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【2023/4/15】エリック・クラプトン@日本武道館

エリック・クラプトンのライブを見に日本武道館へ。

いや~「これで最後」と言って以来約20年...「常に閉店セール」などと揶揄されながら来日を続け、御年79歳で武道館6DAYSには頭が下がります。

この来日公演で武道館100回目を迎えるそうで、日本を愛し愛されるスーパーギタリストとしてその雄姿を見せてくれるのは嬉しい限り。

と、まぁ…

こんな感じでですね…行く前は「歳も歳だしガチでラストの可能性も高いし」「久々にレイラ演るっぽいし」てなノリで、全体的に「生のクラプトンを見に行く」というのが主目的な感じでして…

円熟方面に深みは増しているとはいえ、ぶっちゃけて言えばライブそのものの内容はそこまで期待していなかった、というのは否めなかったのですが…

まず初めに…


すいません!!!クラプトン様!!!(スライディング土下座)

と。

で、感想は…

シンプルに最高!!!

スゲェよ...マジでスゲェ...よ...

ストラト1本で武道館全体の空気を完全に支配する...まさに『ギターの神様』の姿がそこにはありました。

てなわけでレポに行ってみます(以降ネタバレ注意)


僕が言ったのは初日なんですが、武道館は超満員。
コロナもあり、武道館規模の大バコライブが久々だったのでテンションが上がります。

定刻が過ぎ、客電が落ちると大歓声が…客席の熱量も高い。

歓声と拍手に包まれメンバーが登場します。
今回のメインギターはクリーム色のストラト(おそらくエレキはこの1本だけです)。


1曲目はなんと...ギターインスト。

公式のセトリを確認すると『Blue Rainbow』という曲のようです。

歪ませたストラトをゆったりとメロディアスに歌わせていきます。
ボサノバっぽい曲やアコースティックではたまにありますが、クラプトンがこういう“ザ・ギターインスト”みたいな曲を演奏するのは非常に珍しい…、というかほぼ初めてな気がします。

スクリーンで弾く姿を見るとピックではなく指で弾いている。

指で歪ませたストラトを歌わせるように弾く…そう、この曲からは先に旅立ったジェフ・ベックの姿が浮かびます。
真意は分かりませんが、このインストナンバーからジェフへの追悼を感じた人は多いと思いますね。

最高の序曲を奏でた後は、ここ十数年のオープニング曲としてお馴染みの『Pretending』へと続きます。

セトリを見ていただければ分かりますが、20年ほぼ固定。
これはもはや『古典落語』みたいなもので、筋の決まったものをどう見せるか、と捉えるのが正解かと思います笑

てなわけで『Key to the Highway』『Hoochie Coochie Man』『I Shot the Sheriff』と、お馴染みのナンバーが続きますが…むしろお馴染みだからこそ…

クラプトンのプレイの凄さがひしひしと伝わってきます!!


「渋い」とか「円熟」とかそういうんじゃなくて…シンプルに“キレッキレ”

高音のチョーキング一発やたたみ掛けるような連続フレーズがバンバン出てきます。

そしてそのひとつひとつの熱量が凄い、1音たりとも耳が離せない集中力の高い演奏が続きます。


ギター的な印象で言えばストラトの音色がより生々しくなった印象でした。

歪みを抑えた感じでより高音が抜けてきたり、巻き弦スライドのオイシイ感じなどがよりリアルになっていたように思います。
ステージではむしろ弾きにくいんじゃないか?と要らん心配をしてしまうドライな音色でしたね。

バンド全体を通してもサウンドが超クリア。
全プレイヤーが無駄な音を一切出さないので、武道館のような大会場でもまるでスタジオスピーカーで聞いているような分離の良いサウンドです。


中盤はこちらも定番アコースティックセット。
軽めのブルースナンバーを中心にリラックスしたステージを展開します。

当たり前だがアコギも上手い。
陳腐な表現ですが身体の一部となったような、自然なプレイが素敵です。

ここに少しでも近付きたいものですな…汗

ひとつだけ欲を言えば『Tears in Heaven』はロックダウンセッションでやったアレンジで演って欲しかった…ボサノバっぽいリズムが入るバージョン、どうも苦手です…。

セクションの最後に演奏した、亡くなった旧知のエンジニア、ケリー・ルイスに捧げる曲というアコギの小曲『Kerry』が印象的でした。
この曲、コピーしたいですw


エレクトリックに戻り後半は、怒涛のヒットメドレー。

スタートは親友ジョージ・ハリスンとの競作曲『Badge』
展開と押し引きの目まぐるしい曲ですが、ライブで非常に映えます。
ブルース系の曲が多い近年のセットリストでは、音楽的にいいアクセントになっていると思います。

そして問答無用の『Wonderful Tonight』

YouTubeで海外のライブ映像を見た時は、イントロをサイドギターが弾いてる時があり「そりゃないぜ」と思っていたのですが、このライブではそんなことは全くなく本人が美しい音色を奏でていました。

特にアウトロで少しブースト気味の音色のまま、あのフレーズを弾いた瞬間はこのライブを通して1、2を争うプレイだったと思います。


しっとりから一転『Cross Road』『Little Queen of Spades』とハードブルースを連打。

『Cross Road』ではオーバーブーストした音で超ヘヴィにリフを弾き始めたのに鳥肌が立ちました。
全然”枯れる”感じではないプレイが最高でした。


そして...アコースティックセットで演っていなかったので...予想はしていたのですがのですが...それでも...あの...

“ジャラジャラジャララ~”

が鳴ると会場の盛り上がりはMAXに。

僕自身エレキ版で聴くのは十数年ぶりの『LAYLA』です。
ぶっちゃけこの曲だけギターがイマイチで…苦笑、イントロのフレーズをしくったりもしてたんですが、そんなのは気になりません。

ロック史で5本の指に入るであろう名曲を、もうすぐ80歳を迎えるご本人が全力で歌い・弾く、その空間にいるだけで至福。

最初に言ったことと相反しますが、この曲だけは出来がどうこうとか言うこと自体が無粋、そう感じさせるだけの力があるレジェンドナンバーと改めて実感しました。

ギターソロも90年代頃に決めで弾いていた感じのフレーズをなぞっていたり、曲の最後で鬼リバーブをかけたドラムが『バンっ』と一発ブレイクを入れるアレンジを復活させていたりと、演者側も『LAYLA』では“再現”を重視していた印象がありました。

そんな『LAYLA』の興奮に包まれたまま本編終了。
”義理拍手”ではないマジもんアンコールが感動的でした。

でもアンコールは『お前が歌うんかーい』でお馴染みの『High Time We Went』で締め…苦笑
これでちょっとテンション下がるとこまでもはや定番ですね…


まとめとしては…

この感じならマジであと3回くらい来日出来そうなんで、是非これからも『今回が最後』と騙し続けてください、と。

ホント、最高のライブでした。


■セットリスト

  1. Blue Rainbow

  2. Pretending

  3. Key to the Highway

  4. I’m Your Hoochie Coochie Man

  5. I Shot the Sheriff

  6. Kindhearted Woman Blues

  7. Nobody Knows You When You’re Down and Out

  8. Call Me the Breeze

  9. Sam Hall

  10. Tears in Heaven

  11. Kerry

  12. Badge

  13. Wonderful Tonight

  14. Cross Road Blues

  15. Little Queen of Spades

  16. Layla

Encore
17. High Time We Went

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