【基礎用語解説】乾燥
半導体ウェハーや製品を水分や不純物から保護するために、洗浄や湿度調整後に水分を完全に除去する工程です。乾燥工程は洗浄工程とセットになっており、各プロセス(成膜、エッチング、リソグラフィなど)の前後で必ず行われます。
ドライイン・ドライアウトという原則に則り、洗浄後は必ずウェハーを乾燥してから装置外に出します。
その理由は、ウェハー上に水分が残っていると、その部分から表面で酸化が進行するためです。これをウォーターマークと言います。水垢のようなものをイメージしてもらうとわかりやすいかと思います。正確には、シリコン表面に空気と水が付着した三相界面でシリコンの不完全な酸化が起こることで形成されるものです。
乾燥の方式には、主にIPA乾燥、スピン乾燥、マランゴニ乾燥、ロタゴニ乾燥があります。特徴を簡潔にまとめると以下のようになります。
IPA乾燥
・メカニズム:水分をIPA(イソプロピルアルコール)蒸気で置換する
・メリット:パターン部の乾燥に有利
・デメリット:引火性の薬品を使用、有機物が残留スピン乾燥
・メカニズム:ウェハを高速回転させて水分を除去
・メリット:装置構造が比較的単純で安価、スループット大
・デメリット:条件の最低化、静電気(パーティクル吸着)マランゴニ乾燥
・メカニズム:純水に漬けておいたウェハーをIPA中に一気に引き上げ
・メリット:IPA使用量抑制、ウォーターマーク低減
・デメリット:スループット小、有機物が残留ロタゴニ乾燥
・メカニズム:スピン乾燥させつつIPAと純水をノズルで吹き付け
・メリット:マランゴニ乾燥よりもIPA使用量を低減
・デメリット:装置機構が複雑
参考文献
https://iopscience.iop.org/article/10.1143/JJAP.45.5383/pdf
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