応援をもらって全力プレー。石川の地元へ力強いエールのお返し。春の甲子園で県勢初の準決勝を戦った星稜高。地震で被災した人たちに勇気を与えたはずだ
これまでの歴史を越えて、その先の扉を開いた。選抜高校野球で、石川県勢初となる4強入りを果たした星稜高。頂点をめざして準決勝を戦ったが、あと一歩届かなかった。しかし、応援をもらって最後まで全力プレー。春の甲子園で県勢最高成績を残した躍進ぶりは、能登半島地震で被災された人たちへ力強いエールとなったはずだ。
星稜は昨秋の北信越大会で優勝し、明治神宮大会も制して「秋の日本一」に輝いた。この勢いで春を迎えたかった。
しかし元日に能登半島地震に見舞われた。そして大会前には、チーム内でインフルエンザが広がった。回復してもプレーの調子を取り戻せない選手もいた。
それでも、芦硲晃大主将は地震で苦しんでいる石川県の人たちに思いを馳せた。「苦しんでいる方々に全力プレーを見てもらって、笑顔になってほしい」。この気持ちを胸に大会に臨んだ。
開幕日の初戦で21世紀枠の田辺(和歌山)に接戦に持ち込まれたが、九回に勝ち越して、4-2で振り切った。2回戦も八戸学院光星(青森)を3-2で競り勝ち8強入りを果たした。星稜高にとって春の甲子園の最高成績に並んだ。
そして準々決勝は阿南光(徳島)に5-0で快勝して、選抜で石川県勢最高となる4強入りを決めた。
勢いをつかんで臨んだ準決勝。健大高崎(群馬)と相まみえた。二回に中島幹大選手の適時内野安打で先取点を挙げるなど、三回までの序盤を2点リードする展開に。四回に同点に追いつかれても、直後に再び勝ち越す。星稜ペースで中盤を終えた。
七回に4本の長短打を集められ3点を失い、3-5と逆転された。それでも星稜はあきらめない。直後の裏の攻撃で、5番服部航選手が適時二塁打を放って1点差に詰め寄った。ここから再逆転を狙ったが、あと一歩届かなかった。
それでも最後まであきらめずに戦った全力プレーは、石川の人たちに力強いエールとなったはずだ。
山下智将監督は「石川の人たちの応援に力をもらった。そのおかげで、食らいつく試合ができた」と被災した地元からの応援に感謝した。
地元の人たちからの応援を励みに、チームは全力プレーで、被災した石川県に力強いエールを送った。お互いが力を与え合う素晴らしい絆に思えた。
石川県勢初となる選抜4強入りを果たした星稜高は胸を張っていい。地元に帰れば、勇気をもらった県民の人たちが温かく迎えてくれる。星稜高の全力プレーをたたえたい。
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