高校生のジェンダー平等 by#せかい部×SDGs 探究 PJ 高校生レポーター 小野紗英花 (岡山城東高校)

・ ジェンダー平等って難しくない??
「ジェンダー平等とか、企業が取り組むこと。政府が取り組むこと。私達  高校生には関係ない。私たちにできることは何もない。」
私もそういう気持ちが少しどこかにあった気がします。高校生は未熟で何も できない存在だとどこかで諦めがありました。でも、私はこの#せかい部×SDGSの活動を通して、ジェンダー平等の問題のみならず高校生にだってできることはたくさんある。高校生だからこそできること、この世代だからこそできることもあるのだということを感じました。

<女性は弱い立場に置かれている?>

私は、自分が女性だから弱い立場に置かれていると感じたことはありませんでした。世間ではレディーファーストという言葉があるように、女性は優先されるイメージさえ持っていました。例えば、重いものを持ってもらったり、ドラマの中では男性から食事を奢ってもらっていたりと女性として生活することに不便は感じていませんでしたし、男性の先生だと女子に優しいということが実際あったので得しているぐらいの気持ちでした。私は男性のほうが、男女平等に関しては不利な立場にあると思っていました。もちろん、こういうところで男性が損をしているところもあると思います。しかし、私はSDGsの講義を聞き、社会ではまだまだ女性が弱い立場に置かれていて声を上げないといけない状況が国内にも国外にもあるということを知りました。

<男女平等の現状>
見ていただきたいグラフがあります。

画像1


これは、日本のSDGs達成率を示したグラフです。5のGender equality(ジェンダー平等)がどれくらい達成できているのか見えますか??見えないぐらい低いですよね。私が講師の方からこれを見せていただいたとき、ジェンダー平等が圧倒的に低くて、本当に驚きました。

<現在の日本社会の課題>

私達が暮らしているこの現在の日本社会の課題には、育児休暇の問題があります。高校生には関係ないと思う方もいるかもしれません。しかし、育児休暇の問題は自分が子供を持つことになるとしても、ならないとしても社会に出て働くことになったら、性別にかかわらず誰にでも関係がある問題です。育児休暇は女性がとるものという考えを持っている人もまだまだいらっしゃると思いますが、それは違います。子育ては、女性だけがするものではありません。男性でも育児休暇をとることができます。しかし、男性の育児休暇の取得率は低く、2018年度の男性の育児休暇取得率は6.16%と、とても少ないことがわかります。

画像2

厚生労働省よりhttps://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/consortium/04/pdf/houkoku-2.pdf#search=%27%E7%94%B7%E6%80%A7%E3%8%0A1%8C%E8%82%B2%E4%BC%91%E3%82%92%E5%8F%96%E5%BE%97%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%

これは、ジェンダー平等を考える上で大切な問題です。なぜなら、育児休暇を性別に関係なく取得する社会になることによって、女性が育児休暇を取るからと採用が男性に偏ることもなくなります。また、育児休暇を取る可能性があるからと女性が責任のある地位につけないことがなくなります。すると、女性も経済面で自立することができ、シングルマザーの貧困や、女性に対しての暴力も減るのではないか。女性が経済面で支えてもらっているからと我慢をすることが減るのではないかと私は考えています。色々な課題の解決のために、育児休暇を性別にかかわらず平等に取得できる社会を作り出すことが、ジェンダー平等やそのほかの様々な課題解決につながるのではないかと私は考えています。

<ジェンダー平等と、レディーファーストは共存できるのか?>

これは私にとって気になる疑問でした。高校生にも身近な問題なのではないでしょうか??レディーファーストはよく聞く言葉で、友達の間でもレディーファーストな男性がいいよね。というような話もよく聞きます。でも、それは男女平等なのだろうか?と私はこのSDGsのプログラムを受けるにあたって考えていました。講師の方に質問したりする中で、レディーファーストというよりも、性別にかかわらずそれぞれの人がお互いに尊重しあうことで、女性だけでなく様々な性の平等が目指せるのではないかという結論にいたりました。ニュージーランドでは、身体のつくりの違いも尊重しあって重いものは力がある人が運ぶようです。性別にかかわらず、できること・できないこと、得意・不得意をお互いに尊重しあってお互いに補うということが大切なのだと思いました。そのためには、お互いがしっかりコミュニケーションを図り、お互いのことをよく知ることが大切です。

