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【書評】実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた(Vol.2)

初めに

「入社して4~5年経って部下が数人いるが,自分の思い通りに動いてくれない

そんな悩みを抱える,サラリーマンの方も多いのではないでしょうか?

今日紹介する一冊は,1万人の大阪市役所と3万8000人の大阪府庁のリーダーを努め,多大なる功績を挙げられた橋本徹氏が実行できる組織づくりを論じた一冊です.

本書は大変学ぶべきことが多く、書評も長編になったので、複数に分けています。まだの方は、よければVol.1もご覧ください。

リーダーの仕事とは?

リーダーとは言え,すべてのことが出来るわけがありません.特に現場の実務レベルのことは殆ど知らないということも多いですし,それが正しいと思います.

では,リーダーの仕事とは何なのでしょう?
氏はこう述べています.

リーダーの仕事は,部下を「やる気」にさせること

これだけだとちょっと抽象的ですが,部下たちは一度何かを実現させて意識が変わると自発的に動くようになるから,リーダーの仕事はそういう状態に持っていくことである.と本書では述べられていました.

そのためには,小さなことにも徹底的にこだわって,同じ事を言い続ける必要があるとも述べられています.

大前提として組織にメッセージを伝えるためには,「これでもか!」というくらい,細かいことにも徹底的にこだわり,繰り返し,繰り返し言い続けなければなりません.

そのうえで最も重要なことは,リーダーが口でいうだけでなく,自身で徹底して実践する姿勢を組織に示すことです.

実際,氏は「税金の無駄遣いは許さない」という姿勢を一貫して貫いたそうです.公用車の使い方から出張旅費,果ては表敬訪問(甲子園参加球児などが来庁すること)時に渡すものまで,きっちり決めていたそうです.

同じことを言い続けるという行為はブランディングの側面からも重要でしょう.自分は~な人間です.と一度言われたくらいでは人は覚えてくれません.何度も言われて,重要な情報であると初めて認知されるからです.

そして,~な人間.という軸に沿った行動を一貫して取り続けること.この事は破綻寸前だったUSJをV字回復させた森岡毅氏も述べていました.
(書評はコチラ↓)

結論:リーダーの仕事とは?
部下にやる気を出させることで,自発的に動く組織を作ること.

今後の行動:あれこれやりすぎない
自分は比較的で手を動かすのが好きなこともあり,つい1人でやってしまいがち.ただ,それだと組織として強くならない.今後は,取り掛かる前に自身でやるべきか検討して,やるべきでないのなら(部下をやる気にして)指示を出す.

優れたビジョンとはどのようなものか?

ビジョンとは、かなり曖昧に使われることが多い言葉です.ここでは,まずビジョンが何かについて明確化した後に,優れたビジョンとは何かについて考えていきます.

これについて企業に関する以下の記事を参考に,組織という大きな枠に広げて考えることとします.

まず,組織におけるビジョンについて考える際に,理念についても触れておく必要があります.

理念とは,各企業が何のために活動を行うのかを指したもの.すなわち組織の目的や存在意義,使命を表現したもので,時代に寄らず不変のもの.

ビジョンとは,各組織が ”理念” をベースに,活動を通じて将来的に成し遂げたいことや成し遂げたい状態を指したもの.一般的には,時間軸を入れて策定し,時代に合わせて変えていく.

つまり,理念とは時代によらず不変のもので,ビジョンとは時代背景に応じて柔軟に変更していくものと理解できます.

例として,いくつかの企業の理念を紹介しておきます.どれも時代を超えて不変のものが並んでいますね.

Google
世界中の情報を整理する
メルカリ
新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る
リクルート
私たちは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す。
アマゾンジャパン
地球上で最もお客様を大切にする企業であること

さて,それでは本題に入りましょう.
優れたビジョンとはどのようなものか?についてです.

氏は,このように述べています.

優れたビジョンは,簡潔で具体的

非常にシンプルですね.ここで特に重要視すべきは,

具体的であるか?

