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LifeClips再録④

【ネタバレ忘備録~K.K.P.#8「うるう」①~】2020/02/28

8年前、初演。

知っていたのは「ラーメンズの小林賢太郎がソロで演ること」と、「どうやら映像化はされないらしいこと」。

リアルタイムでラーメンズを観たことがなかった私はこのご時世に「映像化されないこと」に驚き、興味を持ち、ありがたいことにどうにか劇場で観劇できることになりました。

それまで観てきたコントは、明るいものも暗いものも深読みしてしまうものも頭を使わずただ笑えるものも、基本的には2人芝居でした。

シンプルな画面構成の中、演者の2人がそれぞれに舞台装置として役割を果たし、ある意味で「気が抜けない」部分があったように思います。どちらかにフォーカスしてしまえば見え方が変わってくる、そんな場面もあったように思います。

勿論ポツネンシリーズもありましたから画面の中に1人という構図も知ってはいます。ただ、それは「画面の中」の話です、「編集された」映像の中の話です。

2人で演るコントは映像の中でありながらある程度「生きた空間」でした、1人で演るポツネンは完璧にデザインされた流れるような「静物」でした。

だから1人で、舞台で、目の前で生きた人間がどのようにデザインされた「静物」になるのか、興味がありました。

幕が上がり、一心不乱に筆を走らせるパントマイム。ノートを閉じて立ち上がり、あの鼻濁音混じりの説明口調が流れるように滑り出した時。

こんなことを言うのもおかしな話ですが、「生きた静物」が何の違和感もなくそこに現れたものだと驚いたと記憶しています。何の違和感も矛盾もなく、画面の向こうと変わらないものを目の当たりにしました。

「生きている人間」を感じられたのは、スポットライトの熱にじわり上昇する体温の、汗の浮かぶこめかみあたりが見えた時でした。

私の1度目の「うるう」は、そんな驚きとちょっとした居心地の悪さを伴ってスタートしたのです。

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