見出し画像

イギリス旅)ブレナヴォン②産業革命を 支えた製鉄の跡

ウェールズ南部の産業革命遺産の街、ブレナヴォンを訪れました。前回は炭鉱跡を巡りましたが、今回は製鉄所。イギリスの鉄道の時代を生み出した舞台装置を間近に見ることができました。

ダービー父子によるコークス製鉄法

産業革命の製鉄法の一つの革新は、燃料を木炭から石炭に変えたことです。木炭はかねて製鉄に使われていました。しかしあまりにも大量に消費せざるを得ないのでイギリスの森林は切り倒され、木炭は枯渇するという事態になりました。

ここで石炭を燃料として使うことを発明したのがダービー親子です。石炭は硫黄を含み、また高温で溶けるため、これまでは製鉄に使えないとされていました。

ダービー親子は石炭を蒸し焼きにして「コークス」とすることで、それらの欠点を解消することができました。

高炉の中に石炭と鉄鉱石と石灰を入れます。そして火をつけた高温で加熱することで、「銑鉄」を作り出すことができるようになりました。

石炭と鉄鉱石を入れて高温で熱する反射炉

パドル法による錬鉄の誕生

銑鉄はどろどろに溶けた状態で型枠に流し込んで鋳造することができます。ただ「錬鉄」と呼ばれる、不純物の少ない状態でより強度の強い鉄とは違います(木炭製鉄の時代は銑鉄を叩いて不純物を取り除く「鍛造」によって錬鉄を作っていました)

ここで出てくるのが反射炉です。高温を生み出す石炭と鉄鉱石を混ぜるのではなく、熱した石炭を離しておきました。(産業革命といったら蒸気機関です。蒸気機関によるふいごで石炭に酸素を送ることで、高温としました)

そして錬鉄の精製方法「パドル法」を考案したのが、ヘンリー・コートです。どろどろに溶けた銑鉄を人力でかき回すことで、不純物を取り除けることを発見しました。(下記の写真のイメージです)

どろどろに溶けた銑鉄を人力でかき回す「パドル法」
製鉄所の内部

錬鉄の大量生産が可能になったことで、鉄道のレールも作るようになることができ、産業革命の鉄道の時代が誕生しました。

製鉄所のさまざまな工夫

こうしてウェールズは、世界で初めて工業人口が農業人口を上回った地域となりました。

製鉄所にはさまざまな工夫がありました。例えば下記の写真は、上から下へ石炭や鉄鉱石を昇降させるエレベーターです。

石炭や鉄鉱石を昇降させるエレベーター

製鉄所内には作業員が暮らすことができる家もあります。家族で住むことができるような作りです。

作業員の家族が暮らせる家

こうした産業革命を支えたテクノロジーとインフラを、間近に見ることができ、当時に思いをはせることができました。

この記事が参加している募集

世界史がすき

一度は行きたいあの場所

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?