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なぜ、美容なのか。

私は特段、美容オタクでもなく、ちゃんちゃら美人でもない。
メイク道具もポーチ1つに収まる程度しか持ってない。休みの日はすっぴんだし、なんならすっぴんで息子と公園で遊んでいる。

そんな私でも大学に入ってから、それなりにオシャレにも目覚め、バイト代やお給料でエステに行ったり、メイクの研究をしたりしていました。
でも美容一本で仕事をしようと思ったこともなければ、今もエステティシャンになりたいわけではない。

わたしはシニアや障がい者に美容と笑顔を届ける「介護福祉美容セラピスト」になりたいのです。

シニアや障がい者に美容は必要か?

わたしはシニアや障がい者の方に特化して美容サービスを届けていますが、度々こんな声が聞こえてきます。
「こんな歳になって化粧なんて。」
「こんな体だから、美容なんて贅沢だわ。」
ときには、この言葉たちは当事者だけでなく、家族や支援者たちから発せられることもあります。

当事者やその周りの方たちの苦悩や不安から発せられる言葉だとしても。
このとき、わたしはとてもやるせない気持ちになります。

もちろん、美容=綺麗になること・オシャレ という認識は間違いない。
でも、それだけだろうか?
一度、綺麗になりたいと思うことの目的を考えてほしい。

わたしは、大学で美容に目覚めた時「大学デビューをしたいから」「オシャレな友達とオシャレな場所に行ってみたいから」という、カッコよくいえば自己実現や自己表現が目的でした。
(今思えば、若かった・・・笑)

そして、美容に力を入れて無事、大学デビューを叶えたわたし。
そう。あくまで、美容は大学デビューを叶えた「手段」

だから、「歳だから綺麗になったって無駄よ。」は心底違うと思っています。
美容は「何がしたいか?」「どこに、誰と行きたいか?」「どう生きたいか。」を叶える手段。年齢や障がいは関係ない。

リハビリ専門職が美容ってなぜ?

先日、ある方とお話しする機会がありました。30代という若さで脳出血で倒れ、今もリハビリに励んでいる女性。2児のママで、歳が近いこともあり、意気投合。
育児をしながら、病前走り出していた夢にもう一度挑戦しようとする姿に、私が力をもらいました。

そんな未来を見ている女性がぽつり。
「今まで当たり前だったことが、急にできなくなってしまって。登下校の我が子を追いかけられないこと。歩くのが遅いから周りを待たせてしまうこと。周りの女性やママと比べてしまって、気を落としてしまうことがよくある。」
「だから、ほんの些細なことでも、病前のようにできたことが本当に嬉しい。」

健常者にとっては当たり前のことでも、シニアや障がい者にとっては当たり前じゃない。今までに小さな諦めがたくさん積もっていることに気づいた。
わたしは、見逃そうと思えば見逃せるその小さな諦めを、ちゃんと拾えるセラピストでありたい。

だから、理学療法士というリハビリ専門職でありながら美容をいち手段として、
リハビリテーションの目的=全人的復権
を心に刻み、シニアや障がい者の方と接しています。

まだまだ、課題は多い・・・・

「介護美容」「介護福祉美容」
以前に比べて、ここ1年で聞かれることが多くなったように思います。

「素敵な活動ですね。」
「これから必要とされるサービスですね。」
介護福祉美容として活動できるようになってから、ありがたいことに多くのお褒めや共感の言葉をいただきました。

ただ、まだ潜在的に
当事者の「介護を受けている身で美容は贅沢だ・・・」
支援者の「認知症だから、どうせわからない。」

生きる上で必要ではない「美容」
着替えや洗顔などの清潔ケア、食事と比べると必須ではない。

「こんなに綺麗にしてもらって、生きる力が湧いた。」
「もう諦めていたけど、次の目標ができた。」
この心からの言葉はどうしたら、伝わるのか。

ここはまだ、わたしの結果と伝える力不足のいたすところ。


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