こんまりさんの話を実際に聞いて、今の私が片付けられない理由が明確にわかった。
今の私は「片付けられない」理由があった。これがわかっただけでも価値があった。
スタンフォード大学主宰のこんまりさんと旦那さんの川原さんの講演を聞いた。
こんまりさんの本は既に読んだことがある。
こんまりさんは主婦雑誌を熟読し続けながら「片付け」に関して5歳から研究を続けてきたそうだ。私はこんまりさんが熟読していたといういわゆる「主婦雑誌」を拝読していた世代。現在は多くの雑誌が休刊しているけど、新春号とか出てるのね。
ちなみに私がこんまりさんの本を手に取った理由は明白。「片付けられない」から。私自身はここ10年以内で東京→シンガポール→マレーシアと3回国際引越を体験してきた。ぶっちゃけ、国際引っ越しはめっちゃしんどい。時間と送料と段ボールとの戦い。
そして移動が多いと買い物も増える。飛行機で移動が簡単に出来た頃、「今しか買えない!」と焦って買うものが本当に多かった。そして現在のマレーシア生活は半分がロックダウン状態なので移動が困難。家の中は「購買欲を満たすことで精神安定を保つために買われた様々なもの」でそれなりに溢れかえっている。
息子の受験年である今年は本人も、そして受験の当人でない私が本人以上に緊張感で死にそうになるのでその際はお財布で許される金額で爆買いすることも、ある。家庭の平和のために必要なことなのでほんまに許してほしい。片付け情報は入れるけど、実行できない。ちなみにこんまりさんの本を読んだのも飛行機の中だった。そうねそうねって思いながら「でも忙しいのよね」って思いながら入国審査に並んだ記憶がある。
こんまりさん、こんまりメソッドをマーケティング的な視点で見るという今回の講演は日本国外に8年以上住む私にはとても興味深い講演であった。なぜ興味深いのか。それは前述にも書いた「主婦雑誌」に大きなヒントがあると感じたから。
ここで「主婦雑誌」を土台にこんまりさんと「片付け」を多面的に掘り下げてみたい。ちなみにここで取り上げたいのは同じく主婦雑誌で片づけのカリスマというと「近藤典子さん」である。
サイトはこちら。
お二人には共通点が多い。
それにしてもなぜ二人とも「近藤」なのだ。「近藤という名字だと片付けが上手」と思われて困ってる全世界の「近藤さん」に想いを馳せる。
ちなみに近藤典子さんは現在アリババの全面協力の元、中国に進出して成功を収めてるそうだ。
なぜこんまりさんはアメリカで、近藤典子さんは中国なのか。この市場選択にも注目したい。個人的には「こんまりさんのキャラ、こんまりメソッドの世界観」は米
国だから尚成功したのだろなという認識があった。
今回の講演を拝聴してその認識は確信に変わった。彼女の純粋な「片付けをしたい」という気持ちをスピリチュアルに取り入れやすい要素がアメリカの方が多くあったからだ。
今回、こんまりさんの本についての話もあった。最初の海外展開がドイツとアジアというのは意外だった。でも私が知る限りだけどこんまりメソッドが東南アジアで大ヒット!してるとは思えない。周囲でほぼ、聞かない。どうしてだろう?そしてなぜ近藤典子さんは中国で成功したのだろう?と純粋に疑問に感じた。(近藤紀子さんとの比較は今回は文字数の関係でそれほど触れない予定)
こんまりメソッドは日本人の私からすると当たり前に受け入れやすい部分が多い。私自身「モノが怒るから片付けなさい」と親に言われた経験があるし、その叱咤を当たり前に受け止めてきた。全てのモノには感情がある。この思想は日本人としては自然なものだ。
しかし西洋思想だとそれはとてもスピリチュアルに見えるらしい。そしてそのスピリチュアルを完成させてるのはこんまりさんと言う人間が出す「世界観」が必須なのではないかという仮定を考えていたのだけど、講演を聞いて世界観が必須であることを確信した。
こんまりさんはまさに片付け好きな女の子、そのものだ。この「そのもの」感はジブリのキャラ設定並に確立された「そのもの」だった。この「片付けたい」と言う純粋な気持ちをそのまま保てる環境を作ってる川原さんがいるから、こんまりメソッドは森の中の王国のように静かに繁栄を続けていけるのだ。スピリチュアルな仕草、日本語、そして永遠の少女のような見た目。全てが世界観に必要なパーツなのだ。これが近藤典子さんの収納の姿勢と違う点のような気がする。そしてその理想の王国の紹介がされていたのが「主婦雑誌」だった。
つまり「ときめき」は採用されるけど「収納」はジブリ映画のタイトルに採用されない。そういうことだ。
こんまりさんはジブリのキャラ。こんまりメソッドはスタジオジブリ。川原さんは宮原駿。そう考えるとしっくりはまる。「こんまりメソッドで片付けすることに成功すること」はスタジオジブリで自分主人公のアニメを作ってるようなことなのだ。
