松本人志『遺書』をめぐるナイナイやオードリーたちの物語

1993年から『週刊朝日』に掲載されていた松本人志のエッセイが、1994年に書籍化された。それこそが『遺書』であり、250万部を売り上げ、大ベストセラーとなる。

当時31歳ということもあり、尖りまくった松本のエッセイは、現在の一線で活躍する芸人たちに確実に影響を与えた。多くの芸人たちが読んでおり、29年たった今なお『遺書』について語られている。

そんな芸人たちの『遺書』をめぐる物語について、今回はご紹介したいと思う。

ナインティナイン

ナインティナインにとって、『遺書』における一節はショックであった。「ナインティナインなんて、ダウンタウンのチンカスみたいなもんや」と松本は記しており、明らかな敵意を向けていた。

93年前後、ナインティナインは吉本印天然素材で人気を博し、さらには『めちゃイケ』の前身となる『とぶくすり』がスタートした時期である。まさに上り調子にあった彼らについて、松本も意識はしていたのであろう。その頃を振り返り、矢部は「ダウンタウンのお二人はもうとにかく俺らに当たり強かったから」と語っていた。

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