こんにちは。さて、前回に引き続き、青森県黒石市にある黒石神社の境内にある石碑を観ます。
ここは明治天皇が巡幸した地であると前回書きましたが、今回はその関連碑のご紹介です。
平成11年に再建されたようですが、昭和43年に建てられた碑。書は竹内俊吉青森県知事。
竹内氏は青森県内に相当な数の書跡を残しているようで、字を書くのが好きな方だったのだろうと想像します。
柔らかい筆致の中に芯の強さが覗ける字ですね。
そしてもうひとつ、鳳輦攸駐と額に書かれた石碑が立っています。
碑額は津軽承昭。
碑文は近藤雪竹。日下部鳴鶴の高弟の一人です。本文は鳴鶴風楷書でかつ伸びやかです。字から爽やかな風が流れてくるような明るい字です。
ページ下に全景をまとめた資料を残しましたので、ご興味あるかたはご覧下さい。
起筆の鋭さや筆脈を意識した掘り方もみえ、石工の技術の高さも知れます。石工者の名前が無いのがとても残念ですが、天皇関連の碑ですし、相当な匠が手がけたのでしょう。職人魂を感じずにはいられません。
では、本文をみましょう。
碑の内容は明治天皇の御遺徳を讃えて、崩御されたあと明治天皇が黒石市に巡幸されたことを記念して建碑をしたことと、黒石市の当時の様子、黒石神社の建立経緯が書かれています。
いわゆる旅行記をそのまま記されているのは面白いですね。
撰文を担当したのは外崎覚。
森鴎外とも交流があり、津軽藩の歴史をよく調べた人物であったそうです。
以上、黒石神社にある明治天皇巡幸碑についてでした。
下に鳳輦攸駐碑の全景をPDF(31.8MB)にしたのを載せてます。
【参考文献】
青森県立図書館 外崎覚 (https://www.plib.pref.aomori.lg.jp/bungakukan/uploads/ae4168bfa9da3d5da6c92a5cc12c7d36.pdf)