この理想の王国の設定は確立されればされるほど外からの指摘が増えてくる。以前は主婦雑誌が主体だったけど現在はインターネットの普及で様々なメディアに王国の存在が載せられるようになった。載せることでお金が発生するのだからしょうがないよね。そして載せることは大きな承認要求を満たす。なぜなら理想の王国ができたら話したくなっちゃう。そして王国の存在を知らなくていい人にまで、王国の情報は伝わるようになってしまった。創設者が作る理想の王国なのだから部外者は黙っとれなんだけど、言いたくなる。これがネガティブな指摘だ。こんまりさんに対するネガティブ発言に関しても注目していた。日本語訳されてるもので有名なのはここかな。
ちなみにこんなまとめもあった。
正直、一部の先進的、教養を全面に押し出すタイプの女性がこんまりさんに対してネガティブな感情を持つのは日本国外にいるとすごくわかる。それは「何あのお花畑!」的な感情だと思う。
すごくきつい言い方をするとこんな感じであろうか。家事労働を下僕的に捉えてしまう、自身のフェミニズム思想から片付けを自分でやることに対する猛烈な「拒絶感」が家事労働を心底楽しんでいるこんまりさんに対してものすごくざわざわした感情を持ってしまうように、見える。
具体的な体験談を。私は家事は全般に嫌いではない。特に料理は大好きだ。凝ったものではなく弁当作りなどまさに「おかん的」な料理だけど作ることは基本的に好き。そんな私はある時とても強いフェミニズム思考を持った方に下記のようなことを言われたことがあった。
確かに私は食事が面倒だと外食するくらいなら、デリバリーを頼むくらいならあるもので作るタイプの人間だ。だって、外食やデリバリー選ぶ方が面倒なんだもの。そこに労働させられてる感はない。しかし、その感覚は外から見ると違うらしい。料理が好きという行為をこのように捉えられるのか!と心底驚いたことを覚えている。
ここで注目したいのは「こんまりメソッドが嫌いなら自分はやらなきゃいいだけなのについ「嫌い」と言いたくなってしまう」心理展開だ。なぜ言いたくなってしまうのか。別にこんまりさんがいきなり突撃して片付けするわけでもないのに。ちなみにこんまりさんは集客に関してはあくまで「口コミがメイン」だったそうだ。つまり「自分の提供する世界を求めている顧客」のみにサービスを提供することから始めた。理想の王国に「行きたい、王国だから女王の言うとおりにします」と言うマインドがある人が客だ。
この理想の王国に好んで入りたがる人のみだったのがNetflixやSNSで「理想の王国の存在を知らなくてもいい人」にまで王国の存在が伝わってしまう状況が生まれた。そこからネガティブな思想が出てきているのだろう。
じゃあこのネガティブな攻撃をどうするか。攻めてこられたから先に攻めるのか。籠城するのか。理想の王国を守るためにこんまりさんと川原さんの答えは明確だった。
ネガティブな指摘には傷つく、不安も感じる。でもね、でもね。片付けは日本を、世界を、地球を平和にする。だから片付けを続ける。それだけです。揺らぎません。このマインドには感服させられた。信じてるモノがあれば大丈夫。そう言い切れるほどに信じてるモノが今の私に存在しているか。。。?
そうか!だから私は片付けられないのか!!!!
ちなみにこんまりさんの「西洋化」でよく言われる仕草の一つに「手を合わせる」がある。こんまりさんはよくやってる。今日もやってた。川原さんもやってた。
ちなみに私も人前ではやってしまう。これって不安だから、内面を守りたいから手をあわせてしまう。いわゆる防御だ。「日本人はこんなことしない!」って言う在留邦人は「住んでる国の言葉が話せる」「単独ではなく家族や信頼できる人と居住している」「VISA更新を自分で出来る力がある」人じゃないかな。つまり異国で不安を感じない人。そういう人は人とのコミュニケーションの際に手を合わせたりしないと思うよ。
不安だけど、不安だけど、確固として信じてるものがあるから進める。こんまりメソッドの強さはこの「(自分、または信頼できる自分以外の人を)信じる力」。自分を信じられない、自分が不安で仕方がない私にはない力だ。つまり「今、自分の中にしっかりと信じるのものがない」「地球規模で「これを伝えたい」ものが見つけられない」私はそりゃ片付けられねえなって実感できたので本当によかった。
で、どうすんのよ片付けないと散らかってばっかよなんだけど、でも片付けられない原因がわかれば解決策も見えてくる「はず」。なので今回はまず得たことに感謝したい。ありがとうございました。