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【書評】自分のアタマで考えよう(Vol.4)

はじめに

本書は,月間PV(ページビュー)200万回を
超えるブログ ”Chikirinの日記” 
を運営する著者が,

社会人になった最初の頃の自分が
・読んで役立つような,
・分かりやすく,
・読んでいて楽しい
「考えるための方法論をまとめた本」

があればと,本書を執筆したそうです.

・考えるって,つまりなんだろう?
・なにをどう考えればいいんだろう?

と感じている人々にオススメの一冊です.

なお,本書は大変学びの多い内容であったため、数回に分けて書評をお届けしています.良ければこちらも読んでみてください。


考えるために最も役立つ分析手法とは?

一体何でしょうか?
氏はこの問いに対して,
単純明快に答えています.

(前略)ちきりんは迷わず「比較すること」
と答えるでしょう.

私たちはごく幼い頃から兄弟や友達と自分を比べ,
ハンバーグと唐揚げを比べています.

「比較」は誰にとっても身近な分析手法なのです.

つまり分析するために最も有効な手段は

比較することである.

と氏は述べています.

確かに,
・A君は足が速い

と言われても,それが分析である.と思う人は少ないと思います.

しかし,
・A君は100メートル走においてクラスの
 平均タイムよりも1.2秒早い

と言われると,どうでしょう?
それは分析と言えると思います.

上記の例は,
クラスの平均タイムとA君のタイムを
”比較” していることになります.

なるほど確かに
比較によって分析するという式
は成り立ちそうです.

そして,比較には次の2点を必要とする
と本書では述べられています.

・何と何を比較するのか?
 (=比較の対象)
・どのような点について比較するのか?
 (=比較の項目)

例として述べられているのが,
・企業の財務(比較対象)
・安定性,収益性,成長性(比較の項目)

についてです.


これらの項目を比較して分析することで,
・伝統的大企業
・伸び盛りベンチャー企業
・ニッチなグローバル技術企業

のどれに分類されるのかをおおよそ知ることで
今後の経営の道筋を決定するのに役立つ.

とのことでした.このようなイメージです.


また,その比較対象を「自社と他社」に限定せず
「時系列」を追加すると立派な分析が出来上がります.


つまり,こういうことです.

・現在の自社と現在の他社
・過去の自社と現在の自社
・過去の他社と現在の他社

これら3つを比較することが,
分析の基本と言えるでしょう.

グラフ化すると,次のようになります.


これらの考え方をまとめて氏は,以下のように述べています.

比較の基本は「縦と横」

であると.これらを実施することで,10年後の未来は予測できなくとも
数カ月~数年後の未来は予測できるかもしれませんね.


結論:考えるために最も役立つ分析手法とは?
比較すること.その際に,比較対象の時系列にも着目すること.

今後の行動:2軸の比較を基本としよう
分析を行う際には,縦の比較と横の比較両方を実施することを基本としよう.


人はなぜ迷ってしまうのか?

人が迷うのはどんなときでしょうか?

良くありがちな答えの1つは,
選択肢が多すぎるからというものです.


でも実際はそうではないと思います.

決められないのは,判断基準が多すぎるからです.


本書で紹介されているランチの決め方の例が
大変わかりやすいので引用します.

味がいいのはもちろん,イタリアンもいいし,
中華もいい,いやエスニックもおいしそう.

(中略)などと言っていると,考えること事態に
時間がかかるうえ,「おいしいけど高い」
「手頃で旨くて雰囲気もいいけれど,
いつも混んでいて予約がとれない」など,
どこも一長一短になってしまいます.

でも,もしあなたに
こんな制約があればどうでしょうか?
・ランチの予算は500円以内
・徒歩30分でオフィスに戻る必要がある
・炭水化物の総量が30g以内


きっとあなたは,どれだけのお店が
ひしめいていようとも即座に目的のお店に
たどり着くことが出来るでしょう.


そう.

選択肢が多いのではなく,
判断基準が多いのが問題なのです.


