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子育ては大変か

「今のパパは大変だね。家事も育児もママに協力しながら、仕事も頑張らなくちゃいけなくて」

結婚し子をもうけてから、こうしたお話を年配の方からいただくことが増えた。増えたというか、子供が生まれる前はパパではなかったわけだから、こうした話もされるわけがないが。

または独身の同年代から。結婚する、親になるってのは大変なことだよな、というような話もされることも多い。

それは、羨ましいな、というニュアンスなのか、「俺はそうじゃなくてよかった」というニュアンスなのかは定かでないが。

大変か。大変でないか。そこだけに焦点を当てると、それはまあ大変だろう。1人目ならば、何もかもが30年前後の人生経験の中で初めてのことばかりだ。

あらゆる判断、決定が、我が子の命に直結する。精神的な負担。経済的な負担。負担が小さいということはない。

ただ、大変なのはみんな同じだと思うのだ。夫であれ嫁であれ、未婚とて、子なしとて、あるいは学生とて、子供とて、みんなそれぞれ、自分のキャパの中でそれなりの比重を占める悩みを持っているはずだと思うのだ。


そういう意味で言えば。子供のいる親の悩みが特別大変で負担が大きく、特別なものなのか、という問いには疑問符がつく、と個人的には思っている。

医者は大変な仕事だと思うが、良い給料をもらってるんだから良いじゃないか、と思う人もいる。

研究者なんて大変じゃないかと思うが、好きなことをやって食っていけるんだから良いじゃないか、という人もいる。

Youtuberは馬鹿騒ぎをして食っていけるんだからいいねという人もいれば、毎日プレッシャーの中で動画のネタを考えて編集していくのは耐えられないという人もいるだろう。

世界には様々な悩みを抱えた人間がいる。言い出したらキリがない。悩みの重さを数値化することができない以上、どちらの悩みがより重く大変であるかを比較することはできないはずだ。

子育ては確かに大変だが、我が子の笑顔を見ただけで疲れもストレスも何もかも吹っ飛ぶ経験は、実際に体験してみないとわからないだろう。私は男で、女性は大変だろうなあと思っているが、出産を経験できるという点で女で良かったと思う人もいるらしい。

人それぞれ、十人十色、世界に一つだけの花、と多くの人は言うし、それでいいと思っているはずだ。その考え方は素敵だと思うし、私もその通りだと思う。

でも、やはり多くの人は、そう言いながら、自分基準の中で人をみて、判断し、無意識のうちに上下のようなランクを考え、隣の芝は青いよなあなどと思い、他者を羨み、いやいやうちも負けてない、などと意味のない背比べをしていると思うのだ。


子供がいるおかげで、在宅勤務やオフピーク勤務をやりやすくなるケースもあるだろう。逆に、働き盛りの年齢で仕事をセーブすることを嫌うケースもあるだろう。

仕事をセーブして家庭での時間を確保することを、私は必ずしもベターだと思っていない。それは人生でどちらに比重を置くかの話に過ぎず、互いに両者をどちらも取ることはできないと思っているからである。

いやいや、私は両方頑張っている、両方を獲得している、と言う声が聞こえてくる。そう思う気持ちは十分わかるが、それはバランスをとっているだけだと、個人的には思う。

もっとどちらかに全振りすることは可能なはずだ。仕事に全振りしたら、もっと成果を出すこともできるだろう。仕事をやめて家で100%を過ごせば、もっと子供や夫婦の時間を確保できるだろう。

子供の笑顔を見ることもできない仕事の成功なんて要らない、または、バランスよく過ごした方がクリエイティブな発想は出てきやすいだとか、そういう話は抜きにして。私が言いたいのは、単にかけた時間が多い方が、その分野での経験やノウハウが蓄積するわけだから、有利であるケースが多いだろうと主張している。


話があちらこちらにいってしまったが、つまりは隣の芝が青く見えるという話、そして自分の芝もそんなに悪くない、十人十色という話である。

子育ては大変か。もちろん大変だ。だがそれを言えば、家事だって仕事だって大変だし、趣味ですら大変なこともある。子育て+仕事+家事ならそれはもう大変に違いないが、だからと言って専業主婦だって楽なことばかりではないだろう。

「みんな違ってみんないい」という言葉は、違うことそのものではなく、「みんなそれぞれにさまざまな事情を抱えて必死に生きているのだから、リスペクトし合おうではないか」という、互いに尊重しあって生きていくことを説いているのではないか。

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