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【注目ニュース】サムスン電子 業界初となる第9世代V-NANDの量産を開始

発表日:2024年4月23日
みなさんおはようございます。【注目ニュース】では、最近発表された半導体関連のニュースの中から、専門家が厳選したものを毎朝7時頃にお届けします。通勤・通学時間、始業前にぜひチェックしてみてください。

概要

Samsung Electronicsは、先進的なメモリ技術の世界リーダーとして、世界初の1テラビット(Tb)トリプルレベルセル(TLC)9世代の垂直NAND(V-NAND)の量産を開始したことを発表しました。

Memory BusinessのFlash Product & Technology部門の責任者であるSungHoi Hurは、「将来のアプリケーションを大きく前進させる業界初の9世代V-NANDを提供できることを嬉しく思います。Samsungは次世代製品に向けて微細構造と動作方式の境界を押し広げ、NANDフラッシュソリューションの進化するニーズに対応しています。」と述べました。「最新のV-NANDを通じて、Samsungは、AI世代に必要な高性能で高密度なソリッドステートドライブ(SSD)市場のトレンドを引き続き牽引していきます。」

9世代V-NANDは、8世代V-NANDと比較して約50%のビット密度向上を実現する、業界最小のセルサイズと最も薄いモールドを有します。セル干渉回避やセル寿命延長などの新しいイノベーションが製品の品質と信頼性を向上させ、ダミーチャネル孔の排除により、メモリセルの平面面積を大幅に削減しました。

さらに、Samsungの先進的な「チャネル孔エッチング」技術は、プロセス能力における同社のリーダーシップを示しています。この技術により、金型層を積層して電子経路を作り出し、業界で最も多いセル層数の同時ドリル加工が可能になり、製造生産性が最大化されます。セル層数が増加するにつれて、より高いセル数を貫通させる能力が不可欠となり、より洗練されたエッチング技術が求められます。

9世代V-NANDは、データの入出力速度を33%向上させ、最大3.2ギガビット/秒(Gbps)までサポートする次世代NANDフラッシュインターフェース「Toggle 5.1」を搭載しています。この新しいインターフェースに加えて、SamsungはPCIe 5.0のサポートを拡大し、高性能SSD市場での地位を固める計画です。

低消費電力設計の進歩により、前世代と比較して10%の電力消費が改善されています。エネルギー使用量と炭素排出量の削減が顧客にとって重要になる中、Samsungの9世代V-NANDは将来のアプリケーションに最適なソリューションとして期待されています。

Samsungは、今月1Tb TLC 9世代V-NANDの量産を開始し、今年の下半期にはクアッドレベルセル(QLC)モデルの量産も開始する予定です。

1テラビット(Tb)トリプルレベルセル(TLC)9世代の垂直NAND(引用元

解説

様々な数字が並んでいるので一見難しく見えますが、まとめると以下のようになります。

  • 9世代V-NANDは、8世代V-NANDと比較して約50%のビット密度向上を実現し、業界最小のセルサイズ

  • 9世代V-NANDは、データの入出力速度を33%向上させ、最大3.2ギガビット/秒(Gbps)までサポート

  • 前世代と比較して10%の電力消費が改善

特筆すべきは、そのデータ転送速度でしょう。標準的なSSDのデータ転送速度(書き込みおよび読み込み)が約500~600 MB/sと言われていることを考えると、3,200 MB/sがいかに高速かを想像できるかと思います。

Samsungは現在、ギャラクシーシリーズなどのAIデバイスに搭載可能なメモリの開発に注力している模様です。矢継ぎ早にプレスリリースが出ているので、引き続き技術的な発表が楽しみです。

参考文献



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