『デニム雲』
解れかけた糸が
かぜのなかを泳いでいた
それは、白色だったり
それは、黄色だったりした
夜空は暗い青色だ
そこには
デニム地の藍色の雲が上がっていた
先ほどまでは一塊だったというのに
だぼっとしたセルビッチのデニムの
いまにも解れかけそうな藍色の穴から
月が見えそうだ
かぜ読みの私によれば
藍色の雲は
わかれわかれになる理だ
かぜ読みの私によれば
やがて
月が見えるだろう
解れかけた糸が
かぜのなかを泳いでいるのだから
見なくともわかる
私は行かなくちゃならないから
目を離すつもりだ
めずらしいわけじゃない
十二月のわかれだ
散歩ついでのドラッグストアまでの道すがらだ
私は背中で見送ろう
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