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鼠径ヘルニア(脱腸)とピラティス(マシンピラティス)


概要

鼠径ヘルニアの方とあらゆる身体的トレーニング、その明暗を大きく分けるにも関わらず、完全に見落とされている根本的な事柄について、

後半で、具体的にマシンピラティスを続けられる中で鼠径ヘルニアを発症し、短期間で鶏卵大という大きさになったというクライアントO様の例をとり、鼠径ヘルニアと脚長差との関係についてご説明しています。

鼠径ヘルニアの方は、やはり腹圧のかかる運動は禁忌

鼠径ヘルニアになった方にとって、運動やスポーツで身体を鍛える事はどういった意味があるでしょうか?

鼠径ヘルニアは腹腔内の腸管や脂肪が、腹壁の脆弱となった部分を通じて飛び出している状態ですから、鼠径ヘルニアの方は、腹圧のかかるような運動は、やはり、取りあえずはしっかりと避けた方が良いですね。

脚長差に配慮しない動作に注意を

腹圧のかかる動作が発生する製造業や立ち仕事、運送業に従事する人などは鼠径ヘルニアになりやすいという事実がありますが、これらは、腹圧がかかりやすいと同時に、脚長差が増幅しやすい職業でもあります。

股関節転位と腹圧、このふたつは大きく関わり合っていて、股関節の矯正をしていても、骨盤の前後左右の均衡が僅かに変化しただけで、改善されていた鼠径ヘルニアのふくらみが戻ったりしますし、脚長差や骨盤の前後どちらかへの偏りは、鼠径ヘルニアの症状を悪化させます。

又、特に何もしなくとも、無意識に行っている全ての動作は、短い脚側に重心の比重がかかり常に短い脚側に偏っていく為、偏った筋肉が発育して、長期的には症状を悪化させるものです。

つまり、鼠径ヘルニアのご症状を抱えている場合には、腹圧のかかる運動と、股関節転位の観点から脚長差を見て、そこを改善する矯正動作やトレーニング以外は全て避けた方が良い、と申し上げるしかないのです。

重篤な症状の改善には、検証の為の前提(矯正動作)が必要

鼠径ヘルニアの人が股関節の矯正に入って、日常の動作に細心の注意を払って生活していて状態が悪化した場合、何が悪かったのかすぐに特定する事ができますし、日常の矯正動作で股関節が安定していますから、遠隔矯正においても、すぐに状態を回復させる事が出来るでしょう。

けれど股関節矯正と並行して、始めからトレーニングやスポーツを行っていると股関節の変動が大きいですから、何かの運動で大きく悪化してしまった場合、回復させることができるか分かりませんし、何が良くて何が悪かったのかの検証も、ご自身の中で曖昧なままになってしまいます。

鼠径ヘルニアに限らず、重篤な症状を抱えている場合には、日常の動作に注意を払って生活することと、症状を長期的に見て、股関節転位との関連で検証していくことが大切です。

ピラティスを続ける中で鼠径ヘルニアが発症

ここに、ピラティスをして行く中で鼠径ヘルニアを発症したという右足が長いクライアントO様の例で、トレーニング(この場合はピラティス)が、どのように症状を発症させうるかと言う事をご説明したいと思います。

右足首の痛み(滑液包炎)も悪化

Oさんはピラティスを行っていく中で股関節の可動域が増し、脚が開きやすくなった、と言われるのですが、右足首の痛み(滑液包炎)も又、悪化しているのです。

歩幅が広くなったことで、早く歩けるようになったが、右足首の痛みが悪化、早く歩くことは中断してるとこ

右足が外旋(仮性延長)し大きく踏み出せるのですが、その分右足に重心を乗せ辛くなっているので右側に回ったり小回りが利かなくなっています。

ピラティスで脚長差が増幅しているという明らかな証明

右脚が長い人は右股関節が(左右相対的に)より外旋している為、均等にトレーニングを行っているつもりでも、長い方の右脚の方が数倍も外旋しやすいのです。
その為、両脚共に可動域が増したように感じていても、実際の所は、長い方の脚の方がより大きく外旋して開きやすくなっているというのが、大方の現実です。

つまり、股関節が外旋するとその側の脚は仮性延長といって長くなりますから、脚長差が増幅して、右脚がより長くなります。

Oさんの場合は、右股関節が外旋、左股関節が内旋している為、その度合いはより大きく、脚長差が増幅したことが、右足首の痛み(滑液包炎)が増した原因と思われます。

又、右股関節が外旋すると右の骨盤がこれまでよりも後傾(立つ)するので腹圧が高まり、鼠径ヘルニアの発症が促進されたと思われます。当然、内臓機能も悪化しており、これも脚長差の増幅した証のようなものです。

ピラティスで身体が整っているのなら、右足首の痛みもむしろ、改善の傾向がみられていて当然なのです。

インナーマッスルを矯正動作で鍛える

マシンピラティスによって働きかける筋肉は、身体の外側にある筋肉ではなく、「インナーマッスル」と呼ばれる、身体の深層部にある筋肉であると言う事です。

鼠径ヘルニアを発症した方がマシーンピラティスを続けると言う事は、インナーマッスルを鍛えるという目的があったかと思われるのですが、残念ながら短期間で鶏卵大という大きさにまでなってしまっているのです。

そもそも、鼠径ヘルニアの飛び出している腹壁の脆弱となった部分も、脚長差が原因(右足が長く、右骨盤の後傾が極まると、左足に重心がかかり右骨盤は立って浮いたような状態となりインナーマッスルは退化していく)としか考えられないのです。

そして、この部分をピンポイントで本当に鍛えるトレーニングとは、脚長差を縮める為に日夜身に着けて行う矯正動作なのです。

右足を下げ内股にし、左腰骨を前に出す感じで立つところから
左足を先に一歩出し歩き始めてみると結構それだけで大変かもです。

ご自身の身体の一番弱い部位を鍛える為、体力に自信がある方の中には矯正動作を行うと衝撃を覚えられる場合があります。
『たったこれだけでこんなに疲れるなんて!』
矯正動作は、取り組み方にもよりますが、最もハードで、効果的で、安全なトレーニング法なのです。

アウターマッスルも矯正動作で鍛えられる

又、アウターマッスルの低下(下記のメール引用文)も脚長差の増幅によるものです。

鏡で自分の身体を見たときに(毎日体重計に乗るときなど)正面から鏡を見て自分の右のにの腕と右のわき腹が左と比べて明らかにぜい肉が付いていることに気づきました。左半身より右半身の方が余分な肉がついてるな、と。

先にも書いた通り、右股関節が外旋する事で右の骨盤が後傾すると、右足と右骨盤に重心が乗らず浮いた状態なのですから、上記のように右わき腹にぜい肉がついてしまいます。確かに、身体を本当に整えるトレーニングとは、インナーマッスルも鍛えられていて然るべきですが、アウターマッスルも同時に鍛えられるのが、当然なのです。
実際のところ、この二つを分けて考える事は難しいのではないでしょうか?

股関節タイプ簡易診断

このように、股関節の矯正と矯正動作をご自身で行う事は、鼠径ヘルニアの改善だけでなく、全身の機能や健康にとって有益ですが、脚長差【どちらの脚が長いか】だけでなく、骨盤の前傾・後傾も考慮に入れた、総合的な診断が不可欠となります。

9つの質問に答えるとあなたの股関節タイプを推測します


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