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気血水とは何か/漢方医放浪記

 日本の医学部在学中に東洋医学に触れることは稀で、教育カリキュラムに記載されたため一応の講義はありますが、ほとんど理解のないまま医師として働き始める人が多いように感じます。

 東洋医学と表現すると実に広範囲になりますから、ここでは中医学あるいは漢方医学に限定して考えます。中国の伝統医学から発展して陰陽五行説を基盤に同国で高度な理論体系化を遂げたものを中医学と表現し、本邦に伝来してガラパゴス的に発展してきたものを漢方医学と称します。

 中医学と比べた場合の漢方医学の特徴は幾つかありますが、代表的なものは「六病位の応用」と「独自の腹診技術」と考えます。文化的にはエキス製剤の台頭もありますが、これはコスト削減と薬局の負担軽減、内服の簡便化などの利点を有する一方、生薬ごとに量を決めて調剤する本来の中医学からすると、自由度と調節性が損なわれていることになります。具体的には「桂枝茯苓丸に大黄を1.0g/日だけ足したい…」とか「古文書にある処方を調剤したい」などと思ったときに困りますが、それはまた別の話。

 本日は中医学および漢方医学で当然のように語られる「気・血・水き・けつ・すい」について極限まで簡単に論じてみようと思います。

 

 気とは生命エネルギーです。
 血とは体を支える赤色の液体です。
 水とは体を支える無色の液体です。


 生まれ持った気(先天の気)と後から得られる気(後天の気)があって、後者は食物と呼吸で作られます。血も水も食物から生成されます。気血水が全身に滞りなく巡っているとき、ヒトは健康に生きることができます。
 気>血>>水の順に陽から陰です。水にも陰陽があります。

 気血水に異常が起きると、健康でなくなります。

◆気の不調

・気虚:充電不足。すぐ疲れて動けません。
・気逆:回路が逆流してショート寸前です。
・気鬱:流れが悪く気の塊が生じて熱を持ちます。

◆血の不調

・血虚:貧血または栄養失調です。爪が脆いです。
・血逆:上から出血します。鼻血も出ます。
・瘀血:血の巡りが悪いです。万病の元です。

◆水の不調

・陰虚:脱水です。慣習的に水虚とはいいません。
・水逆:二日酔いでめっちゃ吐く感じです。
・水滞:むくみのことです。


 これらの異常が身体のどこで起きているか、という視点が極めて重要です。例えば喉のあたりに気鬱が起きると飲み込みづらさを感じて憂うつな気分になります。下腹部の瘀血は便秘を伴うことが多く、頭蓋内の水滞は頭痛を生じます。

 疑問質問どんどんござれ。
 適当にお応えいたします。


 漢方医学のシンプル解説記事、リクエストあれば執筆いたします。内容によっては有料記事とさせていただくかもしれませんが、リクエスト元のnoterさんには記事をプレゼントいたします。コメント欄でお待ちしております。


 拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、貴方の抱える不調の原因が判明して、快方に向かいますように。




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