<「リケジョ」という概念>

これも、高校生に関係があることだと思います。メディアや、自分たちが生活している中で、「リケジョ」という言葉を私もよく聞きます。脳の構造的に女子は理系の勉強が苦手なんだよ。と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、一概にそうと言えるでしょうか?男性脳、女性脳などという研究が行われていて世間でも認知されていますが、実際には個人差のほうが大きいようです。講師の佐野さんにこの質問を投げかけると、こう答えてくださいました。
「論理的に考えられないから。という理由で昔の音楽家は男性のみでした。けれども今は演奏者のみならず、女性の作曲家も指揮者もいますよね?科学は時に、今ある社会の『常識』を強く支える時があります。けれども、後になって修正されるときもあります。そして忘れないでください。その『常識』を覆したのも科学です。」少し抜粋させていただいたのですが、このように答えてくださいました。また、調べてみるとステレオタイプ脅威というのも影響するようです。ステレオタイプ脅威とは、リケジョの話だと、女性は理系科目が苦手だというステレオタイプが社会にあると、本当に女性は理系科目が苦手になるというものです。ステレオタイプ脅威というものが女性の社会進出や、選択に関わってくるのであれば、この「リケジョ」という理系の女子は『珍しい』というステレオタイプをこのまま放置しておくと、未来の女性の可能性を今の私たちが握りつぶしているということになります。科目選択の時に、理系の道に進みたいけれど、理系科目が苦手で文系に行かざるを得ないという高校生を減らすことができるかもしれないのです。高校生である私たちの発言一つ一つにも大きな重みがあるということを考えなければならないと思います。

<女性が受けている暴力>

女性が受けている暴力は、コロナパンデミックの前からあったもので、UNWOMANによると、コロナ前の過去12か月で2.43億人の世界中の女性と女の子(15歳から49歳)が身近なパートナーによる性的・身体的暴力の対象となっていました。その中でも、暴力行為を告発または、助けを求めた女性は40%以下でした。コロナウィルスが流行し、家にいることが多くなった今、家族や恋人から暴力を受けているケースは増えているとの報告もあります。被害を受けている女性または、女の子からしたら、自分よりいろいろな力の強い人に襲われるとなすすべがない。という状況に置かれています。また、精神的なものもDVに含まれます。もし、暴力を受けている方がいれば信頼できる友達に相談してください。また、友達が暴力を受けている方は信頼できそうならその子の親などに相談してください。女性への暴力撤廃に賛同している機関などはたくさんあります。(UNWOMANなど)ぜひ、調べることから始めてみてください。

画像3

(出典)UNWOMAN


<ジェンダー平等を実現するために>

まず、立法の場所や会社の高い地位にいろいろな立場の人を置くことが大切です。でないと、国や会社のルールが偏ってしまいます。状況はその当事者にしかわかりません。いくら立場が偏った集団が、違う立場の人たちのことを考えて決めても的外れなものができてしまうばかりです。現在言われているのは、国会議員の男女比率を同じくらいまでに持っていく必要があるということです。では、現在の国会議員の男女比はどれくらいでしょうか?2020年1月1日時点で、衆議院の女性比率は9.9%、参議院の女性比率は22.9%となっています。低いですよね。会社のトップであれ国会議員であれ今の日本では、男性が多いのです。こんなに女性のトップが少なければ、子育てをしにくかったりするのは当然です。男性のトップばかりに偏っていると、女性が困っていることなどに気づかないのです。なので、発言力のある女性を増やすことが大切です。また、平等にするためにポジティブアクション(水準を平等にするための特別処置のようなもの)も大切です。ポジティブアクションには、女性専用車両などがあげられます。ここで誤解していただきたくないのは、ポジティブアクションは、少数派を今困ってない人と同じ水準まで持って行くことであるということです。差別などではありません。ジェンダー平等を実現するためには必要なアクションなのです。

画像4

内閣府男女共同参画局より
https://www.gender.go.jp/policy/seijibunya/pdf/pamphlet.pdf


・<高校生にできること>

私達高校生は無力ではありません。しようと思えば何でもできます。
まだ国会議員になることはできないけれど、自分たちの周りから変えることができるし、今から国会議員や会社の立場のある人になるために勉強することができます。

こんな大きいこと無理だよ。と思う人もいると思います。
そんな人は、周りの家族や友達に女性が弱い立場に置かれていること。女性は理系の勉強ができないというのは偏見で、その偏見を広めることで誰かの可能性をつぶしてしまうということを誰かに発信してください。

差別は無知から生まれます。知らない人が悪いのではありません。
周りの状況が悪いのです。
もっとジェンダー平等に関する理解・関心が必要です。
1人が2人に話せば、いつかはみんなの常識になります。
性別・年齢は関係ありません。
ぜひ、知る・発信するということから始めてみてください。



岡山城東高校(岡山) 小野紗英花
#せかい部 ×SDGs 探究 PJ 高校生レポーター(ジェンダー平等を実現しよう)

#せかい部SDGs #ジェンダー平等を実現しよう #LGBT

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?