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旅の本『ひとりでいく』ができました/文学フリマ東京38で初売りします


このたび、二冊目の本『ひとりでいく』が出来あがりましたので、ご案内させてください。

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「今ここにあるものと、もうここにはないものが、
互いの場所から、互いを思い、支えあって生きる。
ひとりでいるときほど、ひとりじゃないと感じる」

南伊豆、尾道、奄美大島、京都、大阪、神戸、
博多、うきは、久留米ーーー。
パンデミックが明けはじめたころから、
さまざまな土地を歩き、日記を綴った。
巡る心をすみかとして、
すべてはかたちを変えてつづいていくと、知った。

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『ひとりでいく』(旅日記エッセイ)
著   者 関根 愛
装画/挿絵 東 ひかり
ブックデザイン cat 佐藤 翔子
印刷/製本 株式会社イニュニック
2024年5月5日 初版 第一刷
全196ページ
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もともと旅日記としてnoteで綴っていたものをまとめ直し、かなり削ぎ落としたり、言葉を揉んだりして、ようやく一冊の本になりました。
冬の終わりごろからずっとこの作業をしていたら、いつのまにか春が終わり、初夏になっていました。

この本が表現しようとしていたことは、「はじめに」と「おわりに」ですべて書かれている(というと長そうですが短いです)ので、改まって綴るべきこともないような気がしてしまうのですが、ひとつだけ補足的に挙げるとするならば、〈観照すること〉を念頭において書いた本です。

旅に似た言葉の「観光」は「光を観る」と書きますが、この「観る」というのは「観照」である、と聞いたことがあります。
観照とは〈内側と外側の両面からものごとをみること〉と私は定義しています。

この身が見知らぬ土地を訪れることは、同時に土地のほうからこの身が訪れられることでもあり、観ることは、観られることでもある。光を観るだけではなく、影に憩うことでもある。

そういうふうに、自分が土地から土地を巡っていたような気がしたので、そこでのことを書くときも、自分が観たものと観られたもの、光であるものとそれを生む影にみえない焦点を置くかたちになりました。
旅先で出会ったさまざまな人たちと、これまでに出会ったもう会うことのない人たちが、その大きな部分を占めています。

そのふたつの人びとはちがうようでいて、おなじで、まさにものごとの両面であり、この先いつでも再会の場に踊りでてくるというよりは、いつも今にある。未来はいつも今のことだから、この先も失くならない。

最終版の原稿ができた日、文中にもでてくるとある人が昔くれた葉書を、急に読みたくなって探していました。
それをもらったのが二十二のときだったので、それから見ることのなかった葉書でした。
パリから出されたその葉書に、シッダールダのことばとしてこう綴られていました。

「過去も未来もここに在るという点で等しい」

今回の本でたったひとつだけ書きたかったことはこれだったんだ、と、目の前を小さな風が吹いていったみたいでした。
お釈迦さまのことばに自分を重ねるのは恐れおお過ぎるのですが、本当にそうだったんだと思っています。
沢山の方々に読んでいただけたら、とても嬉しいです。


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装画&挿絵は東ひかりさん。ブックデザインはcatの佐藤翔子さん。
東さんはそれぞれの土地の話にでてくるモチーフから、素朴で温かい絵を描いてくださいました。
佐藤さんとはなんども打ち合わせを重ねました。
原付で重たい紙見本の束を在らん限り持ってきてくださったり、こまかなやりとりを最後まで根気よくしてくださいました。
お二人がいたから完成することができました。


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『ひとりでいく』は、5月19日(日)の文学フリマ38東京にて初売りします。
即売会限定価格で1,300円です(通常は1,400円)。

ほかに初めての本『やさしいせかい』と三名で書いた日記本『ある回復の記録』の販売もございます。
後日、当日のおしながきについて改めて投稿させていただく予定です。

やさしいせかい
ある回復の記録



文学フリマの会場は、羽田空港に近い、東京流通センターです。
私の出店ブース番号は【第一展示場 S-38】です。

来場者入口(黄色でマークしたところ)からわりとすぐの場所なので、見つけやすいことを願って・・・。
12-17時と限られた時間ですが、心よりお待ちしています。

ちなみに、現在オンラインショップからもご購入いただけます(発送は5/20〜となります)。
遠方の方は、ぜひご利用いただけましたら嬉しいです。


さいごまでお読みいただき、ありがとうございました。





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