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努力し続けていれば、きっと誰かが見ていてくれる。DeNAのサブマリン中川颯投手がプロ初勝利。オリックスでは戦力外通告。救ってくれたDeNAに恩返しのピッチング

努力し続けていれば、きっと誰かが見ていてくれる。DeNAの中川颯投手(25)がプロ初勝利を挙げた。プロ4年目のサブマリン右腕。昨季オフにオリックスから戦力外通告を受けたが、DeNAに移籍。昨季まで1軍登板1試合だった投手が、新天地では早くも6試合に登板し、ついにプロ初勝利を手にした。ここから、さらなる浮上のときだ。

4月30日にアウェーの名古屋で行われた中日戦。今季2度目の先発マウンドに立った中川投手はアンダーハンドから投げるボールで、相手打線を幻惑。七回途中まで1失点の好投を見せて、うれしいプロ初勝利をつかんだ。

初回に味方打線がいきなり先制した。牧秀悟選手の適時内野安打で1点を奪った。この援護で、中川投手は波に乗る。

初回を三者凡退に抑えて、上々のスタート。アンダーハンドから投じるボールは一見、打者には打ちごろに見える。そこから、曲がったり沈んだり。凡打の山を築き上げて、六回まで相手のイニングスコアに「0」を並べた。

2点リードの七回に先頭から連打を浴びた。右ひじに張りが出たため緊急降板。この回に1点を返されたが、リリーフ陣がその後をしっかり締めて、DeNAが2-1で競り勝った。中川投手にはうれしいプロ初勝利だ。

背番号53の中川投手は、新天地のDeNAに感謝を込めた。「本当に去年の自分からしたら、今の状況って考えられなかったことなので、ベイスターズに拾っていただいた恩を少しずつ、こういう形で返していきたい」

中川投手は神奈川の桐光学園高から立教大を経て、2020年のドラフト会議でオリックスに4位指名を受けた。

立教大1年の春に、全日本大学選手権でチームは59年ぶりに日本一に輝いた。この大会で好投した中川投手は最優秀投手賞に選ばれている。2年秋に六大学リーグで3勝をマークしたが、その後は伸び悩み、最終学年の秋にはベンチ外を経験することもあった。

オリックスに入団したものの1軍登板はルーキーシーズンの1試合だけ。2年目は肩の不調があり、戦力外通告を受けた後に、育成選手として再契約となった。そして3年目に再び戦力外通告を受けて退団した。

そこに救いの手を差し伸べたのが、DeNAだった。オープン戦で中川投手は結果を出して、開幕ローテーション入りをつかんだ。その後はロングリリーフなどで投げることが中心だったが、30日の中日戦で2度目の先発マウンドのチャンスが与えられた。

このチャンスを生かして、プロ初勝利を手にした。神奈川を本拠に置くDeNA。高校時代の投球などをしっかり見ていたのだろう。中川投手の努力する姿を見ていたからこそ、オリックスから戦力外通告を受けたサブマリンに、救いの手を出したに違いない。

高校時代の中川投手のピッチングを、私は球場で見たことがある。2014年秋の神奈川県予選準決勝だ。3イニングしか投げなかったが、下手投げでスイスイ相手を抑える投球が印象に残った。その後も、サブマリンの動向が気になっていた。

努力し続けていれば、きっと誰かが見ていてくれる。新天地のDeNAで中川投手が恩返しのプロ1勝。ここから、サブマリン右腕は、さらにはい上がっていくはずだ。潜水艦が浮上していく様子を見守っていきたい。

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