんではもらえないものなんだと思います。私もそこはいつも肝に銘じながら歌っているつもりです。

世界的なピアニストになった辻井伸行氏。きっとこれからも粘り強く「何があってもあきらめない」精神で突き進んでいくことでしょう。彼のあのキラキラしたピアノの音色がこれからもたくさんの人たちを魅了し、感動を与え続けてくれることに感謝しながら私もファンの一人として応援していきたいと思っています。

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