という点かと思います.なぜなら,理念とビジョンの大きな違いは,抽象的か具体的かという部分も大きく関連すると考えられるからです.

ビジョンは時間軸に沿ってある程度フレキシブルなものなので,その都度リーダーがある程度の方向性を示していなければ,組織はどこに向かえばいいか分からないでしょう.

その意味で,具体的というのが重要なのかもしれません.

結論:優れたビジョンとはどのようなものか?
理念とは違いビジョンはある程度変化するため,簡潔で具体的なもの

今後の行動:ビジョン策定の際には簡潔か?具体的か?を確認
組織を作る際には合わせて理念とビジョンを策定し,それぞれの違いを明確に理解したうえで,抽象と具体を使い分ける.ビジョンには簡潔で具体的なものを設定する.

上司に自分の考えを受け入れてもらうには?

部下として上司に提案をする際に,考えを受け入れてもらえない...という場面に遭遇したことのあるサラリーマンの方は多いと思います.

もしかしたらそれは,上司が持っている比較優位の考え方が出来ていないからかもしれません.

比較優位とは,複数の案を複数の軸で比較して一番効果的な案を選択する.ということです

例えば,購入するコピー機としてA社製,B社製,C社製をピックアップして,それらを価格,品質,メンテナンス性の軸で検討する.

そして,最終的に最もコストパフォーマンスが高いB社製を選択するといった具合です.

聞けば当たり前に聞こえるかもしれませんが,実際に出来ているでしょうか?

氏は,この比較優位の考え方を常に職員に求めていたようです.

僕は,常々部下である職員に「案をだすときには,3つ出してほしい」と言っていました.

この比較優位の考え方をすることは,より物事を多角的に見るための訓練になるでしょう.そして比較優位の考え方をするようになると

完璧なんて存在しない

ということに気づくことになるとのことです.

両者のメリット・デメリットを比較して,比較優位で「よりまし」なほうを選ばないと,最善の選択はできません.

築地の豊洲移転が例として挙げられていました.豊洲市場移転の際には,盛り土がない,地下水から汚染物質であるヒ素やベンゼンが検出されたと大いに批判を浴びました.

確かに,豊洲市場に問題は山積しているでしょう.でも,築地市場はどうなのでしょうか?

そもそも築地市場について調べてみると,老朽化・狭小化・不衛生などの問題を抱えていたことが分かります.つまり築地市場にも問題は山積していたのです.

そして,比較優位の考え方に則って,いくつかの候補地から最も効果的な豊洲が選択された.そういうことなのです.

氏も述べていますが,比較優位の考え方がなければ「ダメ出し人間」で終わってしまいます.「ダメ出し人間」は楽ですし,一見正しいことを言っているので人も(一時的に)集まってくるかもしれません.

しかし,リーダーには本書のタイトルにもなっている ”実行力” が必要です。リーダーになりたければ批判だけするのではなく,比較優位の考え方に則って最も効果的な案を選択して実行に移す必要があることを肝に銘じておく必要があるでしょう.

加えて氏は,理論としての比較優位論に加えて,感情としての熱い思いも重要であると述べています.

人間は感情の生き物であることからも,理論だけで物事を進めることはできないということでしょうか.

順番としては「どうしてもこれが実現したい」という熱い思いがあって,その次にそれを実現するいくつかの案を比較優位の考え方に則って検討して選択する.というのが正しく,これはリーダー以外にも当てはまるでしょう.

結論:上司に自分の考えを受け入れてもらうには?
熱い感情を持って,比較優位の考え方に則って複数の案を提案する

今後の行動:比較優位の考え方を提示する質問をする
他者の発表を聞く際に,問題点を指摘するだけなら多少の経験を積めば誰でも可能である.自分は「例えばこういう方法もあると思うんだけど,今の方法と比較するとどちらがいいと思う?」という質問の仕方をすることで比較優位の考え方を提示する.

最後に

いかがでしたでしょうか?
今回は,橋下徹氏の著書「実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた」の書評を執筆しました.

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