ただ,判断基準を絞れ!と言われても実際には

いやこれは捨てられないよ...

というものが出てくるでしょう.
そんな時に氏がオススメしているのが,

判断基準に優先順位をつける

ということです.

いきなり複数の判断基準を絞るのは難しくとも
優先順位をつけるのは比較的容易でしょう

決断することが一気に楽になると思います.


結論:人はなぜ迷ってしまうのか?
選択肢の多さではなく,判断基準が多すぎるから

今後の行動:選択肢は多く,判断基準は少なく
選択肢はなるべく多く持ち,
一方で判断基準は少なくするように心がけよう


日本の大組織で成功するために
重要な条件とは?

就活をしている学生には
非常に気になるトピックですね.

この問いに対する
氏の意見が非常に的確だと思います.

ちきりんの独断と偏見で決めつければ,
日本の大組織で成功するために重要な条件は
ずばり
「我慢する力」と「空気を読む力」でしょう.

大企業は最初から正直にそうぶっちゃけ,
この2つの条件で学生を採用すれば良いのです.

これらをマトリックスにしてみると,
次のようになるかと思います.

たとえ能力が高くても我慢できない人材であれば
大企業のあまりの時代錯誤さや理不尽さに
耐えかねて入社直後(あるいは3年以内)
にやめてしまうでしょう.

と氏は危惧しています.

確かに,我慢する力が無いと
・仕事が完了していても
 上司が残っているから帰れない
・新人がエレベーターの乗る位置は〇〇
・残業代が出ない

などに耐えられるとは思えませんね.


というか多くの人が耐えられないのでは...
と思うのは,自分だけでしょうか?


結論:日本の大組織で成功するために重要な条件とは?
我慢する力と空気を読む力が高いこと

今後の行動:自分の適性を知ろう
必ずしもこれらを磨く必要はない.自分の適性を見極めよう.


議論のレベルにズレが無いか?

テレビ討論などでよく見かける問答では,
一見有効な議論のようでそうなっていない
場合が多々あると氏は述べています.

本書では,以下のような例が紹介されています.

Aさん
「何回も契約更新を繰り返して,同じ職場で
働いているのに正社員になれず,有給もボーナス
ももらえず,不安定な立場に置かれている人
がいるのはおかしい.
こんな非正規雇用は禁止すべきだ!」

Bさん
「でも,契約社員として一定期間だけ
働きたい人も世の中にはたくさんいるんですよ.

全員が全員,正社員になりたいわけではありません
働き方の多様性も確保する必要があります」

どうでしょうか?
何がおかしいのか理解できましたか?

ひとまず,Aさんの主張に対してBさんが
反論したそうであることは読み取れますね.


Aさんの主張をステップごとに分けると,
以下のようになります.

(1)世の中には非正規社員と正社員が存在

(2)非正規社員には,自身が望んでなった人
   と仕方なく甘んじている人が存在

(3)正社員を望んでいるのになれない人には
   何度も同じ会社で契約を更新しながら
   長年働いている人が存在

(4)その中には,有給休暇もボーナスもない等
   不正な労働条件を強いられている人が存在
   また急に解雇されるかもしれない.
   ⇒これは不当なことだ!


つまりAさんは

仕方なく非正規社員に甘んじている人の問題

を取り上げている訳ですね.


ところがBさんは,
話を戻して(違うレベルで)

自ら望んで非正規社員の人もいる

と言って,Aさんの意見に反論しています.

ちょっと分かりづらいので,図にすると
以下のようになります.

このように図にして考えると,
話のレベルがズレていることが
よく分かります.


これを口頭で気づけるようになるには,
それなりの訓練が必要だとは思います.

まずは,自分の話も相手の話も
頭の中で構造化するところから
チャレンジしてみると良いかもしれませんね.


最後に

いかがでしたでしょうか?
今回は,ちきりん氏の著書「自分のアタマで
考えよう」
の書評(Vol.4)を執筆しました.

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